雨宿りをしたパン屋さん、そのクリームパンは甘くて、少しだけ優しくて……

 些細なことから不登校になってしまった中学三年生の主人公、芽衣。
 雨の日に、マスクをして傘をさし、その身を隠すようにしながら図書館に通うのが、彼女にとって唯一の、外の世界との繋がりだった。

 図書館からの帰りがけ、好奇の目を避けるため、偶然逃げ込んだその場所に、水曜日だけ営業しているパン屋さんがあった。
 そこで、一人でパンを焼く、さくらという女性。そして、その息子で高校生の音羽と出逢う。

 暖かく優しく迎え入れてくれるさくらと、不器用な優しさで接してくれる音羽。そして、そこを訪れるお客さんたち。なんだか、みんながあたたかい……。

 そんな人たちと触れ合い、悩み、励まされながらも、主人公の芽衣は、少しずつ前を向いて、自分の意思で歩み始めるのです。
 それが、ほんの小さな一歩だとしても、そして、苦しみながらもがんばる彼女を、あなたもきっと応援したくなるはずです……。

 優しさが溢れる、とても素敵な物語。皆さまのこころにも、きっと響くと思います。

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