眩しすぎず、暗すぎず。この暖かくて美しい感覚は、まさに「ハイライト」。

不思議なものです。レジカウンター越しの、ほんの数分間にも満たない時間。出来事。相手のことは何も知らないし、もちろん向こうも自分のことを何も知らない。あるのは店員と客という事実のみ。
なのに、「好き」は芽生える。その気持ちはしぼむどころか膨らんでいく。
不思議なものです、本当に。

触れれば壊れてしまいそうな、とても繊細で丁寧な物語でした。
心情描写が細かく、主人公の気持ちをゆっくりと追っていくので、気がつけば深く感情移入していました。「わかる、わかる」と共感の念も抱きました。

読んでいる最中、脳裏に硝子細工や雫みたいなものが浮かびました。それらを連想させるような、透明で綺麗な小説です。タイトルの「ハイライト」に相応しいと思います。

ラストはどうなるんだろうと思って、少し緊張しながら進めていったら…。
最後まで、「ハイライト」でした。

これから先どうなるのか。
私は、光に透かされて輝く硝子細工や雫しか連想できませんでした。
静かに澄み渡るような、でもどこか暖かいものが差し込むような。
そんなラストで、読後感がとても良かったです。

色々言いましたが、とにかくたくさんの人に読んでいただいて欲しいです。

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