番外 第5話 ブクマ100って底辺かエリートか、決着をつけようじゃないか!

なろうについて語ったものなので、なろう攻略をしない人は読み飛ばしてOKです

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「師匠……俺、自分の真の力が知りたいっす!」


 急になんか、バトル漫画の主人公みたいなことをいい出したな……。


 いつもの我が家での昼下がり。

 いつものように、親戚の火村(ほむら)君……

 彼を受け入れると、彼は部屋にあがるなり、よくわからない事を言いだした。


「……そもそも何の話だ?

 私には、ドラゴンボールの最長老みたいに、潜在能力を引き出す能力とかはないが……

 急に戦闘力をあげたい要件でもでてきたのか?」


 例のハヤブサくんとついにバトル展開に突入したとか。


「違うっすよ!それこそ何の話っすか!

 そうじゃなくて、もちろん、作家としての話っすよ!」

「小説家になろうでの?」

「なろうでのっす」


 なんだ。そっちか。

 私は、やれやれ、というポーズをしながら椅子に座る。


「そんなのは、ポイント見ればわかるだろう。

 君の投稿作は、何ポイントあるんだ」


 この子はいくつか投稿作が既にあったはずだ。 

 私と交流を持つ前の作品だったので、それに関しては私は特にアドバイスしてないが。


「それなんすけど……最初のやつで、ブクマ100ちょいぐらいで、ポイントは300ぐらいっす」 


 へー。おもったよりあるじゃないか。


「ではそれが実力だろう」


 ……とはいったものの、納得はしないだろうな。

 そういうことを聞きたいんではなかろうし。


「いやそうなんすけど……、そうじゃないんすよ!

 これって結局、どのくらい『やれてる』んすか?

 それが知りたいんすよ!

 なんかどっかで聞いたんすけど、実はこれでも『上位数%』だとか、

 でも、場所によっては『明らかに底辺』的なこと言われるし。

 そんなんが重なって、俺は自分に自信もっていいのか、よくないのか……

 俺はレースでいうと、上位集団なのか下位集団なのか……

 それがもうわかんないんすよ!」


 手をバタバタさせながら、叫ぶ火村君。

 子供か。

 ……似たようなもんだった。高校生だけど。


「ちなみに君の体感では?」


「いや、そりゃ下っすよ。ランキング作品とかの総ポイントとか見ると悲しくなるし。

 上って意識は全然ないっす」


「ふむ……よかろう。

 丁度私も気になって、小説家になろうの現状のデータを調べていたところだ。

 せっかくだ。君が

 『本当はどの位置にいるのか?』

 データと共に、私なりの解説をしていこうじゃないか」


「ええっ、マジすか!?

 それって、もしかして俺のために!?

 そ、それとも俺がこの質問をすることを、師匠は予期していた……?

 ハッ、やっ、やっぱり師匠はエスパー!?」

「違うから」


 そういうのを調べるのが好きなだけだ。

 統計というものには人を動かすパワーがあるからな。

 客観視点を研究するとは、すなわち統計を研究する事なり。

 ライティングの世界には、人を動かしたければ、

 統計学と心理学だけ勉強せよ、という言葉もあるぐらいだ。


「まあいい……。

 自らの立ち位置や他者評価を知るのは、とても大事だからな。

 レッスン2『己を知れ』だ」


「おお!新しいレッスンが!!!

 『己を知れ』って、なんか格好いいっすね!」


「まあ、己を知り彼を知れば100戦して危うからず、という言葉もあるように

 まず己を知らないと話にならん。現状上手くいってるかを知ることがまず大事だ。

 『今上手くいってるのか?』これが分からんようでは話にならん

 上手くいってればそのままでよいが、上手くいってないなら舵切りが必要だからな」


「ふむふむっす」


「それがわからない場合……

 『上手くいってるのに上手く行ってないと思い込み、勝手に自滅』

 『あるいは、上手くいってないのに上手くいってると思い込み、膨大な時間を無駄に』

 この2つを引き起こす可能性がある」


「ううッこわっ!じゃ、じゃあ俺はどっちなんすか!速く教えてほしいっす!」


「フフフ……。まあそう焦るな。

 では、ブクマ100……ポイント300は、果たしてエリートなのか?底辺なのか?

 本当のエリートは、どこからか?下位はどこからか?語っていこうじゃないか」


 私は電子タバコを口に加えながら、データを広げ始めた。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「さて、ではシンプルなところから語ろうか。

 まず、今のなろう作品は、約45万作品あるな。これはトップページ行けばすぐ分かる。

 ちょっとだけ前のデータだが……まあ、今と大して変わらんから気にするな。今でもほぼ通用する」

      ※2017/2/23時点 のデータです

      ※データとしての信頼性はほぼ変わらないと思います。時間たったのは仕事のせいです()

 

 カタカタと、ノートPCを引っ張り出し、彼にも見えるようにサイトとデータを広げていく。


「45万!そうっすね!滅茶苦茶多いっす!」


「つまり、ウルトラおおざっぱに考えれば、大体22万位以上であれば、

 上位50%。上位集団といっていいわけだ」


「そっすね。でも、それはどうやって出せばいいんすか?」


「なろうの検索順……といいたいが、あれは総合ポイント順で検索して並べても、

 上位2000位までしかでないからな。

 2000位以下の人の順番はわからない。45万もいるのにな」


「それ困るっすね。どうすればいいんすか?」


「ふっ。簡単だ。

 なろうはAPIを公開している。ゆえに、データを拾い、プログラムを組めば良い」


「ええっ!師匠、そんなことができたんすか!流石っす!」


「……といいたいが、私はプログラムはずぶの素人だ。

 API?なにそれ美味しいの?ってレベルだ。扱うことはできん。

 出来る人がいたら是非頼みたいが……」


 そんなものはいない。悲しい限りだ。


「そ、それじゃダメじゃないすかぁ~!」


「だが、諦めることはない。やれないならやれない範囲で頑張るまでだ。

 実はここで、小説家になろうのトップの左上に、ユーザー検索というものがある。

 これを使うと【その作者の獲得ポイント順】に【全ユーザー】を並び替えることができる。

 今回はこの機能を使おう。

 検索条件は『1作以上投稿したことのあるユーザー、かつポイント獲得順』だ。

 こっちは2000件以上のデータ表示が可能だ」


「え、そんなのあるんすか……マジだ。

 あ、でもこれって、複数作品持ってる人が有利になりません?」


「なるな。だが、大半の作者は、全作品ウケるなんてまずない。

 1作うけて、後は爆死みたいなのが大半だから、今回は無視しよう。

 これは実質的に1作しか投稿してないようなもんだ。

 もっというと、何作も投稿してもどれもウケてないみたいなのが大半だし」


「うっ、何故か心が痛いッ!」


「5000ポイントある作品もってても、別作は500ポイントもいかないとかザラだぞ。

 読者は作者じゃなくて作品についてるからな。まあ、これは今語ることではないが」


「うう……悲しい現実っす」


「それに、今回は1作しか投稿してない作者を中心にデータを集めるから心配無用だ」


「それ先にいってください!」


「さて、そうすると、面白いデータがでる。

 まず、なろう【全体のIDは約95万人いる】のだが……」


「95万人!それで45万作品!多いっすね!」


「1作以上投稿したID、に限ると、一気に【約15万人】まで減る。約15%まで減少したな。

 これが、登録されてるなろう作者の数といってもいいだろう」


「15万人!これが作者の数なんすねー。つーとあれか、1人3作品が平均投稿?

 意外に多いような……」


「そうだな。だが、さっきいったように、作品は平均的にはウケない。

 実力という面でみるなら、そいつの代表作1つのみに絞って、話を進めていくぞ」


「あ、そっすね。それが分かりやすいっす。

 俺も、1000Pと100Pと0Pの作品あったら、1000Pを基準に知りたいって思うし」


「うむ。まあ長々と語ってもあれだ。

 私が調べた結果をご覧にいれよう」


 そういって、私はデータを広げた。


「先にいうが、『あまり浮かれすぎるなよ』。後が辛いぞ」


「……?」

 

「みろ。これが、ポイント別の順位とパーセンテージだ。

 ……まあ、結論はあとで語るから、

 データは流し見で構わんぞ」


――――――――――――――――――――――――――――――


↓全体15万IDのうち、その順位前後かつ、1作品のみの作者を参考にポイントを記載

 数値、順位はおおよそのもの。5万P=約5万Pということ。

    ※2017/2/23 のデータ


 1位   37万P

 100位  13万P

 500位  5万P    上位0.3%  

 750位  3.2万P   上位0.5%  書籍化ラインぐらいの壁

 1000位  2.5万P         ブクマ1万ぐらいの壁

 2200位  1万P   

 1500位  1.6万P  上位1%    上位1%の壁。

 5000位  2500P

 7500位  1000P  上位5%    上位5%の壁。ポイント4桁の壁

 1万位   600P          上位1万人の壁 

 1万500位 500P    

 1.35万位 300P    上位9%  

 1.5万位  240P   上位10%  ブクマ100ぐらいの壁。上位1割の壁

 2.2万位  100P         ポイント3桁の壁

 3万位   50P    上位20% 

 5万位   16P    

 6万位   10P    上位40%  評価くれるファンが最低1人いるかの壁

 7.5万位   4P    上位50% 上位半分の壁

 8万位   2P     上位53% ブクマ1の壁

 9.5万位  0P     上位63% 以下全部ゼロポイント


――――――――――――――――――――――――――――――


「こ、これは……」


 ほむらくんが、驚愕に打ち震える。


「ふっ、驚いたかい?」


「いや、たくさんの数字見た瞬間頭破裂したっす。

 よくわかんないっす。解説ほしいっす」

「あのな……」


 お前はのび太か。全く。

 まあ、数字の羅列みたらなんかややこしそう!って思うのは分からんでもないが……。

 それでも、挫折するの早すぎだろう。


「……。まあいい。解説してあげよう。

 これによると、ランカークラスからみたらわずかであろう

 【たった1000ポイントで、上位5%】にはいり。

 君の基準のブクマ100……まあ、ポイント的には250~300ぐらいか。

 【わずか240ポイントで、上位10%】……上位一桁%に入ることになるな。

 おめでとう、ほむらくん!

 300ポイントの君は紛うかたなき、なろうエリート、上位層。

 上位1割の、選ばれた才能をもつ、物書きの申し子、優れた戦士だよ」


「そっ、そうだったのかー!!!うおおおお!俺すっげえ!

 300ポイントは、やはりエリートだったんすね!」


 テンションがバク上がりしたのか、バンザイを始めるほむらくん。

 うーん。こんぐらい素直だと人生楽しいだろうなあ。

 この喜び顔を、ここから消さないといけないなんて、悲しいなあ(棒読み)。


「……といいたいが、喜ぶのはまだ早い」


「……え?」


「これを素直に受け取るのは危険だ。

 ……なぜならこれは、表層のデータにすぎないからな」


「ええっ?」


「さっきいっただろう。浮かれすぎると、後が辛いぞ、と」


「えっ?や、やだなあ師匠……脅かさないで下さいっすよ。

 データが示してるじゃないすか。俺は上位一桁の才能だって……」


「本当にそう思うのか?体感で、上位才能だと思えるのか?

 ランキングには届かず、末端にも乗れず、注目されてる実感もないのに?

 その実感がないから、相談にきたんではないのか?」


 電子タバコを口から外し、彼の目の前に問い詰めるように突きだす。


「うぐぅ……ッ!そ、それを言われると……。確かに体感では……。

 じゃ、じゃああれっすか……師匠は、これが偽りのデータだと?」


「いや、偽りではない。誰がやってもこの結果はでるだろう。

 しかし、それで満足してはデータ解析はできない。

 質問を変えるんだ。視点を変えてみよう。

 ほむらくんは、さっきこう言ったな。

 【レースの中で、上位か下位か知りたい】……と。

 そう、大事なのはレースの中での順位だ。

 このデータにはある視点が欠けている」


 すぱぁ……と煙を吐き出しながら答える。


「そ、それはなんすか?」


 はやる火村君。焦らない焦らない。

 気持ちはわかるが、先に確認するものがある。


「その前に聞こうか。

 君は、例えば連載の最終目標は何かな?

 人気的な意味でだ」


「最終目標すか?そりゃー、書籍化っすよ書籍化!

 勿論、打ち切りとかじゃなくて、最初から最後まで書籍化っす!

 そんで、売れて人気出て、アニメ化とかまでしてくれたらサイコーっす!」


「そうだな。本を出したい……。本を書きに来ている……。

 これはつまり、ざっくりいえば【長編を書きにきている】。

 ネットという媒体を通じてね。こう表現して、問題ないか?」


「長編を書きにきてる……すか?そうっすね。問題ないと思うっすよ」


「そして、読者もそうだ。短編や中編ではなく、

 大半が【長編を読みに来ている】。しかも、場合によっては数冊にまたがる超長編だ。

 短編を読みに来てるのは、ごくごく少数。

 異論はあるか?」


「んー……特にないっすね。短編や中編ってほとんど人気ないっすから。

 ランキングでも日間に恋愛がたまーにでるぐらいで、週刊以上だといないし。

 みんな長編……最低でも、本1冊に値するぐらいの『長編を読みにきている』と思うっすよ。

 3万文字とかの読んでる人でも、最終的にそんぐらいなると思って期待してるんじゃないんすかね。

 俺も読者のときは、何十万文字もある良作を探すのが楽しみっすからねえ」


「そうだろうな。私もそれに異論はない。

 ……そして、そこでさっきの質問に戻ろう。先のデータで見えないものは何か?

 何故、300ポイントで上位9%と言われてもしっくりこないのか。

 それは簡単。さっきのデータは……」






「【本一冊に到底届かないようなものも、拾ってるからだ!】」






「そっ……それだぁーーーーーー!!!!!」



 両手で人を指差すのは感心しないぞ、ほむらくん。

 衝撃をうけたのは分かるが。


「簡単にいえば、【下を拾いすぎ】だ。このデータは」


「そうかーそれかー!しっくりきたっす」


 ぶんぶんと首を縦にふりまくる彼。ちぎれそうだ。


「そうだな。たとえるなら、君は42kmのマラソン選手だ。

 これから大会にでる。

 もし、大会で華々しい成績を残せば、スポンサーがついて就職できるとしよう。

 なろうでいう書籍化だ。

 トップならオリンピックだって見えてくる。アニメ化だな。

 だが、その大会は、一般人も誰でも参加できる大会だ。記念参加も大勢いる。

 大半は、42kmどころか10kmすらいかないうちに脱落してしまう。

 そんなランナーが9割を締める。

 そんな中で、上位1割ですといって、嬉しさを果たして感じるだろうか?

 大事なのは、同じくプロを目指してる……最低でも、42km完走できる人の中での順位じゃないか?

 完走できる人の中で、最下位では、華々しい成績とはとてもいえず、

 勝ち組と言われてもしっくりくるまい」


「うぬぬ……それっす!まさしくそんな感じっす!」


「では、なろうでいう『完走できる人たち』……長編作品として、

 ライバルとなりえる、レースに参加している作品とは、どこらへんからだろうか?」


「どこらへんからが、レースに参加してるか……、すか」


「例えば、君の目の前に3000文字で、プロローグ1話だけ投稿してエタった作品があるとする。

 これをライバルだと思うかい?

 これと比べて出来がいいと言われたり、こういうプロローグだけの作品100個のなかで1位といわれて君は嬉しいか?」

    ※エタる=永久的(エターナル)に更新再開が望めないような状態のこと


「いや、全ッッッ然思わないっす!そもそもそれ作品の体をなしてないじゃないすか!

 そんなもん、何十個並べたところで、勝ったとか全く思わないっすよ!」


「そうだろうな……。これはレースに参加していない。では、どれぐらいからライバルだと思う?

 3000文字はダメだ。3万文字では?勿論未完の話だ」

「うーん……それもちょっと少ないような。長編っていうには物足りないっす」

「5万文字」

「中編ってイメージすねー。読み足りないっす。

 大半の作品でも、世界観が落ち着いて、物語がこれからってとこじゃないすかね」

「そうだな。同意見だ。

 辞書的な意味だとまた話は変わるが、そんな細かい話を今はしていない。

 では、10万文字」

「あっ、それは結構、満足するっすよ!長編って、そこらへんからのイメージっす。

 なんか、そこらでエタっても、そこそこ読めたしまあいいか……的なのはあるっす」


「うむ。いい勘をしている。実際、『本1冊は10万文字前後』だからな。

 10万文字は、1つの区切りだろう。これが、私は先ほどのマラソン42kmに値すると思う」


「なるほどー。じゃあつまり……」


「そうだ。10万文字を1つの区切りとして『レースに参加してる、ライバル』と定義したい。

 それ未満のは、どうせ書籍化もされないし、いないも同然として扱ってみよう」

   

 9万文字とかで書籍化されてるのもあるが……極少数の例外として無視だ。

 例外を軸に議論してもろくなことにならない。


「ちょっと乱暴な気もするっすけど、分かり易くはあるっすね」


「また、ライバルという意味で、『今、活動してない作者、作品』も除外する。

 いわゆる、長年放置されてることが明らかな作品だ。

 ランキングにもでないし書籍化もほぼないしな」


「エタったりしたやつっすね。確かに同感す」


「また、ノンジャンル作品も除外だ。これはランキングにでてこないからな。

 昔のジャンル再編で、強制的にノンジャンルになった作者がもういない過去作品に多いな。

 これもライバルたりえない」


「ふむふむ。同意っす」

 

「というわけで、なろうの検索から、色々除外した時のデータがこちらだ。

 これは普通に、なろうの詳細検索から検索設定をいじりながら抽出した。

 例によって、流し見でも構わない」


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小説家になろう登録作品約45万作品 の内訳(17/2/11時のデータ)


ノンジャンル除外                   16.5万作品 64%脱落 

ノンジャンル+短編除外                9.4万作品 43%脱落 (全体45万の21%)

ノンジャンル+短編除外+長期停止除外         5.5万作品 41%脱落 (全体45万の12%)

ノンジャンル+短編除外+長期停止除外+5万文字以上  2.3万作品 58%脱落( 全体45万の5%)

ノンジャンル+短編除外+長期停止除外+10万文字以上 1.4万作品  39%脱落  (全体45万の3%)


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「ん?この、○%脱落ってなんすか?」


「一個上のデータから、何%減ったか、という表記だ。

 例えば一番上は、全体45万作品から、64%減って、16.5%ということだ。

 二番目は、一番上からさらに43%減った、ということだな。

 言っておくが、大雑把にな」


「条件足すたびに、めちゃめちゃ減ってるっすね……。

 2番目、短編とノンジャンル除外だけで、36万作品も消し飛んでますよ!

 最後なんて、1.4万作品しかないじゃないすか!」


「そうだな。この1.4万作品が、

 今も活動し、かつ10万文字というそれなりの区切りに到達した

 『ちゃんとした成績を出したライバル数』といえる。

 全体の3%しかいないな」

「3%……」

「全体の45万から、43万作品以上脱落してるな」

「多ッ!」


「まあ、もっとざっくりいって。

 『10万文字以上書ける人達』という区切りでもいいけどな。

 10万文字……本1冊分書いてる、書ける活動中の作者は、全体3%しかいない。

 10万文字書いた時点で、活動中の作者としての上位3%に入る……こういう言い方は出来るとは思う。

 まあ、ある程度評価無いと10万文字そもそも書く意味を見いだせないとかはあるから、

 一概には言えんが、大雑把にな」


「10万文字書けるって、思ったより大変なんすね……」

「まさに、フルマラソン42kmを走った作者か、記念参加かどうかぐらいの差はあるな。

 物書きにおけるZ戦士か一般人かぐらいの差がある」

「うーむむ……」


「ちなみに、これは完結作品も入れた数だからな。

 完結作品は、もう動いてないので、ライバルに入れないという考えもある。

 アクティブではないからな」


「それも知りたいっす!」


「だろうな。調べてある。完結作品も除外するとこうなる」


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ノンジャンル+短編除外+長期停止除外 5.5万作品 41%脱落 (全体45万の12%)

同上+完結除外            2.5万作品 55%脱落

同上+完結除外+5万文字以上      9300作品 64%脱落 (全体の2%)

同上+完結除外+10万文字以上     6200作品 33%脱落 (全体の1.3%)αパターン


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「すくなっ!ついに1万を切ったっすよ!た、たった6200作品!?

 嘘っしょ!書籍化作品だけでも700作品近くあるのに!」

              ※2017/05/07頃の話です


「完結作品を、ランキングレースのライバルに含まないならこうなる。

 私はこっちの考えだが。完結は基本的に完結の瞬間以外、

 ランキングに居続けることも登ってくることもないからな。

 ランキング競争という意味で考えるなら、

 これが『ランキングレースをしっかりと争っている、本当のライバル数』だ」


 まあ、3万文字とかでランキングに出るやつもいるから正確じゃないけど

 ざっくりこういう考えでも構わんだろう。


「6300作品……。全体の1.3%……。

 これが、本当のライバル数っすか!

 45万作品あっても、44万作品はライバルたりえないんすね……!」

 

 この子、さっきから驚愕に目を開きっぱなしだな。気持ちはわかるが。


「ランキングレースという意味ではそうなるな。

 10万文字書くというのはなかなか大変だし、古い作品も多いからな」


「じゃ、じゃあ……

 『俺はこの中では、結局どのくらいの位置』なんすか?

 それが知りたいっす!」


「慌てるな。調べてある。そうだな。先程の6200作品の検索条件……

 『ノンジャンル除外、短編除外、長期停止除外、完結除外、10万文字以上』を

 αパターンとした場合の、それぞれの順位の結果を示そう」


「αパターンが、『今ランキングレースに参加してる人数』って意味で

 良かったんすよね?」

「そうだ」


 私はそういうと、データを広げる。


「なろうの仕様上、上位2000位までしか見えないのが残念だが……こんな感じだ。

 これで全部の順位が見えたのなら、この考察ももっと見やすくできたのだが。

 まあいい。これも流し見でもいいぞ。結論はあとで語る」


———————————————

■絞ったαパターンの中での、更にその中での詳細な人数分布数。


 ※データは17/2/11のもの

 αパターン=『ノンジャンル除外、短編除外、長期停止除外、完結除外、10万文字以上』詳細検索

 の約6200作品を検索条件とする


  100位 上位1.5% 総合7万。ブクマ2.7万。

  310位 上位5%  総合3万。ブクマ1.1万。

  620位 上位10%  総合1.2万。ブクマ5000.

  700位 上位11.3%  総合1万。ブクマ4400。

 1000位 上位15.9%  総合4000.ブクマ1100。

 1690位 上位26.9% 総合1000.ブクマ415.

 2000位 上位32%  総合650.ブクマ245。

 

———————————————


「この上位○%というのは、αパターンの中での、上位○%という意味だ。

 7万とかはポイントな。その順位にある作品のポイントブクマを、適当に書いておいた。

 検索時期によって多少違うだろうが、そんなにはズレないはずだ」


「これが、『アクティブ6200作品の中での、何ポイントもった人間が、何人いるか?』って

 データってことすか?」


「そうだ」


「あ、あれ?おもったより激戦区……。

 これみると、500ポイントあっても、上位1/3にも入ってないんすけど……。

 100ブクマ、300ポイントあれば、上位9%のエリートという話はどこへ!!」

「どっかへ」

「これ下みれないからっすけど『300ポイントって多分、ど真ん中ぐらい』っすよね?

 めっちゃふつーというか、めっちゃよくいる人達って感じじゃないすか!

 しかも1000ポイントあっても、上位25%にすら入れてないなんて!」


 バンバン!と、悔しげに机をたたく火村君。

 今にも泣きそうである。楽しい。


「うむ。『1000ポイントは別に上位ではない説』が登場したな」

「悲しみ!」


「そうだな……これをみると、上位1割だと胸を晴れるのは、

 『大体1万ポイントを超えてから』のようだな。

 書籍化ラインであろう、3万ポイントを超えるには、上位5%に入る必要がある」

「体感とは大分あってますけど!あってますけど!夢が壊れたっす!

 俺はやはりエリートではなかったんすね!」


「そうか?私は逆に、なんとも夢のある結果だと思うがな」


 まあエリートでないのは確かだが。


「えぇ……なんでですか」


「うむ。こうも考えられないか?

 『10万文字に到達すると、ポイントや評価は自然とついてくる……』と。

 これは、一番上のユーザー検索をしていたときに気づいたのだがね。

 面白いことに、上のほうほど執筆文字数が非常に多いのだ。

 逆に、下に行けば下に行くほど、文字数は極端に減っていった。

 3万文字以下なんて上にはほぼいないが、下は1万文字以下すらざらだ」


「10万文字書くと、ポイントは勝手についてくる……?」


「そうだ。君もそうだろう?5000文字とかの作品を、評価する気になるか?

 長編視点でみれば、序盤も序盤。プロローグが終わったばかりというところだ。

 この程度の文字数では、評価保留する人が多いのではないかな」


「確かにそうっすね。あんま少ないと、評価つーか、ブクマすら見送ることも多いっすね。

 つうかまあ、読む気がそんなにしないっす」




「そうだろう。そういうわけで、

 『10万文字あればポイントは稼ぎやすいのか?』

 この視点で少し調べてみた。どうだ、気になるだろう?」


 


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