ayaneさんの恋愛ものはいくつも読ませていただいていますが、常に感じるのは欠点は欠点として書き、その欠点も愛する人たちを描けているという点です。 欠点を、登場人物の言動で全肯定する事で欠点でなくし、寧ろ長所の様に描くものが、恋愛というジャンルでは目についてしまうだけに、この描き方は特筆すべき美点です。
主人公の和と聖也にも、相手の気持ちを推し量ろうとするが故に、それを理由に自分の行動を正当化している節が感じられ、それがすれ違いを生む展開は、納得できる描写がなされています。
中盤から関わってくる和の両親も、凡百の作品であれば、とんでもない分からず屋か、有り得ない理解者である場合が多いのですが、この物語では「両親も、恋愛を成就させて結婚した先達である」と感じさせられました。
特に父親は、自分の経験があるからこそ、聖也に対し思う所があるし、対応もそうなってしまうという事を想像させられますし、また和を愛する父であるが故の行動であるとも思わされ、一方的に頭の硬い分からず屋と書かれていない点も外せないポイントです。
そういった登場人物に共通して、多かれ少なかれ感じさせられるのは「責任感」で、優等生としての責任感、親または教師としての責任感、また富豪やエリートとしてのものまで、無責任な我が儘さを感じさせない人物描写にとても惹かれます。
時間を忘れて読む物語でした。
男子高校生達がある女子に仕掛けた心ない悪戯。仕掛けた方にとっては悪戯でも、それを真正面から受け止めた彼女は深く傷ついた。
彼女の受けた傷の深さと痛みに気づいた時、彼は本当の恋に目覚めていく——。
イケメンだけれど中身はちょっと残念な男子・聖也と、見た目は地味だけれど頭脳と芯の強さは誰にも負けない女子・和の、ピュアで温かいラブストーリーです。
自分たちが仕掛けた心ない悪戯をきっかけに、勉強一筋の真面目女子である和に心を奪われた聖也。校内のアイドル的存在がガリ勉地味子に振り回される姿はなんともコミカルです。正反対の思考回路ですれ違ってばかりの二人ですが、不器用ながらも互いの思いは少しずつ向き合っていきます。
聖也と和の生まれ育った環境は、正反対とも言えるもの。特に和の家はびっくりするほど固くて真面目、教育熱心な家庭です。お互いの想いさえあれば、というわけにはいかず、家庭環境の違いや価値観の違いが二人に立ちはだかります。それでも、互いに深く想い合い、障害に負けず関係を深めていく彼らの姿にはエールを送らずにはいられません。
外見はイケメンだけれど中身は少年のような聖也のダメっぷりがなんとも可愛らしく、そんな聖也の愛情を真っ直ぐに受け止める和のしっかりと強い人間性もとても魅力的です。
読み進めるうちに心がふわりと柔らかくなる、温かい明るさに満ちた恋愛長編。ちょっとコミカルで優しいストーリーに、ぜひほっと癒されてください。
いつだって一人だった――勉強ばかりの私。
そんな私に弾けるような笑顔で話かけてくれたのは、
『学園のアイドル』『学園の王子様』
女子からそう呼ばれている光月君だった。
高身長でカッコ良くて、人気者――
そんな彼から『ずっと好きだった』と告白されて、私は魔法にかけられる。
でもそれは、全部、嘘だった。
初めてのキスと同時に、私の魔法は解けてしまう。
* * *
学園一のガリ勉少女――林和の十七歳の恋は終わってしまったかのように思えた。
しかし、魔法にかかっていたのは『学園の王子様』の方だったようで――
一度は失い、傷付け、終わってしまった恋だけれど、
本当の気持ちに気付いてしまった『学園の王子様』光月聖也の暴走は止まらない!
学園一のガリ勉少女(恋愛音痴)と学園一のイケメン王子(恋愛下手)の恋の駆け引き。
そんな二人の恋の行方を応援せずにはいられない?
学年一のモテ男、聖也は女の子の心を弄んでも気にしないようなタイプでした。
ところが、賭けの対象だった学年一秀才な和と出会うことによって、少しずつ考え方や生き方を改めていきます。
仲直りして友人から始める二人の関係。
和に認めてもらいたいがために、一途に奮闘し始めた聖也の前には、数々の妨害事件が発生します。それを一つ一つクリアしていく様は、とても健気。
最初はひどいヤツと思っていた読者も、途中から聖也を応援しているはずです。
一方、勉強しかなかった和の人生も、友達ができ、恋が始まり……少しずつ色づいていくことになります。
そんなじれじれな二人が幸せを掴むまでの恋物語。
その甘~いお味を是非ご賞味くださいませ。
ガリ勉の地味っ子、和に、学園の王子様とも言えるイケメン男子聖也が、まさかの告白。しかも、早々にキスまで?
ラブストーリーは突然にと思いきや、実はこれ、聖也が友達と一緒になって、『学園一のガリ勉に三日でキスができるかどうか』という賭けをしたのでした。
ここまで読んで、何が王子様だ、女の敵、最低ヤローと思った方はいませんか? 正直なところ、それに関しては弁護の余地がありません。
聖也は見事、純粋な気持ちを踏みにじられた和にビンタをくらうのですが、完全に自業自得です。
しかし、そのビンタの一撃が、聖也の心を変えました。
賭けでなく本気で恋をした聖也は、学園の王子様のパワーをフルに発揮し、和に謝る&本当に恋人になれるよう必死にアプローチ。しかし和も今度はそう簡単には受け入れられません。
おまけに、聖也の悪友どもはそれを見て更なる賭けをしようとするわ、学園の高嶺の花と呼ばれる子が聖也にアプローチをかけてくるわ、和のところにもイケメンがあらわれるわ、和の家族の厳しいチェックが光るわ、ものすごい数のハードルが立ちふさがります。
モテ男と地味女子という、スペックだけ見れば聖也の圧倒的有利と思われたこの恋、想像以上に前途多難です。
ぼっちで地味なガリ勉の女の子、和は、ある日学校一のイケメン男子、聖也から付き合ってくださいと告白される。
キスまでされて、ドキドキする和でしたけど、なんと聖也は友達と賭けをしていて、和にキスをできれば聖也の勝ち。焼き肉を奢ってもらえると言う、ゲームだったのです。
賭けに使われ、その上キスまでされた和は当然激怒。
聖也をひっ叩きます。乙女心を弄んだのですから、当然ですね。もう2、3発殴られたって、聖也は文句言えません。
しかし、それからなぜか妙に、和のことが気になり出した聖也。
他の女子からちやほやされても、頭にあるのは和のことばかり。悪ふざけで告白しただけのはずが、本気になっちゃったんですね。
しかし和は悪ふざけで告白してきた聖也のことを、信用しきれません。
聖也もバカなことをしたと反省しながらもうアタックを繰り返しますが、つれない態度の和。
そもそもガリ勉女子とリア充男子とでは、住む世界が違いますが、それでもめげずに振り向かせようとする聖也に、和もだんだんと惹かれていきます。
馴れ初めが馴れ初めなので、上手くいくのかと思ってしまう二人ですけど、和にベタ惚れになっていく聖也を見ていると、つい応援したくなっちゃうのですよね。
聖也、和のこと好きすぎるでしょ!
正反対の二人の恋の行く末を、見守ってあげてください。