第三話 マイペースな彼女
○
正面から
「おっと、これは失礼」
そんな
「こんな格好ですみませんね。まさか、こんなに早く来て頂けるとは思っていませんでしたから」
確かに……。
「うん、まあ……。
その仕草があまりにも
「ちょっと待って下さいね」
………………しかし、あれだな。
カピカピに
そんな中でも一番机を
あ、エロ本もある。
まだ名前も知らない
しかし、残念美人みたいだった。
「
机の上に意識が集中しており、
「あ、はい」
真っすぐにこちらを見つめられ、
「
あの
「
「案外子供じみた顔をしていますね」
「……はい?」
「電話で聞いた声が低かったものだから、なんかもっと、
……こいつ。
口が悪いのは電話でも対面でも変わらないみたいだ。
「ちょっと失礼じゃないかな? 仮にも初対面の人に向かって」
「初対面じゃないですよ。電話でお話ししました」
「対面は今が初めてだよ」
「そっすね」
ノリの良い
意地の悪そうな
「あの、
「マヌケ面がついています」
…………何なんだ、こいつは。
「
「言っておくけどさ、仮にも
「
「…………人生の
そういってやったら、鼻で笑われた。
そして、近くにあるリュックサックを取るようにと、アゴで使われた。
本当になんなんだ、こいつ。
リュックを
「あったあった、こっちにありました」
そういって、
「二回目ですか? これ見るの」
表紙は何年も使い回しているのか、
「
「あちゃー。てことは、
ほっとけ。別にいいだろもう二年前の話なんだし。というか、チェリーボーイは関係ないだろうが、心外だぞ。
「でもこれ、中身が二年前と全く
「ああ、これ二年単位で使い回してるらしいですよ。表紙とか最初の小話とか、もろコピーですもんね。後ろのサークル
……なぜ一年生である
「ああ、
なんじゃそりゃ。
「
「それでそんな裏事情的なものまで知っちゃったの?」
「面接のときに言ってやったら、面接官の
クックックッと
「まあ
「
「当たり前じゃないですか。そんなことしたら、
……つまり、そんなことしたら落とされるってことは理解しているわけね。
「そこの二十一ページが、
開いてみると、
そして、その
いったいどんなトリックを使ったというのか。
「これって
「いや、まったく
「この
「いや、まったく身に覚えがない。そしてイライラするとか言わないの」
「特にこのセリフがイライラします」
「いや、ハイライトしなくていいから」
「
「……そういう問題じゃないでしょ」
まったく。
「しかし、それじゃあなたは一体何者なんですか?」
確かにサークルに所属していた時期はあったが、それはもう二年も前だということ。だから自分が部長になっていることは全く予期していなかったし、
「……そうなんですか、それは困りましたね」
話を聞き終えた
「ちょっとあなた、この人の
「へ?」
いきなりそんな言葉をかけられて、
「その子の
太っちょなオバちゃんが、いきり立って聞いてくる。
「あ、いや……」
「困っちゃうのよ、こう何度も何度もそこのスペースを
主婦三人集まればドタバタ会議に話題は
以前にも何回か、
「わかったでしょ? だから、その子、連れて帰ってくれない?」
やっと話が終わった。十分くらい話していたような気がする。
「わ、分かりました。すみません、すぐに
なんで
〇
「まだ全然
それまで一度も口を開かなかった
「いや、あれだけ
「
「いや、
「裏切り者」
「……」
何か言う
しばらく歩き続けても、一向に
「でも、良かったの?」
「全然良いわけないじゃないですか! あのオバちゃん
「いや、そっちじゃなくてさ」
「そっちじゃないなら、どっちです?」
まるでわかっていないらしい。
「いやさ……。
「ああ……」
「わざわざ
…………そりゃ、そうかもしれないけど。
「そんなもんなの?」
「そんなものです」
「ねえ。これからどうするの?」
「それは安心して下さい。これからのプランは考えてありますから」
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