触ったら、確かに冷たいかもしれないけれど。

男性が駅前で出会ったのは、ロボット……の、腕?!
そう、腕です。アームなんです。腕だけ、なんです。

この腕だけのロボット君が、何よりも可愛らしいんです。
この小説の大きな見所かもしれません。

ロボットだから誰かの役に立ちたいけど、やることなすことがどうにも上手く
いかない。男性と共に試行錯誤する様が可愛い!

でも、役に立たなければと必死に思う姿が、いじらしいを通り越して
心苦しくなりました。

その果てに、ある職につくロボット君。
そう来たかと驚きましたが、これ以上の天職はないだろうと、納得の冥利に尽きます。

また、ロボット君を拾った男性も優しい。
ロボット君を大事に思っていることが悲しいまでに伝わってきます。
それだけに、ラストの男性の行動に、なんだか切なくなりました。
人間というのは本当に複雑極まりない。ロボット君と上手い対比になっていました。

ここまで読んでもし少しでも気になった方がおられるなら、是非ご一読を。
「SF」ですが、ロボットと人とのふれ合いと絆を描いた、「ヒューマン」でも
あります。
本当にほのぼのとしていて、温かな気持ちになること間違いなしです。

その他のおすすめレビュー

星野 ラベンダーさんの他のおすすめレビュー224