主人公の大学生赤尾雄一は文芸部に仮入部したつもりだったが、そこはそれを隠れ蓑にした違うものだった。
一見中学生に見えるちっこい部長、桃宮胡桃はお悩み相談というか、正義のヒーローになりたいとか言う。
赤尾はその後正式入部し、そして・・・・・・どうなるのかは、読んでからのお楽しみという事で。
冒頭にあった赤尾の少年時代の出来事。
ヒーローになろうとする夢を砕かれ傷つき、それでヒーローが嫌いになり、ずっと・・・・・・
もしかすると人生のどこかで、彼と似たような経験をされた方もいるのではないでしょうか。
それともしあんな教師がいたら子供の頃ならともかく、今ならどうしてやろうかと思われるかも。
読み進め、第一部の終盤でうるっと来ました。
桃宮の行いでああなるとは。
ヒーローとはこういうものなのかも、と思わせられます。
諦めたものを再び戻せるような、そんな人が。
あと副部長の茶原、強面なのに・・・・・・へえとなる事が。
赤尾の親友竹沢、彼って理想の親友かも、となるのでは。
最後まで読んで「良かった~、出来れば続編があったらいいのになあ」と思いましたが、それは欲張りすぎですね。
読めば引き込まれ、色々と考えさせられる物語。
皆様ぜひぜひ、読んでみてください。
クズがたまたま教師をしていたせいで、一人の少年の人生が大きく打撃を受けた。ああしたクズは徹底的に糾弾してさっさと社会から退場させねばならない。
重要なことはもう一つあって、打撃を受けた少年の精神を回復させねばならない。こちらも非常に困難だった。極めて幸運にも、良き仲間に恵まれているようでほっとしてはいる。
本作は『正義』を根幹としつつも、既述した二点から伸びた枝が青々と葉が伸びている。
少し違う例え方をすると、『正義』という確固たる柱にクズ自身とクズのせいで現れた二匹の蛇が絡みつき毒を滴らせ続けている。
エピソードとしては痴情のもつれが目立つが、個人的には副部長が一番気に入った。どことなく、京極夏彦先生の京極堂シリーズに出てくる木場を彷彿とさせる。木場のように乱暴な人間では一切ないのだけれど。
青臭くはあるが、清々しくもある良作だった。
PVを見るとWeb小説に向いた構成ではないためか、第一話で辞めている人も多い。
しかし、この作品はぜひ第二話まで読んでもらいたい。
そのころにはドラマにはまり、第三話が読みたくなっていることだろう。
大学生という子供と大人の境界線にいる人間が、子供時代に持っていたものと失っていたものを大人時代にどう活かしていくか……その様子が描かれている。
これはむしろ、若い子ではなく大人時代を長く生きた人間にこそ、響く物語なのかもしれない。
特に私にはよく響いた。
かつて正義のヒーローにあこがれた者にとって、この作品は鼓膜を破るのではないかというほど大音響となって心に響き渡るはずだ。
もちろん、若い人にもこういう現代ドラマもぜひ楽しんでもらい、夢をどう大切にしていくか考えてもらいたいものである。
ごちそうさまでした!<(_ _)>
かつて正義のヒーローに憧れていた少年赤尾は大学生になり、ひょんなことから文芸部に入ることに。正義のヒーローと文芸部、一見結びつかないような組み合わせですが……
初めはラノベでよくあるトンデモ部活ものみたいな感じなのかな?と思っていましたが主人公の心情が丁寧に書かれているせいか違和感がなかったです。若者ならではの青臭い感情が眩しいですね。特にラストの熱い展開は胸に込み上げるものがありました。
文章も構成も自然で、内容がスルスルと頭に入ってきて、頭の中で映像化してしまいました。
ヒーローになりたいという思いを抱えたたまま大人になってしまった主人公と、それを取り巻く個性豊かなキャラクターたちが魅力的で、文句無しの作品です。
ちょっと斜に構えた主人公、それを振り回すように引っ張るちっこい先輩。
その時点で読み進めるのを決めたのは内緒。
昔憧れていた夢は壊されて、傷つけられて、諦めたはずなのに、何故か急に目の前に出てきて。
燻っていた火が息を吹き返すように再び盛り返すそれは、青春と言うにも少し青臭くて、けれどとっても素敵な気持ちになって。
正義とは何かなんて大人になるにつれて、否――もとからよくわからないものだけれど、きっとそれは案外単純明快なものかもしれない。
主人公の成長具合と言うか、熱血に戻っていく様が、最後は勢いよく先輩すら引き戻す熱量が、見てて微笑ましくて、同時にスカッとさせてくれる作品でした。
とてもおもしろかったです。
これは幼い頃に抱いていた夢を大人の理不尽な行為によって折られた主人公が、大学生になり様々な人と出会って、成長していく物語です。
導入部から引き込まれる文章と物語の展開が素晴らしいのはもちろんのこと、そして何より心に熱い思いを持ちつつも屈折している主人公がとても魅力的なのです。
文芸部のメンバーも、主人公の周りの人達のキャラクター性もとても良く、読んでいくうちにだんだんと好きになってきます。
そして何よりイチオシなのは、ラストの展開!
手を握りしめ感動すること間違いなしです。
最後まで、ぜひ読んでみてください!
こっちまで元気をもらいますよ!
正義のヒーロー、という言葉の響きは、いつか子供っぽく、馬鹿馬鹿しく聞こえるようになってしまうのかもしれない。
でも、だからといってその輝きは失せるわけではないし、無かったことになるわけでもない。
憧れ、そうありたいと願い、動き続ける限り、正義のヒーローは死なないのだと思いました。
作中に繰り返し繰り返し出てくる「正義のヒーロー」は、主人公の夢として、理想として、そして最後にとある形となって現れます。
積み重ねた行動、貫いた信念が実を結ぶそれは、確かな一つの完成形ですらありました。
全て読み終えた人の心の中にも、きっと正義のヒーローが生まれていることでしょう。
幼い頃に「ヒーローになる夢」を打ち砕かれ、その傷にいまだ苛まれる大学生が、それに向き合い、立ち向かい、そして––––、
と、この続きはぜひ本編にて、あなた自身の目で確かめて欲しいのです。
特筆すべきはキャラ個性、そして、対峙すべきラスボスとの因縁。
主人公はごくごく普通の大学生……いや、普通よりは無気力気味の若者であり、感情的に未熟で捻くれた部分があります。
しかしその本質を見抜いている親友が側におり、彼と、うっかり体験入部することになった文芸部の面々に引きずられるように、その「素質」が開花していくことになるのです。
たとえ相手のやり方が「悪手」だとしても、それに対抗する手段が「悪役」であるべきではない。
彼らの信念が花開くラストの展開はまさに、「正義のヒーロー、文芸部」。
非常に読み応えのある作品です。
ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
冒頭から、物語世界にぐいぐいと引き込まれた。
夢を捨ててしまった少年、赤尾の心情描写に胸が痛くなる。
まだ希望を持っていていい年齢だったはずなのに。ひねくれる原因を作った心ない一言に、私も赤尾と同じように衝撃を受けた。
だからこそ、ひねくれた大学生になった赤尾と接する愉快な先輩たちに救われた。どうか昔の輝きを取り戻させてほしいと。そう感じさせるほど、登場人物に感情移入させられた。
ヒーローなんて。正義なんて。
投げやりだった主人公が文芸部で(ただし世間一般で言うところの文芸部とは違います!)成長する様子に、エールを送りたくなるのは私だけだろうか?
青春の失敗と輝きがぎゅっと詰め込まれた現代ドラマは、きっと遠い世界の話じゃない。