概要
私をかつて神のごとく支配していたあの子の、末路。水族館で、観賞します。
学生時代、野暮ったい私を神のごとく支配していたあの子が、人魚になったと聞きました。
なので、気になった私は、水族館に行くことにしました。
夜デート。
あか抜けた社会人となっていた私は、イケメンで社会的地位もある申し分ない婚約者と腕を絡めつつ。
元は人間であったという加工済みの「人魚」や「人くらげ」のいる、首都のお洒落な水族館で。
「人魚ひめになりたい」とかつて言っていた、あの子がはたしてどうなっているのか、たしかめに行きます。
……さんざん私の醜さを牛だ豚だと嗤ったあの子は、はたして、人魚となったいまもうつくしいのでしょうか?
なので、気になった私は、水族館に行くことにしました。
夜デート。
あか抜けた社会人となっていた私は、イケメンで社会的地位もある申し分ない婚約者と腕を絡めつつ。
元は人間であったという加工済みの「人魚」や「人くらげ」のいる、首都のお洒落な水族館で。
「人魚ひめになりたい」とかつて言っていた、あの子がはたしてどうなっているのか、たしかめに行きます。
……さんざん私の醜さを牛だ豚だと嗤ったあの子は、はたして、人魚となったいまもうつくしいのでしょうか?
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!語らない部分にも凄みがあります。
「私」が語る強烈なお話でした。ただ、「私」だからこそ、口にしない部分も、それに負けないくらいの凄みがありました。
「私」にひどい仕打ちをする「あの子」が、単なる悪意の塊りではなく、物を考え、何かを感じ、まわりとのギャップにとても喘いでいる、そんな風に「あの子」が生々しい一人の人間として浮き彫りにされている様な気がしました。
それに、初対面の「あの子」が「私」に辛辣な言葉を浴びせる際には、「あの子」がうつむいて逡巡するだけの理性を持っていたにもかかわらず、看過できずに感情を爆発させる。また、今の二人が顔を合わせる時には、別人の様に変わった今の「私」に「あの子」が気付くのか? その時の反応か…続きを読む - ★★★ Excellent!!!残酷と醜悪の中の美を描き出す、強烈な短編
落ちぶれた中学時代のいじめっ子を、順風満帆の人生を送る今、あざ笑いに行く。
あらすじにするとそれだけの話だが、それを描き出す筆致に凄まじい情念がこもっている作品です。一言一句、読むこと自体が焼き付くような読書体験を残す。カクヨム公式レビューの紹介から気になって来たのですが、読んで良かった!
どういう人間が加工されてしまうのか少し気になりましたが(転落した、というのも一口に言って広いので)、そこは語られなくても物語としてまるで問題がない。逆に言えば、人が人でなくされてしまう社会がこの世界の人に受け容れられているということで、ゾッとする感触が多段重ねになって読み取れます。
ポリティカル・コレ…続きを読む