第十七話 それをラッキーと呼ぶならば
〇
「それじゃ真紀ちゃん。よろしくお願いします」
「高野さん、もう少し左にずれて下さい。もう少し、もう少しです。
真紀ちゃんはそういって、レンズ横のシャッターボタンを
「真紀ちゃん。早く早く! こっち来て下さい」
「……まだかな?」
「しー、動かないで。静かにしていて下さい」
「ご、ごめん」
カメラの
「
その声に、
みんなでカメラを
「良い感じに
「ばっちりです」
「けっこう良く
図々しい高野に対して
「
みんな良い顔をしている。夜空をバックに映し出された六人は、それぞれの
「真紀ちゃん、ありがとうございます」
「それじゃあ、
そう宣言し、
〇
若菜さんを
「うう、寒……」
すべての荷物を
「早く行こうよ」
外で
仕方がないので
二年前の旧天文同好会でも、確か
しかし、今はこの写真がある。昔よりもずっと近くなった
「なーに、ニヤニヤしてんですか。気持ち悪い」
助手席の
「
「ええ、そりゃもう。大の
ニヘラニヘラって……。
そりゃ確かに、
「それ、さっき
「え、うん。良く
「言ったじゃないですか。真紀ちゃんは良い所のお
さいですか。
「それより、えらくリラックスしてる格好ですね。
「確かにこれは君の車だけど、でも、荷物を運んだのは
そう
「どうでも良いですけど、ちょっと
「え?」
言っている意味が分からず
その際、
「ちょっと、何してんの?」
「あーあー、
「ほんとに感謝してます?」
「本当だよ。ほんとに感謝してる」
「じゃあ運転して下さい」
「はい?」
「
「……一年生の内に
「なら帰りは運転して下さい」
「ちょ、ちょっと待ってよ。
公道を走るなんて、そりゃ
そんな
「良かったですね。これでやっと
もうこれ以上、話し合いは無用! とばかりに、
もう一度、
「マジ?」
「マジ!」
こりゃ、大変なことになった。
〇
「えっと、まずはエンジンを入れて、あっとその前にニュートラルに入ってるか
「グチグチ言ってないで、早く発進して下さいよ」
「本当に、どうなっても知らないからね?」
「事故ったら一生
「おい」
「
あまり
二速、三速、とクラッチを
などと考えていると、
「……一体いつになったら大学まで着くんですかね?」
左からヤジが飛んできた。
「いやでも、法定速度は守らなくちゃ。ここの道、三十キロらしいから」
などと
車を走らせると、すぐに坂道へと
しばらくすると、運転にも
「ほら見て。
ら。
そう
こりゃ、こんな
〇
本来なら二十分ほどで大学につくはずの道を、
「ねえ、着いたよ。ねえってば」
荷台を使い、やっと三往復した後に、荷物をすべて運び終えた。
助手席を見ると、
「どうしようか……」
無理に起こしても良いのだが、なんとなく気が引ける。
「おーい、おーいってば」
一応声をかけてみるが、まったく反応はない。
しばらく外で様子を見ていたが、外気の寒さに負けて、もう一度車へと
前に一度、送ろうと申し出たけれど、
「どうしたもんかなあ……」
頭の後ろで手を組み、ぼんやりと星空を
「うう、寒い……」
エンジンの切った車内は、思いの他、冷えていた。厚手の上着を持ってくること、と
きっと、もうすぐすれば
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