第八話 星空散歩
○
暖かくなってきたとはいえ、日の暮れた後の屋外はとても冷えていた。ましてや、車で数十キロ走った先の山中であり、冷えるのも当然と思われた。
「着きました」
エンジンを切ると、
「うわあー、
興奮した様子の
「
そしてバンバンと助手席のドアを
外に出ると、森林の中特有のあの
雲は夜空を
トランクには、
「ううっ……」
木の葉が
「ありがとう」
「いえいえ。こればっかりは初心者なもので、
「望遠鏡はもう少し時間がかかりそうだなあ。良かったら、
「では、そうします」
「おーおー」
クルクルと回るようにして星空を
あれからもう二年も
「どう?」
「とっても
そうだろう、そうだろう。
なぜだか
「春の大三角形を探してみてごらん」
「
早いな。
春の大三角形はオレンジ色に
オレンジ色の「アークトゥールス」は見つけやすいから、それを
「ああ、ありました、ありました!」
「そこから北にゆっくりと移動させて見えるのが
「なるほどなるほど」
「デネボラの星座は「しし座」の
「ふむふむ」
春の星座は
そうこうしているうちに、天体望遠鏡の設置が済んだのだが、
「こっちも
「はい」
「何を
「そうだな……」
と
「うん、一番初めは月を観察するのが良いと思うんだ」
「月ですか。良いですね!」
「でも
「でも、そうでもないんだよ。満月は確かに明るくて
「そうなんですか。それは目から
ということで
「まずは
「なんだかこちらのレンズ、変ですね」
「そうなんだ。ファインダーは
「
「どうです?」
「うん、ばっちり」
レンズを
「あとは、手元のピントノブを回していけば、
レンズを
その表情からはよく読み取れなかった。
しくじったかな?
ニヤリ。と
「見て下さいよ、これ! 大成功です!」
まるで初めて書いた絵を母親に
「今のレンズは倍率が四十なんだけど、百倍、百五十倍と上げてみると、もっと
夢中になっている
夜空に
夢中になっている
望遠鏡をいじくり回している
そこには、
あの
「ふう」
いつの間にか、一段落ついたのだろうか、
「お
「
そうだろう、そうだろう。
完全に
「ありがとうございます」
そして、しばらくの
「
「あれはなんていう星です?」
虫の声に気を取られていると、
「あれは、「うみへび座」のお
「じゃああれは?」
「あれは、「からす座」」
「「からす座?」 そんなのがあるんですか?」
「うん、
「「コップ座」……。ヘンテコな星座があるものですね」
はは。
星にはそれぞれ等級というものがあって、六等級と一等級では約百倍の明るさが
それは、古代ギリシャの詩人が歌にするほど、中世の人が航海の目印にするほど、昔々から人々の目に映っていたのだ。
「そして今は
ニヤニヤとした顔で
くしゅん。
とそう、
「すみません」
「いや。もう寒くなってきたし、そろそろ帰ろうか」
「
「……どうしたの?」
「やりませんか? もう一度。天文同好会を!」
「…………」
そんな
「はい」
「……ホントに?」
「え? う、うん。ホントホント。ウソはつかないよ」
まさかここまで
「そう」
「では
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