「少年の詩」! 登場人物たちへの作者のまなざし。

すみません、感動が深すぎて、ちゃんとしたレビューに多分なりません。
また改めて書くかも知れません。
この小説は、創作の世界に足を踏み入れた私に、非常に重要な教え、ちがう、最大級の財産、そうじゃない、創作とは何か?という問いに対するひとつの大きな回答をもたらしてくれた作品となりました。なぜ物語を紡ぎたいのか?
この作品を通じて私が常に感じ続けていたのは「登場人物たちへの作者のまなざし」、その暖かさと愛情です。これは私の小説に完全に欠けていたものであり、或いは、私の人生そのものに欠けていた要素だったかも知れない、なんてオーバーなことを考えたりもしました。
この作中に登場する少年たちと少女は、みんな個性的で、未完成で、魅力のあるキャラクターです。「月の王」が公園でヒロトの頭を撫でますが、私はそこに作者の手と、愛情とを感じずにはいられません。
その作者の興味と愛情は、青春や友情のアンチテーゼとして登場した筈の、ヤクザの「黒澤」さんや、その使いっ走りの舎弟「木崎」にまで及びます。すごくないですか?
愛情を以って大切に描かれているから、その運命の残酷さと荒々しさが、読者の胸に迫ってくるのだと思います。

「だけど僕たちはお前のためにスピードを落としてやるつもりはない。全速力でこの人生を駆け抜ける。」
「だから、ついて来いよ。一緒に走ろうぜ。」

カッコよかったです。
そして、全編を通じて、少年たちの未完成さが醸し出す魅力、とでも言うべきものを強く感じました。
誤解を怖れずに言うと「かわいい」という印象です。ものすごく、です。
こういうの、今まで見たことも読んだこともありません。
ホント凄まじいほどの魅力で、ニヤニヤしながら読んでました。
ウソです、ウットリ、が本当です。




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