御徒町カグヤナイツ

作者 浅原ナオト/ドラゴンブック編集部

RPG、ずっと一緒にはいられない

  • ★★★ Excellent!!!


「中二病」というと、封印された右腕が疼くとか、邪気眼の覚醒がどうとか、私は風使いなんだとか、自分に特別な設定を付けて勘違いしていた黒歴史が思い出されます。過ぎ去った中二時代を揶揄する風潮もあります。それでも当時は全力で自分に後付けした設定を信じていました。「本当はそうじゃない」と知っていたからこそ。

中学生のヒロトが月の姫を名乗る少女にナンパされるところから始まる『カグヤナイツ』。とても中二的なネーミングセンス。
ヒロトを始めとするメンバーの特性をRPGの職業に当てはめて、彼らは仲間の前に立ちはだかるそれぞれの苦難を力を合わせて乗り越えようと奮闘します。

それは邪気眼を覚醒して自己陶酔するような無邪気な中二病ではありません。複雑なバックボーンやコンプレックスもあり人とは違う彼らは、若さゆえに無謀な全能感に全力で振り切った行動を取ります。屋上の扉はピッキングで開けるし、ヤクザの事務所に殴り込むし、基本的にアウトローギリギリ。文字通り命がけで、一挙手一投足に力を込めて生きています。特に、力を合わせて立ち向かってもどうにもできない事態に直面した彼らが取った行動に心を打たれました。一貫して描かれた心の成長には胸が熱くなります。とても魅力的です。

随所で描かれるそれぞれの親子の形やブルーハーツの曲名などの要素も浅原ナオトさんらしく、とても好きです。特別編や続編を期待しています。

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