人生の転機,奏でられる恋。

幸福は、平凡な日常の様々な処にも転がっています。

日々食べる料理やおやつの味、動画サイトなどで聴く音楽、季節の訪れ。

幸福の兆しもまた、平凡な日常の様々な処に転がっています。

不動産の広告や、愛想のよさそうな同僚、社内クラブへの勧誘。

しかしその平凡な日常の中の幸福は、誰かと共有しなければ、雑念と憂鬱の中に埋もれてゆきます。例えば、たった一つのアイスでも、一人で部屋に籠って食べるのと誰かと食べるのとでは違うでしょう。幸福の兆しもまた、それを手に取ろうとするほんの少しの勇気がなければ過ぎ去ってゆきます。

主人公は、二十九歳になっても男性経験がない地味系OLです。大人になったら経験するであろうと考えていた様々なことを経験せず、経験しようと思っても踏み出すことができず、束縛の強い母親の元で悶々とした日々を過ごしています。

これは、そんな彼女が人生の転機を得る物語です。

社内クラブであり、ジャズバンドであるKSJCへの加入によって――。

そして、六重奏とともに人生の転機と恋の物語が奏でられ始めます。

KSJCには気になる男性が二人。一人は人が好さそうな社内診療の嘱託医。もう一人は冷たくて険がある少し年上の社員。

果たして主人公の運命を変えるのはどちらでしょうか?

ぜひともこの『六重奏』を読んで体感してみてください。

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