第十五話 久しぶりの二人きりで
〇
みんなもう、帰っちゃっただろうな。
すっかり暗くなってしまった大学内を歩きながら、
サークル
早足で部室の前まで来ると、カギを
「あれ?」
閉まっていると思っていた
そう思いながら、ゆっくりと中に入っていく。電気を付けようと
目を
電気を付けようとしていたことも忘れ、
「…………」
女の子の
女子トークで盛り上がっていた机の上は、
ふと、疑問に思った。
真紀ちゃんと明音ちゃんの姿がない。
それでも
その
「
ずんずんと
「
「いや、 部員探しを……」
「それなら
「あ、スマホを部室に忘れて……」
「まったく……」
と
「あの、真紀ちゃんと明音ちゃんは?」
「とっくに帰りましたよ! もう、二時間も前にね!」
「あ、そうなんだ……」
「あ、そうなんだ? そうなんですよ!」
「それで? 念願の部員は確保できたんですか?」
「えっと、うん。一応、たぶんだけど……」
そういうと
「何かえらく
若菜さんを思い出して顔が
「まさか、
「そそそ、そんなことないよ!」
「
「んん? もしかして、新しく確保した部員って“女”ですか?」と的確に当ててきた。
なんで分かるの、
ここでウソなんかついても、どうせ後でバレることだからと、
「……うん。といっても、昔の同好会の人だよ。
「ふーん。
ウソは付いていないのだが、
「なるほど、そうですか。女ですか、女ねえ……。
「君が想像しているようなことは何にもないからね」
「へえ、
……まずい。
「その、一応弁明させてほしいんだけど……」
「良いでしょう」
「待っててくれてありがとう」と、そういった。
気まずい
どうしよう、まずっただろうか。
「仕方ないでしょう。
と、半ば
「ごめん。もっと早く帰ってくるべきだった」
「まあ
「用事って?」
こんな時間まで何の用があるというのだろうか。
「はい。夜空を見ていました。星座を探す練習です」
なるほど。この時間帯にならないとできない用事だった。
「それで
「仕方ないでしょう。最近少し
「それで、星座は見つかった?」
「ええまあ。まだまだ思うようには行きませんが……」
「好きな星座を作ると良いよ。そこからだんだん輪が広がっていって、気づいたら
「好きな星座ですか。そうですね、それはもう決まっています」
星座のことを楽しそうに語る
〇
星空の
「それで
「うんっと。テニス部と
「新しい部員が全員集まったら、ウェルカムパーティーをしないとダメですね」
ウェルカムパーティー? ああ、
「そうだね。真紀ちゃんと明音ちゃんにも、改めて招待しよう」
「ホストですからね。週末は大変ですよ?」
「うん、そうだね」
そこまで話した時、
「家まで送ろうか?」
「
すぐそこなら、それこそ送っていくけど? とは言えなかった。
「それでは
言えなかった言葉を
こうして
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