「金の卵」の大冒険

井沢八郎さんの 「あゝ上野駅」の１９７０年は、まだ景気が良く、
中学卒業者の求人倍率も５倍と高く、「金の卵」と呼ばれて
もてはやされた。
主人公の犬山重臣「いぬやましげおみ」は山梨県の山深い、
山村で１９５４・昭和２９年７月２２日に犬山家の「女２人、男２人」
４人兄弟の末っ子、３男として生まれた。食糧事情は改善されて、
手に入る時代になった。犬山家では、犬山重臣の姉が、ソロバンを
習っていてコンクールで優勝していた。
　そのため、犬山重臣も教えられ、ソロバンの達人になり、計算の速さ
は群を抜いていた。そこで、集団就職の時も、中卒にも、
「イトーヨーカ堂の経理部」に採用されて、毎日、売上計算の
検算係を命ぜられて、働き始めた。
その後、縁あって、この近所での名門の木下家の娘さんと結婚。
彼の心…続きを読む