御徒町カグヤナイツ

作者 浅原ナオト/ドラゴンブック編集部

75

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★★★ Excellent!!!

「この国には何でもある。だが、『希望』だけがない。」
って昔読んだ小説にあった。

僕たちはいまいる場所で、躍起になっている。希望がないからだ。
では希望とはなんだろう。

三年後の自分を夢見る力じゃないだろうか。
将来の夢を「高校生」と書くことじゃないだろうか。
譲れないものを発見したり、一緒に走る仲間がいるときに、出現するのではないだろうか。
好きな人ができたとき、好きな人になにかをしようと動いたときに。
希望と期待は違う。
でも、期待しよう。
叶う叶わないは関係ない。
希望はあるってことをだ。
ぐんと世界が広がる瞬間を、僕たちは求めている。

高校生では遅すぎる。小学生にはちと早い。早熟で幼い、だからこそ無敵な中学三年生たち。

希望が出現する瞬間を描く。小説の役割のひとつだと思う。

★★★ Excellent!!!

彼らは同じ方向に向かって、それぞれの背中をおったり一緒に並んで走ったり、そんな駆け抜けな青春を送っています。でも、きっと次に会ったら4人は背中を預けるんじゃないかと思うんです。

もう全体重かけてぐーーーーっと!


そういうのって、この中二の腹の底まで見ちゃった相手にしかできないと思うんです。

全部がいい思い出じゃない。でも決して、決して忘れない思い出。そういうのが根っこにあるから、読んでいてどうしようもなく羨ましいと思ってしまう。いいですよね。久しぶりに中学の黒歴史であり良い思い出を思い出しました。

★★★ Excellent!!!

どこまでもカッコ悪くて、ただひたすらにカッコいい、5人の中学生の物語。
もうね、全部好き。何もかもが好き。

ある日突然、月の姫と名乗る少女に逆ナンされ、御徒町カグヤナイツなどという中二病まっしぐらのグループを作ってしまう展開も。普通の中学生にはないような重荷を背負った彼らの、普通の中学生らしい会話も。

何をしでかすかわからないカグヤナイツの、スリルのある日常も。ひねくれながらも全力で、今を生きる人間の強さも。

そして、一歩間違えてしまえば壊れてしまうほどに危ういバランスの彼らをまとめ上げ、これ以上ないほどに一つの物語として完成された『御徒町カグヤナイツ』が、ものすごく好き。

キレたソンくんがツボでした。あと、カトウくんの名前がすごく気になる……。

★★★ Excellent!!!


「中二病」というと、封印された右腕が疼くとか、邪気眼の覚醒がどうとか、私は風使いなんだとか、自分に特別な設定を付けて勘違いしていた黒歴史が思い出されます。過ぎ去った中二時代を揶揄する風潮もあります。それでも当時は全力で自分に後付けした設定を信じていました。「本当はそうじゃない」と知っていたからこそ。

中学生のヒロトが月の姫を名乗る少女にナンパされるところから始まる『カグヤナイツ』。とても中二的なネーミングセンス。
ヒロトを始めとするメンバーの特性をRPGの職業に当てはめて、彼らは仲間の前に立ちはだかるそれぞれの苦難を力を合わせて乗り越えようと奮闘します。

それは邪気眼を覚醒して自己陶酔するような無邪気な中二病ではありません。複雑なバックボーンやコンプレックスもあり人とは違う彼らは、若さゆえに無謀な全能感に全力で振り切った行動を取ります。屋上の扉はピッキングで開けるし、ヤクザの事務所に殴り込むし、基本的にアウトローギリギリ。文字通り命がけで、一挙手一投足に力を込めて生きています。特に、力を合わせて立ち向かってもどうにもできない事態に直面した彼らが取った行動に心を打たれました。一貫して描かれた心の成長には胸が熱くなります。とても魅力的です。

随所で描かれるそれぞれの親子の形やブルーハーツの曲名などの要素も浅原ナオトさんらしく、とても好きです。特別編や続編を期待しています。

★★★ Excellent!!!

中2から中3に上がる春休み、変な美少女に逆ナンされた。
自称「月のプリンセス」の彼女はまもなく月に還るから、
その日が来る前にカレシがほしいしデートしてみたいし、
自分を守るナイトもほしいし、とにかく楽しみたいのだ。

主人公は風俗嬢の息子で、担任は天敵。その仲間たちも、
ヤクザの息子、日本育ちの中国人、童顔キラキラネーム、
という「はぐれ者こそカッコいい」を共感できる奴らだ。
等身大に尖っていて繊細で夢見勝ちな感性が描かれていく。

自分たちをRPGのキャラクターに例えて騎士団を名乗り、
団長である戦士を筆頭に、武闘家と魔法使いと盗賊が、
特技と個性を活かして、彼らと月姫に降りかかる問題に
真正面から向き合っては、つまらない現実をぶちのめす。

あらすじだけ書くと、よくあるシンプルな青春物ですが、
浅原ナオトという感性と筆力は、やはり圧倒的な存在感。
おもしろくて、ひりひりする。みずみずしくて、熱い。
広くいろんな人に読んでもらいたい作品です。オススメ。