この村の裏側に隠されているものとは。全ての物事には、裏がある。

車に乗って、気ままな二人旅をしていた、男子大学生達。
ところが道中、山で道に迷ってしまいます。
そこで辿り着いた先にあったのは、小さな小さな「灯籠村」でした……。
食事に寝床に、美女の奉仕。
まさしくそこは、地上の楽園。パラダイスの名に相応しい地でした。
二人は、まさに至れり尽くせりなおもてなしを受けますが……?

私個人の話を少しします。
私は今まで、ホラーというと、妖怪とか幽霊とか、そういう完全に人ならざる者のお話なのだと思っていました。
勿論それ以外のホラーがあることも理解していますが、潜在的な刷り込みのせいで、ホラーというとまずそれらの要素を連想しました。

ですが、今は違います。
ホラーというと、これからまず、この小説を思い浮かぶようになることでしょう。
それくらい、衝撃を受けました。
同時に、このような「ホラー」もあるのだと、学習をしたのです。

音の情報もなければ、視覚の情報もない。
言ってしまえば、想像力。読み手の脳内に、いかに上手く恐怖を浮かべられるかられないか。
ホラーの小説は、難しいときいたことがあります。
けれどこの小説は、本当に「怖い」のです。

読むのが怖い。けれども読んでしまう。ページを捲る手を、止めることができない。こんなに怖いと思っているのに。

これこそが、私の求めていたホラー小説だと直感しました。
何かおかしい。主人公と共に、読み手にも小さな疑問が現れます。
気のせいだと思いたくても、その疑問は消えるばかりか、どんどん膨らんでいく。
じわじわと追い詰められていくような。
そして気がついた時には、読み手に逃げ道は残されていないのです。

うまい話などこの世にあるはずもありません。
が、まさかこのような裏があったとは、と読み進めていく内にまさに「ぞっ」としました。
ずっと背筋は凍りっぱなしです。

村に隠された、底知れぬ闇。
そして人間が人間である以上抱えている、闇。
読み終わった後、体の細かな震えが止まりませんでした。


ただの、普通の、ホラーと聞くと皆さんが思い浮かべるようなホラーとは、
違うものが読みたい。
そういうのを求めている方は、ぜひこの小説をお読み下さい。

ちなみに、一気読み推奨です。
というより、途中で切り上げるなんて、まず出来ないと思います。

あなたもぜひ、この「灯籠村」に、お越し下さいな。

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