第3話 アニメや映画が絶対に追いつけない、小説の『強み』とは?


「ど、ドラ○も~ん!」


「誰がドラ○もんだ誰が」


 はあ……やれやれ。


 私は、ベタなボケにベタな突っ込みを返すと、

 内心ため息をついた。仕事中だったんだがな……。

 急な来客にやや気落ちさせると、椅子を回転させてその来客に身体を向けた。


 そして、一服「ふぃーー」と電子タバコの煙を吹き出す。正確には水蒸気だが。

 ちなみに私のお気に入りはいちご味だ。


 ここは都郊外にある、一軒家の一室である。私の仕事部屋だ。

 まだ太陽の落ちる時間ではないというのに、カーテンは閉め切られ電灯も消され

 部屋にはカーテン越しの日光があれど、薄暗い色が漂っている。

 

 そして私という女の目の前には、男が1人座っている。

 

 だが、色っぽい雰囲気は欠片もない。

 そもそも年も離れすぎている。一回り以上、年下だ。この子はまだ高校生だし。

 そして何よりも、 私は椅子で足を組んで話しているが、

 正面の少年は、正座で手をついてかしこまっている……

 というか、泣きつきにきている。


「いや~、ノリで……いや、それどころじゃないすよ師匠!ご相談が!」


「君ね……。氷室(ひむろ)さんでいい……あるいは雪さんでもいい……といってるだろうが。はとこなんだから。親戚連中が聞いたらなんというやら」


「いやいや、そんなこといっても、師匠は師匠っすから……。

 つーか、師匠も俺をキミ呼ばわりしてるじゃないすか!

 それいったら俺も火村 篤人(ほむら あつと)って言う名前ありますよ」


「君が私を名前で呼んだら考えてあげよう」



「まあ、そんなどうでもいい「よくない」ことはおいといてっすよ!」


 無視された。この少年は私への敬意……はたりてるけど、何かが足りてない。

 小説家志望の少年に対し、私が小説に対するアドバイスを

 結果的にしてるからといって、別に私は現役の小説家ではないのだがな。

 

「今日、メッチャ学校で腹立つことあったんすよ。

 なんだと思います?」


「知るわけないだろう」


 私はエスパーじゃないしな。さらにこいつの私生活に興味もない。

 さっさと先を話せと、手を振って促す。


「俺、Web小説を書いてるじゃないすか」


「まあ、そうみたいだな」


 まあそれは知っている。今更だ。


「それがですね……。なんというか、そう!俺の席の隣に

 ハヤブサとかいう、バリムカつく奴がいるんですけどね!

 そいつに、バカにされたんですよ!」


「……つながりが見えないが。ついでにいうと、君がバカにされても私は別に気にしないし、慰めるつもりもないぞ」


「師匠酷ゥい!

 いや、今から話します。師匠にもこれは関係ある話なんですからね?」


「絶対関係なさそうだが……まあ、話したければ勝手に話すといい」


 ふぅーと一服して、先を促す。


「あの野郎が……何を言ったかというとっすね!

 こういったんすよ!


 『Web小説なんて物づくりの底辺だ』と!

 他にもなんか色々と……似たようなことを言ってきやがって。

 しかも、さらに【小説家になろう】なんてオタの集まるとこで

 書いてる現実逃避野郎だってバカにされて、

 でも、上手く言い返せなくて、ほんと悔しくて……」


 そのことを思い出し、よほど悔しいのか、涙目になりながら

 床にドンドンと拳を打ち付けている。

 ここがアパートじゃなくてよかったな。アパートだったら苦情を貰うのは私だ。

 そしてその苦情のうっぷんは当然コイツに晴らす。



「……ふーん。小説が、物づくりの中でも底辺だと」


「そ、そうっす!

 小説家なんて、映画監督やアニメーターや漫画家を諦めた奴がなる職業だって。

 さらに社会的地位も、映画はデートコースだけど、図書館なんてオタの行く場所だとか趣味が映画鑑賞はいいけど、小説読み、いやラノベ読みなんて無趣味も同然だのなんだの……」


「へえ」


「さらに、その中でもWeb小説とまでなったら、底辺の中のさらに底辺だのなんだの……市場規模だって小さいとか!

ラノベの最高峰でも、漫画の中堅にかてないとか!

ワンピースの足元にも及ばないとか!売り上げからみたら雑魚だとか!

ああっ!思い出しただけでも怒りが!」


「なるほど、許せないと」


「ええ!そうっすよ。あの野郎、俺がWebで書いてるって知った瞬間に……」


「……だが、そうはいうがな、そもそも君も、

 アニメとか漫画とか本当は作りたいけど、

 でもアニメや漫画が作れないから

 じゃあ消去法で小説書こうかって思った口じゃないのかい?」


 そういった途端、やつの身体は雷で撃たれたように硬直した。

 そして、冷や汗がダラダラと頬を伝わっている。


「ぎくッ!……な、ななななな何故それを!

 ハッ、師匠は、エスパーですかっ!?」


「ついでにいえば、君、『脳内を直接アニメ化する機械があればな~』とか

 『脳内を直接漫画化する装置があればな~』とか

 思いながら小説書いてたりするんじゃないのか?」


「うああああッ!

 な、ななななな何故それも……!」


「さらに君、このキャラはこの声優だな~とか思いながら、

 キャラ作ったりなんたりしてる口だろう?」


「ぐわああああああ!!!

 ば、バカな!だ、誰にも話したこと無いのに……!!」


 奴は叫びと同時に崩れ落ちた。悪は滅びた。


「くぅ……中々のダメージっした……。

 でもエスパー!やっぱ師匠はエスパーだったんすね!」


「いや、違うが。だって、大抵の物書きって、そんなもんだろうしな。

 それの何が悪いのかという話だし。

 というか、そもそも物書きとは何か?っていうとこをつきつめるとだな。

 物書きってのは、脳内イメージを文面に落とす作業なんだ。

 

 脳内では『文字ではない』し。絵も声も音も臭いも動きもあるし……

 だから、脳内を一瞬で直接アニメ化、映像化したいとか想像するのは、

 ごくごく当たり前のことだよ。

 私もそんな機械があれば、物書きをしてなかったかもな」


 ぷかぷかと電子タバコをくゆらす。


「そ、そうですか……良かった」


 奴は胸をなでおろす。

 まだいいたいことは終わってないが……まあ、いいだろう。



「はあ……で、どこが関係あるんだ?私に。まあ、想像はある程度つくが」


「いや……だって、師匠って、今は有名コピーライターとやらですけど、

 昔は小説書いてたんですよね?

 ということは、これは過去の師匠に喧嘩を打ったも同然! 

 俺をバカにするのはいいけど、師匠をバカにするなんて許しがたい罪!

 師匠、是非あいつにぎゃふんと言わせちゃって下さい!僕が代行して伝えますから!」


「本音は?」


「あいつに言い負かされたままなの悔しいんで、なんかうまい返しを教えてください!」


「……そんなこったろうと思ったよ」


 やれやれ。情熱的なんだか情けないんだか。

 それとなしに、ため息がでるわ。

 いかん、幸せが一つ逃げてしまう。


 ふぃーっと電子タバコの煙でごまかし、話を続ける。


「というかだな。君、物書きの端くれなら自分で考えたまえよ。

 物書きなら言葉の言い争いで負けるんじゃあない」

「いや~考えたんですけど、全く浮かばなくて……。悔しいっす!

 つーか俺頭悪いんで、まあ師匠になんか言ってもらおうかなあと」

「他の友だちは?」

「いやー他の人はWeb小説にそもそも興味ない感じだし……。

 文芸部の人も、なんか同じように言い負かされた感じで」


「……」


「……師匠?」


「…………。ふぅー……やれやれ」


「……あの」


 不安そうな目でみるな。情けない。


「……はあ。まあ状況はわかった。

 まあ確かに、その言い争いに対して、言いたいことがないでもない。

 軽く私はイライラしている」


「おお!師匠、それじゃあ!

 じゃあ、善は急げ、さっそくそいつを呼び出してまいります!

 へっへっへ……ハヤブサめ。怒りモード時の師匠の威圧感を思い知るが……」

「いやいや、何を勘違いしているんだ?」

「へ?」

「勘違いするなと言ったんだ……。私の話を聞くのは、君だ」


 大体その程度で他人の家に呼び出そうとするな。 

 親戚といってもそんなに近い血縁でもないんだから。

 

「えぇっ……お、俺すか!?」


 その意外そうな顔を前に、さらに私のボルテージがあがる。

 私は椅子からゆらりと立ち上がり、何やら怯えている少年にむかって声を発した。


「当ッッッ然だ!!!

 前々から、君には物書きとしての性根が足りんと思っていたが……、

 今回のは特別だな。

 全く、聞いていれば、なんとも情けない……。

 まったくもって、君には……」


 一息つき、そして言い切る。


「君には……作家としての誇りがないのかっ!!?」

  

「ひぃっ!さ……作家としての誇りですか?

 俺のようなアマチュアに、そ、そんなこと言われても……」

 

「作家の誇りにプロもアマも関係はない!」


「はうっ!」 


 む、ついキツい言葉を使ったが……いや、このぐらいは言うべきだ。


「よかろう。いい機会だ。

 君の作品案の持ち込みがあってから、次のレッスンを始めようと思ったが……今から始めようじゃないか」


「えっ!?それって、前言ってた……『売る文章』とやらの……すか?」


「そうだ!それを始めよう。

 売る作家のためのレッスン2。『商品の強みを知れ』だ」


「そ、それが次の教えっすか?なんか、こう、書き方とかじゃなくて?」


「心配するな。それも教えてあげよう。

 だが、自らの商品の強み……それを作り手が理解してこそ強みはより輝く。

強みを知ってから作ることで、商品はさらに強くなる。

 モノづくりは、モノを作る前から始まっているのだ。

 それが、強みも言えず、良さも語れず、逃げ帰るとはな……!」


「うっ……」


「全く……アニメや漫画以下だと?しかもそれに反論できなかったって?

 別にそのハヤブサとやらがそういう思想なのはいい。

 だが、いみじくも小説家になろうという、君が反論できないのは大問題だな。

 何故なら……反論できない理由を推察するにだ!

 口が下手?頭が悪い?いーや、違うな、違うだろう。反論できなかった理由の第一は……」


「……」


「図星だからじゃないか!?」


「うぅッ!」


「君自身が、漫画より下だ、妥協して小説を書いてるっていう自意識があるから、

 反論できなかったんじゃないのか!?」


「うぐぅッ!い、いや……いやだって……だってその……

 あ、そうだ!だって師匠!師匠も、さっき脳内アニメ化や漫画化装置があればいいと思うのは普通、って言ってたじゃないすか! 

 だけど……ないから妥協して小説にいく。

 師匠も、あったら小説書いてないかもとか言ってたじゃないすか!


 ということはですよ?当人自身が、漫画以下であるって認めるのは、普通!

 こういうことにもなるんじゃないすか?」


「ほう……。苦し紛れにいったにしては、中々いいところをつくじゃないか。

 悪くない視点だな」


「そ、そうっすよね!?」

  

 一気にテンションあがる火村くん。気楽なものだ


「だが、ならない!全くもってならないな」


「な、何故……」


「勿論、自分のやってることを卑下するなど論外!という精神論を話してもいいが……。他にも幾つか理由はある。その中でも、一番分かりやすい理由を伝えるよう。理由は簡単。


 『現実、そんな機械は無いからだ』

 

 将来、ワープ装置ができるかもといって、

 今、車を作ってる人は妥協の産物を作ってることになるのか?PSVRが今あるからといって、ファミコンを作ってた人たちは妥協の産物を作ってたのか?

 いや、そんなことは全くない」


 興が乗ってきた。私は大きい煙を吐き出して、話を紡ぐ。


「全ては、今、如何にあるかということだ。

 自転車も、車も、電車も、飛行機も。確かに一々ご立派なのは飛行機かもしれん。

 だが、飛行機の劣化が自転車ではない。

 同じように。

 小説も、漫画も、アニメも、演劇も、ドラマも、映画も。

 『空想具現化媒体』として、色々できるのは映画などかもしれん。

 だが、小説が映画の劣化ではない。

 卑屈になる必要など無い。

 

 いや、むしろ私は。

 小説が『空想具現化媒体』として、最高だとすら思っている。

 無論、いわんや小説家もだ」


「ええっ!しょ、小説が『最高の空想具現化媒体』っすか……?」

「その通りだ!」


 両手を広げ、高らかに宣言する。


「でも、さっきまで、アニメ化装置とかがあればそれ使うかもとかいってたのに……」

「あの話には、大事な概念が抜けているからな」

「大事な概念……?なんすかそれは」


「わからないか?」

「わからないっす!教えてください!音も映像も声もない小説がなぜ!」

  

 思わせぶりに話す私に、シュバッっという音が聞こえんばかりに

 土下座する火村くん。

 いつも思ってるが、こいつのプライドのなさはある種武器だな……。いいけど。


「それはな……『コスト』だよ。作る労力、時間、金額、速度、量産性だ。

 それこそが、小説を最高の創作媒体に仕上げている理由さ。

 アニメ化装置だと……ふん。そんなものは、それこそドラ○もん並の、

 ワンタッチノーコストノータイム不思議機械が出来てこその話だな。

 どこでもドアがあれば、車職人はいらないといってるようなもんだ。

 ナーンセンス!と言わざるをえないな!


 『製作コストが安い』……これこそが、小説最大の強みだ!」


「コ、コストすか?理由って、たったそれだけ?」


「それだけ……?君ね、コストをバカにしてはいけないよ。

 コスト抜きで語れる世界なんて、この世には何一つありはしないんだ。

 君の大好きなアニメに、一体いくら時間と金が掛かると思ってるんだ?

 ウルトラざっくばらんにいえば、深夜アニメは1話1000万。1クールで諸々1.5億。

 期間だって半年から1年かかるんだよ。しかも何十人も関わってだ」


「うっ、た、確かに!」

 

「映画なんてもっとかかるし青天井。

 アニメ映画ですら凝ったのは数十億かかるのも珍しくないし、

 ハリウッド大作CG映画なんて数百億の世界だ。

 時間だって、今日閃いて明日完成というわけにいかない。

 今日閃いて、完成は1年先。いや、案をだして通すのに1年かかり、

 下手すると5年7年単位で作ってるのすらあるくらい。

 1人で作ったと言われる、新海誠監督の映画だって、制作費200万って言われてるんだよ。これでも業界最安値さ」


「言われると、とんでもない金と時間のかかり方っすね」

 

「人数だってそうさ。

 映画以外でも、週間漫画を1人で連載してるやつなんてほぼいない。

 人気になればなるほどな。アニメや映画やドラマはいわずもがなだ。

 人件費もかかる。スケジュール調整だって大変。

 コミュ力も必須。法律だって気にしなくてはな。

 金だって作品完成前に湯水のように溶けていく。

 金も人も時間も、鬼のように消耗していくのが、小説以外の創作業さ。


 でも……小説はどうか?」


 電子タバコをつまみ、彼のほうに差し向け、意見を促す。


「あ、そうか!そうっすね!

 小説は、たった1人でも作れる!

 というか……2人以上で作ってるほうが激レアっすね!

 金もペンと紙……っていうか、今ならスマホやPC一台あればいいし。

 時間だって、一週間で本一冊書き上げたりとかいう話、ありますもんね!」

 

「そうだ。アニメを見るとわかるがな、

 大体アニメの3~4話でライトノベルの一冊に相当する。

 あるいはライトノベルを丁寧にコミカライズすると、

 大体一冊に漫画じゃ3~4冊かかるものさ。

 それでも、全てをアニメやコミックには詰め込めない。カットにつぐカットだ。

 全てをアニメ化したなんて言われる銀河英雄伝説は、

 10冊が110話に増えた。10倍以上だ。

 つまり、何がいいたいかというとだな」


 そこで一息切る。大事なことだ


「『ストーリーの量産性』。

 これが、他の創作媒体を圧倒してるのさ。

レッスン2.これが【このストーリーの量産性】こそが、小説の強みだ!


少々小難しい話をしよう。聞き流し気味でも構わんが。

前に『小説の役割は感情を与えること』だといったな?

だが、より正確にいうならば『ストーリーを通じて感情を与えること』なのだ。


 人が、漫画を、アニメを、映画を見たがるのは、

 全て『ストーリー』がみたいからなんだ!

 『ストーリー』を求めるのは、遺伝子に刻まれた人の本能だよ。

 文字すら無い、言語のみの、遥か太古の昔から、

 人は『ストーリー』を通じて知識と経験を蓄え、社会性を育んできたのだからね。

 我々は『優れたストーリー』を見ると熱狂せずにはいられない。

 それは数十万年前からつながる遺伝子が命じる、本能の命令だ。

 人類最古の職業は、語り部かあるいは娼婦かと言われる所以さ」


「なんか話が壮大になってきてないっすか!」


「壮大なのさ。人の快感をさかのぼれば、それは全て原始にいきつく」


「げ、原始っすか……」


「快感の原理原則、というやつだよ。

 感情は脳が生み出し、脳は遺伝子が作り、遺伝子の基本形は原始に形作られた。

 魚を釣りたければ、魚の生態をしるのが一番高度であるように、

 人を呼びたければ、人の生態を知ることだ」 


 男が棒きれ振り回すのを無条件に好むのも原始の名残だし、

 人間が複雑さを好むのも、未知への挑戦を快感に覚えるのも、

 人がSNSを通じて情報をシェアしたがるのも原始の名残だ。

 我々の祖先は、他人の猛獣被害のストーリーから、猛獣の危機を覚えたのだ。


「太古の人は他者の経験を学ぶ時『ストーリー』を通じて学び、

 そして他の動物に差をつけた。遺伝子はそれをよく知っている。

 だから『ストーリー』は本能に根ざした快感なんだ。

 『ストーリー』を求めるのは人間の本能だよ」


「へー原始時代から俺らは、話を聞いたり作ったりしてたんすねえー」


「そのとおりだ。まあ、小難しい話はよろしい。

 話を戻そう。コストと量産性の話だ。

 

 大事なのは、漫画が1のストーリーを生み出す間に

 小説は3のストーリーを生み出すということだ。

 アニメが1のストーリーを生み出す間に、小説は10も20も生み出す。

 映画が何年もかけてる間に、小説は100も200も生み出すという事実だ。

 映画製作に関わってる人が皆小説家だったら、

 一体映画1つ完成するまでにいくら小説が生まれるのかね?

 

 小説こそ、人の本能にもっとも貢献できる創作媒体というわけさ。

 小説中毒の人ってのはね、『ストーリー中毒』なんだよ。

 映画とかの量産速度じゃ、全く自分の消費速度に追いついてないんだ。

 小説の速度じゃなきゃダメな人々なのさ」

 

「人の本能に、最も貢献できる創作媒体……。

 それが、小説……!!

 そうだ。小説家こそストーリー創作の本家本元。

 おお、そう考えると、確かに凄い!

 師匠!なんか俺、元気がでてきたっす!!」


「うむ。その意気だ」


「ん?いや、まてよ……。

 いや、でも…………。

 ……あ、でも、ダメだ……。ああ……ッ!」


 テンションが上がったと思えば、話しながら肩を落としていく。

 相変わらず上下の激しいやつだ。何を思ったのやら。


「何がダメなんだ?」


「師匠……。でもそれって、それって、プロの話っすよね。

 俺はプロじゃないし、Web小説家だってバカにされたし……」


「ふふふ……なるほど」


「なるほど、じゃないですよ。師匠!せっかくいい気分になれたのに」


「ふふふ。ところがそれで落ち込む必要は全くないんだな。

 君は、Web小説家が底辺だと聞いて反論できなかったようだが、

 私があえて言ってやろう。

 

 そう、Web小説家こそが

 『創作の最先端のクリエイターである』とな!」


「えぇー!!!マジすか!?絶対いいすぎっしょ?」


「いいすぎ?そんなことはないな。

 キーワードは……『タイムラグ』だ」 






―――――――――――――――――――――――――――――― 


7300文字

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る