「金の卵」の大冒険

第5話：格差婚、突破作戦を開始

　その後、その後、鮫島課長の所に、挨拶に行くと、奥さんが出て来て、

「どうぞお上がりなさい」と行ってくれ、リビングに通してくれた。

　そして、先ほど打ち合わした通りに、最初に、木下淑子さんから、遂に、

「私たち、２人、結婚する事を決めました」と言うと、奥さんが、彼女の手を

握って、「おめでとう、本当に良かったね」と言うと、２人で抱き合って、

目に涙を浮かべて、喜び合った。

　しかし、今晩、「犬山重臣さんと、初めて、吉祥寺の実家の両親に会って

、結婚の話をして了解を得られたら、すぐに結婚式場の予約を入れるつもりです」

と話した。すると、奥さんが木下淑子さんに、持っと早く、手を打っておけば

良かったのにと言うと、木下家の話をし始めた。木下家は、ある武家の出身で

、戦前には華族として登録される名家だったのですが、戦前、戦後の混乱期に

苦労して、持っていた広大な土地、貴金属、宝石、車、着物、陶磁器、

絵画・掛け軸な、ほとんど売り払い、唯一、吉祥寺の東京での最初に

住み着いた土地は手放さずに済んだと言い、５００坪に、５軒の兄弟の家が

建っていると言った。

　それを聞いた鮫島課長が、まさか吉祥寺の木下大尽の事かと聞くと、

そうですと答えると、顔を曇らせた。わー、参ったなー、犬山重臣君、

何という事だと言い、頭を抱えた。そして、おもむろに、奥さんに、

結婚の承諾を得るために、今晩、いちかばちか、一緒に付き添って行って

協力してやろうかと、話すと、奥さんが、面白そうね、やってやろう

じゃないかと豪快に笑った。

　そうして、犬山重臣君はタキシード持ってるかと聞くので、持ってません。

　スーツだけですと良い、一番上等なスーツを持ってこいと言った。少しして

、スーツも持って来ると、鮫島課長がタキシードに奥さんが素敵なドレスに

着替えて、犬山重臣君もスーツに着替えなさいと言われ、着替えて、５時過ぎ

に鮫島家を出て、電車で吉祥寺へ行き、大型タクシーに乗り、木下家に着いた。

　タクシーの中で、鮫島課長が、これは儀式だと思って、緊張感を持って、

そそうのない様に降るまえと言い、相手には、必ず敬語を使って話しなさいと

アドバイスした。タクシーを降りると、案の定、案内役の人が、玄関まで誘導

してくれ、４人は緊張しながら玄関を上がった。そして、案内係の人が、

６畳ほどの洋間に、案内して、ここで、しばらくお待ち下さいと言われ、

椅子に腰掛けた。

　１０分程して木下淑子さんのお父さん、木下公彦さんと、お母さんの木下貴子

さんがやってきた。その後、鮫島課長が名刺を御両親に名刺を渡して、

イトーヨーカ堂、本社、経営企画部の鮫島と申しますと挨拶した。

　続いて、鮫島課長が、彼は、私の元部下のイトーヨーカ堂、三鷹店の経理部

の勤務している犬山重臣と申しまますと紹介し、緊張していたが、できるだけ

の笑顔を浮かべて、犬山重臣と申しますどうぞ宜しくと挨拶した。