概要
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。
大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!彼は混沌とした世界に差す、光となるのだろうか?
1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと)
あらすじの感じから、人というよりはこの世界自体が主役なのではないかと感じた。
何故人を鞘としたのか? とても奇抜な設定ではあるが、そうしなければ成り立たない何かがあるのだと思う。
女性を鞘とした必然性こそが、この物語の重要な部分でありオリジナリティを形成しているのではないかと感じた。
世界自体が主役と感じたのは、この理由によるものである。
2 物語は(どのように始まっていくのか?)
ある旅人が別の旅人と出逢う所から始まっていく。主人公は旅芸人の方だろうか?
彼らは旅芸人の誘ういを受け、近くの村まで同行することとなった。そこで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あくまで剣士は副業
Twitterのリツイート企画できました。
作品の話の筋がしっかり通っていて、とても読みごたえのある作品でした。
あくまでも剣士は副業で本業は旅芸人。みんなを笑顔にするために剣を取るのではなく、芸を磨いて各地を旅する主人公の姿はとてもまぶしく、まっすぐでよかったです。最初は少なかった旅仲間も、主人公の人柄があってだんだんとにぎやかになっていく描写はとても心温まるものでした。
世界観もしっかりしており、「女性が剣となる」、「レア度が存在し、効果も個人差がある」という組み合わせはあるようでなかった組み合わせでとても新鮮でした。
また、戦闘描写も細かく、ただ剣を振るのではなく、どう効率よく戦う…続きを読む - ★★★ Excellent!!!【◆抜剣◆! 彼の◇女神◇の宿りしは。】
戦が変わる。
剣が変える。
力を宿し、女に宿り、
確率により顕れる、
その名も◆精剣◆、覇の要。
戦が果てて、
世が荒れ果てて、
なお民草に塗炭の苦。
訪れたのは平和に非ず。
世を統べたのは秩序に非ず。
◆力◆と◆力◆、■欲■と■欲■、求め諍う剣士たち。
悲嘆の野、
絶望の原、
弱きの涙、
強きの傲。
かくも翳りし世を渡りゆく、
旅芸人の馬車一つ。
◆力◆のさばる只中に、
◇笑み◇を育み希望を灯す。
◇愛◇とは押して奪うに非ず。
◇笑み◇とは押して作るに非ず。
いわんや◇幸◇においてをや。
通りがかった先々で。
時には剽げ。
時には和を説き。
優しさを持ち。
民に寄り添い。
忍…続きを読む - ★★ Very Good!!物語が主人公の想いを輝かせる
女の身体を鞘とする剣型の兵器『精剣』。
『精剣』の存在が生み出した数々の大戦により荒廃した世界。
大戦は終息せしとも爪跡深く、さらにはそんな状況下で、も力を求める『剣士』達により平和は夢物語。
そんな荒んだ世界で、男女一組の旅芸人が、『赤茶けた大地を畑や街に、煤けた顔を笑顔に変えたい』そんな想いを胸に、ゆっくりと馬車を走らせる。
物語の構成要素全てが、主人公の想いを一際際立たせているのに成功している秀逸作品。大戦により荒廃した世界、それほど優秀ではない精剣を宿したパートナー、微妙な立場の生い立ち、いまだにひとの心を蝕んでいく大戦の爪跡、精剣至上主義のような価値観。そう言った事象ひとつひとつ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!小説とはいわば森の「見えてるところ」なのだけど、
この人の作品は、森のなかの根っこの深さや密度が段違いです。
インプットしてきた知識量がちがうから、さらりと書いているように感じる場面も、じゃあ自分が書けるかって言うと絶対無理。
書籍で繰り返し読みたいなぁと思わせる「強い」作品です。重くないのに。
強いスキル、レアな精剣こそが価値がある世界で、主人公は最初から唯一無二の人エルと彼女に宿る精剣を持っています。強いスキルでもレアな剣でもないけど、「これこそが最強」と信じている主人公は最初から勝ってるも同然。
主人公の強さと魅力にはそれだけの背骨があるから、不敗でもチートを感じさせません。
この先のクライマックスが楽しみ。
作者の軽やかな筆致…続きを読む