ひとり、ひとふり、ひとさわぎ
- ★★★ Excellent!!!
この物語の面白さは、まず何より「わかりやすい」ことだと思う。
文章もだけれど、「物語が難解でない」という点で。
この話には、難しいことは、おそらく何処にも置かれていない。
なのに、読む側に考えることをやめさせない、やめたくないと思わせる文体と展開。
それぞれのエピソードに丁寧にまかれた謎の種の育つ様はとても骨太で、物語を色とりどりなパズルのような知的な構造に仕上げており、その妙味は全く失われない。
簡単に言えば、「なんておもしろいおはなし!」という言葉に尽きる。
などという面倒な御託はさておいて。
女性が剣になる?
大好きですね?
「おもいのつよさ」「遣い手と剣の繋がり」、そんな「互い」の心の在り方こそが真の強さになる?
最高じゃないですか?
それぞれのエピソードの感触は、どれもふわりと風のように軽くて、まるで主人公のありようそのもの。
けれどその軽さが、物語を通して貫かれる「確固たる重み」あればこその軽さであることを、読み進めるうちに自然に感じ取れる。
好みです。大変好みです。
これを書いた現在、彼等の夢をかなえる旅はまだ終わりの気配はなさそうです。
が、それはつまり、彼等の披露する「美し芸」を、特上の席で見る楽しみも、まだまだあるということでしょう。