三十五年目のラブレター

作者 如月芳美

これはミステリーをスパイスとした「愛」の物語です

  • ★★★ Excellent!!!

 全編を通じて感じたのは様々な「愛」。
 そこには相手を思うがゆえの辛さ、苦しさも伴っています。

 冒頭の第一話で示された手紙の一節だけで、読み手は作者の世界へ引き込まれるでしょう。
 この手紙は一体なんなのだろう……。
 タイトルとの関連は?
 ある事件が起こり、登場人物たちのつながりが少しずつ明らかになるにつれ、手紙の持つ意味も鮮明になっていきます。

 ミステリーとして謎解きの要素は薄いものの、ホワイダニットと呼ばれる「なぜ犯行をおこなったのか」という動機にスポットを当てて物語は進みます。ときおり挟まれる女性主人公の一人称視点での語りも、読み手の心情をぐっと近づける効果があると感じました。

 美術に関する情報も、お好きな方はうなずきながら、そうでない方にも雑学として絶妙なさじ加減で散りばめられているこの作品。
 手紙の持つ意味もそれぞれの思いもすべてが明らかになったとき、あなたの胸にはどんな思いがよぎるでしょうか。

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