夏に帰る

――"ねぇ、おじさん。そこ暑くない？"――

疲れきった里帰リーマンと可愛いJKがキャッキャウフフするお話です。（大嘘）

▼まじめなあらすじ
「帰りたい」
8月のとある日、職場内のパワハラによって心身をすり減らした正宗（まさむね）は、十数年ぶりに故郷の土を踏みしめた。
しかし運悪くその年は、故郷の盆地をもってしてもまれに見る酷暑の夏だった。逃げ水が揺らぐ炎天下、鄙（ひな）びた町を歩く正宗が、したたる汗を拭うために足を止めた、その時――――
「ねぇ、おじさん。そこ暑くない？」
親しげな問いかけの声が、ふわりと正宗の耳に舞いこんだ。正宗が周囲を見渡すと、道端の木陰で笑う、セーラー服姿の少女がただひとり。道祖神の祠の傍らに腰を下ろし、屈託無い眼差しをこちらに向けていた。
戸惑う正宗に少女は、“あ…続きを読む