不能共

作者 草森ゆき(草食った)

438

149人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

人生はただでさえ面倒くさい。
友人関係も恋人関係も。
その中でもとびきりに面倒くさい人たちの物語。

暴力あり、食べ物を粗末にする表現ありとなかなか読み進めるのに人を選ぶかもしれないが、それでもなんとか読み切ってほしい。

読み切ったとき
思わず「めんどくせぇ」と呟いてしまうかもしれないがきっと満ち足りた表情をしていることだろう。

あと
マジで加奈子が怖い。

★★★ Excellent!!!


 ヘビーで初心者バイバイになりかねないような過激な内容も、ちゃんと読み進めれば「こんなマトモな小説はそうそうないぞ」ってくらいに老若男女が楽しめることでしょう。
 上級者なら涎を垂らして喜ぶと思います。

 極めて乱雑でまとまりのない文体が、他の草さん作品のいくつかに見られるような、黒く引き締められたような清らかさをぶち壊し、真っ黒な絵の具を読者の胸にぶちまけるような感じがして、作品の雰囲気とマッチしていてとても素敵です。

 素材の独自性もさることながら、それを配置し、物語にする力がとても鮮やかです。

『不能共』は「やばい」「すごい」みたいな前評判もあって、「私みたいなのが読んで耐えられるかな……」とびくびくしながら読んだのですが、「状況」が「修羅場」なだけで、根本は王道BLと言ってもいいくらいさわやかでもありました。

 仲が絶望的に悪いふたりが絆を深めていく様は大変滋養にいいです。

 朝日親子の類似性も大変魅力的でした。

 主役から脇役まで魅力的な登場人物、読者に考察や推理をさせるほどに練られた物語、もし、かつて文豪芥川龍之介が優れた小説の条件として唱えた「雑駁さ」を多分に持った小説があるとすれば、これこそがそうでしょう。

 あなたもいかがですか?

★★★ Excellent!!!

女性含む三角関係やヘビーな設定も大丈夫!むしろ好物!という方、いますよね? そんなあなたにぜひ読んで欲しいのがこちらの「不能共」。

交際していた恋人・加奈子が実は既婚者だと知った朝陽大輝。別れを告げて関係を清算しようとした大輝だったが、なんと加奈子は大輝の目の前で鉄道の線路に飛び込み、自殺してしまう。葬儀後、大輝のもとを訪れたのはその加奈子の夫・清瀬隆。二人の関係を知っており、「貴方しか加奈子の話が出来る相手がいない」と言い張る清瀬。早く清瀬から自由になりたい大輝だったが、自分に執着してくる隆と接するうち、単純な嫌悪感だけではない感情を抱いていく。

目の前で彼女に死なれた男×その彼女の夫だった男、という「そんな修羅場どうして思いつくの?」といいたくなるほどに重い作品です。しかし「朝陽大輝」「清瀬隆」、そして「清瀬加奈子」と、メインキャラクターそれぞれの視点を交代しながら展開していく物語にはしっかりとした説得力があります。「愛」と一言では言い切れない唯一無二の関係に、胸を締め付けられる作品です。


(「非日常が味わえるBL特集」4選/文=ひらりさ)

★★★ Excellent!!!

始めに、私はレビューを書くのが得意ではないと思っています。
ですがこの作品を読了したとき、とにかく書かずにはいられなくなりました。
レビューを書くことで自分の感情を少しでも整理したかったのと、この素晴らしい作品を広められるお手伝いを微力ながらでもできたら、と思ったからです。

残念ながらこの取り散らかったレビューでは後者の願いは叶わないかもしれないと弱気になっていますが、それでもどんなに乱雑でも、自分の心を詰め込むことに決めました。


ある夜寝付けなかった私は、なんとなく小説でも読もうかと、カクヨムを漁っていました。そんな折に、本当に偶然見つけたこの作品。

亡くなった女性の不倫相手と、女性の夫の物語……。
あらすじから、キーワードから、私の好物の香りが漂ってくるのを感じました。興味をそそられ、一話目を開きました。気がついたら朝になっていました。

鮮烈な衝撃を受けると同時にずるずると沼の奥底まであっという間に引きずられていくような感覚。
一話目を数行読んだ辺りから、既に「これはやばいぞ」と感じていました。
 
読み進めていく目が止まらない。スクロールする手が止まらない。大切に読み進めたい気持ちはちゃんとあるのに、もっと読みたいという欲がゆっくり読みたい気持ちの遥か上を行ってしまう。
 
気がついたら全て読み終わり、更に番外編まで読み終わっていました。
もっとじっくり読みたかったのにという寂しさに襲われました……。が、後悔は一つもしていません。
 
こんなに前置きをしておいて何が言いたいかといいますと、とにかく引き込まれました。

読みやすく、尚且つ読んでいるだけで気持ち良くなれるような癖になる文体と筆力。
思わず圧倒されてしまうほど、どんどん読んでしまう、読めてしまう強い力のある構成力や展開力。そして悪と不屈と弱さを抱えた登場人物達の魅力。そういったものがこの作品には… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

この小説を読んでの感想は様々にあるだろうが、一言で表すのであればこれに集約される。

「加奈子!!!!」

少なくとも一回は、恐らくはそれ以上の回数、読者はこれを叫ぶことになる筈だ。
大まかなニュアンスとしては「オーマイゴッド!」「ジーザス!」「ホーリーシット!」である。

この話が始まるきっかけの場面で「加奈子!!」となり、
朝陽の元へ清瀬が来て……来るだけで終わらなかった時に「加奈子!!」と天を仰ぐ。
タイトルについてうっすら察しがつき始めた時点で「加奈子!?!?」と頭を抱える。
雨の夜では「加奈子……」と呻きながら手を組み祈るポーズになるだろう。
なりました。
その後すぐに「加奈子!!」とガッツポーズして身を乗り出したりもした。

前日譚や後日談に至っては
「なんでや加奈子関係ないやろ!」
となったりもするが、それでも口をついて出てくるのは
「イェーイ!!加奈子見てる!?!?」である。

感謝というには複雑だが、憎むというには、私はあまりにもこの物語を楽しんで愛してしまっている。
そういう気持ちを込めて、読破した私は「加奈子!」と呻くのである。

是非とも多くの人に、男同士の関係性に打ちのめされながら死んだ女の名前を叫ぶ体験をしていただきたい。

★★★ Excellent!!!

“人は生まれつき悪”であるような登場人物達だな、と思いながら読んでいました。
 だからこそ、この2人には、エンディングを迎えるまでにこれほどの時間がかかり、ここまでしなくてはいけなかったのだろうなと思います。

以後展開にネタバレがあるかもしれないので注意↓

 いつになったら2人に救いが来るのだろう、もうそろそろ、いやまだか、まだか…と読み進めていき、最後の最後、ある種のどん底まで堕ちた2人が己の性を認め、ハッピーエンドに導かれる様子が清々しく、簡単で安易な救いに辿りつかない、巧みで洗練されたようで激烈な物語の描き方が素晴らしかったです。
 救いを待って読んでいる時も“気味のよさ”を感じられ、また、それを楽しんでいる自分がいることにワクワクしました。

最後までとても面白かったです!

★★★ Excellent!!!

フォロワーが読んで!していたので読んでみたら私も読んで!する側になりました。

いやほんと、設定が追加で開示されるタイミングがめちゃくちゃ気持ちいいなこれ。うますぎる。
というかそもそも文章のリズムがまためちゃくちゃ気持ちいい。うますぎる。

おいしくたくさんご飯食べれるようになってよかったね……

★★★ Excellent!!!

ド頭からケツまでとにかく声に出して気持ちいい文体で、しかも暴力描写はエロく性描写は切実で、それらを含めた日常の全てがもはや非日常でしかなく、不可逆性に、もういないものばかりに雁字搦めにされた二人が行くところまで、別の日常まで、ちゃんと辿り着くまでこの解像度で追える筆致というかそのモチベーションに引くわ、ほんと、めちゃくちゃ読まれて欲しいなこれ。みんな血塗れで引き摺られてくれ。輝く方へ。光の方へ。

★★★ Excellent!!!

BLというジャンルが苦手な人間でもこれは必読です。
もちろん男同士の恋愛でもあり、カウンセリングでもあり、暴力小説でもあり、洗脳の話でもあり、悪女の話でもあり、小気味良い会話劇でもあり、とにかく多層構造です。
とても胸が悪くなる描写が満載なのに読後は爽やかな満足感とともに冒頭から読み直す必然性を感じます。
素晴らしい。星3つでは足りません。傑作だ。

★★★ Excellent!!!

 地獄のボーイズラブです。
 完結してからレビューを書きたかったのですが、もう我慢ができませんでした。1話目より2話目が、2話目より3話目がどんどんおもしろくなります。
 登場人物たちの相関図にあるのが1つもまったくラブじゃなくて全員が全員「クソデカ感情」を抱えて持てあまし振りかざす! 取り返しがつかねえ! もう取り返しがつかねえ! どうなったら「終わり」になるんですか? なんとかしてあげてください。
 完結したら追記します。


◯追記◯

 完結完結完結です!
 地獄の釜のフタとはこうやって開けてこうやって火を止めるのです、という手本を見せつけるような「終わり」をしてくれます。おまえにはできないだろうけど、物語ってこうやって幕を閉じるんですよ、おまえにはできないだろうけど!と作者に言われているようでした。
 朝陽というキャラクターがメチャクチャ格好良いんです。男の描写がとにかく格好良い。人間として情が欠けているのに表向きは優しくて掴んだと思ったものは本体じゃなくて光の粒子でしかなくて絶対に自分のものにはならない、冷たいのに輝いてる男って、それはメチャクチャ最高なんですよね。わかります。人を人と思っていなくて自分以外は親兄弟もふくめて快楽のための道具としか思っていないヒロインが、朝陽にはシッカリ命懸けで恋してしまったのがわかります。もう最後までおもしろい。
 ぜひ大勢の人に読んでもらいたい小説です!