第十一話 それは不運の始まり
○
もし、昼間の大学を散歩したことのない人は、一度そうしてみることをお
図書館を利用する近所の高校生や、お昼ご飯に立ち寄った社会人。遠足にやってきたちびっこ園児たちや、グラウンドで
大学という所は、多種多様な人種が集まる場所だった。
それ
そんな場所だからこそ、ブラブラと散歩していた知人にばったり出会う確率は限りなく小さく、ましてや、そもそも
「あっ……」
「げっ……」
だから、高野
遠目からでも分かるくらい、
「よう」
その表情は人を見下したようにニヤついており、加えて二枚目ということもあって、それが余計に
「…………」
「久しぶりじゃん。元気にしてた?」
……。無論、
「
とそう聞いてきた。
はて、オカッパちゃんとは?
だとしたら聞き捨てならない。
あの
あれがオカッパ?
高野は
この
「
が、しかしである……。
「なーなー、マジでどこで引っかけたんだよ? なんだよ
「うるさいなあ。どっか行け」
「行かない、行かない。どうだ? これからちょっとテニスでもしてかないか?」
「テニス?」
そういえばコイツ、最近テニスサークルに入ったんだっけ? 確かによく見ると
「やるわけないだろ」
そう宣言してやると、高野はあのニヤニヤとした
「
「……」
ましてや二ヵ月以上、教室に顔を出していないのだ。
ということで
引きこもりから不良少年へと
「ほっとけ」
「ほっとかない、ほっとかない。どうだ、今から飯でも?」
コイツ……。
高野のこういう
要するにコイツのすべてが
「なあ、あのオカッパちゃんは今どこにいんの?
あれこれと無意味な質問をしてくる高野に
「言っとくけど、あの子は
宣言しておいて、なんだか
「あん? そうなの?」
高野は目をパチクリとすると
「じゃあ、お前らってどんな関係なの?」
……そんなこと聞かれても。
「どんなって……。ただの
「何の?」
「サークルの」
「サークル?」 高野は少し考える
「そのくだりは止めろ。星見同好会だよ。最近また、復活したの」
へー、と高野は気のなさそうに
「今は部室で
きっと
「ふーん」高野はまた、そう
「これは使える」
「使えるって?」
「バカ」
「若菜
「若菜さん?」
思ってもみない名前が飛び出したので、
高野はニヤリと笑うと、
「
コイツめ……。高野のこの自信
「お前まだ若菜さんにちょっかい出してたのか?」
「当たり前だろ! 何のために三万もするテニスラケットを
「…………」
コイツの女子にかける情熱と資金には
「
そういうと、高野は人差し指を持ち上げ「チッチッチ。
「秋月君。すべてにおいて
「…………」
どうでも良いけど、そのドヤ顔は止めろ。ムカつく。
「というわけで
「それはダメだ!」
急に、
「それは、
「どうしてダメなんだよ」
だって、だって
高野に
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