小説とはいわば森の「見えてるところ」なのだけど、

この人の作品は、森のなかの根っこの深さや密度が段違いです。
インプットしてきた知識量がちがうから、さらりと書いているように感じる場面も、じゃあ自分が書けるかって言うと絶対無理。
書籍で繰り返し読みたいなぁと思わせる「強い」作品です。重くないのに。

強いスキル、レアな精剣こそが価値がある世界で、主人公は最初から唯一無二の人エルと彼女に宿る精剣を持っています。強いスキルでもレアな剣でもないけど、「これこそが最強」と信じている主人公は最初から勝ってるも同然。
主人公の強さと魅力にはそれだけの背骨があるから、不敗でもチートを感じさせません。
この先のクライマックスが楽しみ。

作者の軽やかな筆致に積み上げられた知識量という土台があるのと同じように、主人公の強さにも土台があるってわけだ。やるねえ。
軽快でありながら一本軸の通ったファンタジー、ぜひ読むべしです。
私は82話〜が好き。

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