十四歳の夢と妄想のパワーで、固まり切った現実なんか、ぶん殴ってやれ

中2から中3に上がる春休み、変な美少女に逆ナンされた。
自称「月のプリンセス」の彼女はまもなく月に還るから、
その日が来る前にカレシがほしいしデートしてみたいし、
自分を守るナイトもほしいし、とにかく楽しみたいのだ。

主人公は風俗嬢の息子で、担任は天敵。その仲間たちも、
ヤクザの息子、日本育ちの中国人、童顔キラキラネーム、
という「はぐれ者こそカッコいい」を共感できる奴らだ。
等身大に尖っていて繊細で夢見勝ちな感性が描かれていく。

自分たちをRPGのキャラクターに例えて騎士団を名乗り、
団長である戦士を筆頭に、武闘家と魔法使いと盗賊が、
特技と個性を活かして、彼らと月姫に降りかかる問題に
真正面から向き合っては、つまらない現実をぶちのめす。

あらすじだけ書くと、よくあるシンプルな青春物ですが、
浅原ナオトという感性と筆力は、やはり圧倒的な存在感。
おもしろくて、ひりひりする。みずみずしくて、熱い。
広くいろんな人に読んでもらいたい作品です。オススメ。

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