守りたい場所、守りたい夢がある

冒頭から、物語世界にぐいぐいと引き込まれた。
夢を捨ててしまった少年、赤尾の心情描写に胸が痛くなる。
まだ希望を持っていていい年齢だったはずなのに。ひねくれる原因を作った心ない一言に、私も赤尾と同じように衝撃を受けた。

だからこそ、ひねくれた大学生になった赤尾と接する愉快な先輩たちに救われた。どうか昔の輝きを取り戻させてほしいと。そう感じさせるほど、登場人物に感情移入させられた。

ヒーローなんて。正義なんて。
投げやりだった主人公が文芸部で(ただし世間一般で言うところの文芸部とは違います!)成長する様子に、エールを送りたくなるのは私だけだろうか?

青春の失敗と輝きがぎゅっと詰め込まれた現代ドラマは、きっと遠い世界の話じゃない。

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