ただのシンデレラストーリーではない!夢と現実の狭間で葛藤する人の物語。

一行目。読んだ瞬間から、確信しました。
あ、堕ちたなと。もうこの世界に入ってしばらく戻って来られないなと。
実際そうでした。一気に読んでしまいましたが、読み終わるのがとても嫌でした。まだ読んでいたい、ずっとこの物語を見ていたい。けれど、読み切りたい。二つの感情の間で揺られながら、読了したのが昨日です。

絶対レビューを書こうと決めましたが、何しろ未だに興奮が冷めないので、文章が支離滅裂かもしれません。ご了承下さい。

役者になることが夢の志維菜と、絵描きになることが夢の詩恵奈の二人が、ひょんなことから出会い、同居することになります。

この「ひょんなこと」というのがまたインパクトがあるのですよね…。
この時点でもう虜になってしまう人も多いのではないでしょうか。

コミカルで明るいので、笑いながらつっかえることなくスイスイと読めます。それでいて文章がしっかりしているので、深みもあります。出てくる文章表現が、また刺さるのですよ…。気取っておらず、ただただ真っ直ぐに、読み手の心に向かってくるといいますか…。


そして、一番重要なこと。この物語の中心を流れる川。そのテーマは、「夢」です。


この小説って、シンデレラストーリーではないんです。サクセスストーリーではないんです。

努力して、紆余曲折あったけど、小さい頃からの夢を見事叶えてハッピーエンド。そういう物語ではありません。違います。

綺麗事は一切書かれてません。
夢を追い続けることによってあぶり出される、「人間らしさ」。
そういったものが、目を逸らされずに、明白に書かれています。

夢。夢を抱くって、とても素晴らしいことです。それを実現させるために努力するのも、素晴らしいことです。
けれど、こんなにも残酷なものがこの世にあるでしょうか。

夢は、必ず「現実」を運んできます。
挫折。嫉妬。
夢を抱くことは、綺麗なものばかりではありません。むしろ、とても汚いものばかりが纏わり付いてきます。

本当にリアルでした。心が痛むまでに共感しました。
でも、ただ暗い現実を描いただけでは終わりません。

ラストで深く納得しました。このタイトルの意味は、そういうことだったのかと。
同時に、何か、とても大切なものが見えた気がしました。

夢を追いかけてる人、夢がわからない人。夢を叶えた人、夢を挫折した人。
全ての人々に、読んで頂きたいです。
この小説は、そういった人々に、必ず心に何かを残してくれるはずです。

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