――作品紹介―― 希望は躍る大八洲
リア「うちの作者はね、好きだけど書けない小説のジャンルが3つあるの」
ワタリ(3つ?)
リア「1つ目は推理小説、2つ目はサイエンスフィクション、そして3つ目が歴史小説ってわけ」
ヒュパティア「SF好きとは小生も初耳だわ。まあ、その中で特に苦手なのは3つ目よね」
ワタリ(意外。なんか参謀本部っていうからには歴史得意そうなのに)
リア「得意なのと書けるか書けないかは別問題なのよ。あ、それよりサンカクが焼けたわ。ワタミちゃんも食べる?」
ワタリ(僕はブラック企業じゃないよ。黒いけど。お肉は食べる!)
エル「俺はいつものお菓子の山の方が良かったな」
ワタリ(スタッフの笑い声)
――――今回のゲスト!――――
リア「今回は久々に人外のゲストが来てくれたわ!」
エル「どっちかっつーと、あんたも人外だろ。それはともかく、今回のゲストは大臣 様:著『僕らが届けた、大切な物』より、カラスのワタリ君に来てもらった」
ワタリ(ワタリガラスのワタリです。ヨロシクね)
ヒュパティア「ワタリは筆記かタブレットがあれば人間と同じように意思疎通できる、ぜひとも研究材料にしたいくらい知能が高い鴉なの。ちなみに今は、タブレットをガシガシ突っついて文字にしてるわ」
ワタリ(ドリルくちばし!)
リア「
エル「確かカラスは通常でも6歳児並の知能を持つと聞いている。だが、ワタリ君は明らかにラグズ (FE蒼炎・暁の獣人種族)並じゃないか」
ヒュパティア「まあ、メンバー入れ替えでこうして人外ばかりが集まったことだし、今日も気ままにやりましょ。ほーら、イチボが焼けたわ、どんどん食べなさい」
ワタリ(うん、おいしい!)
リア「いい食べっぷりじゃない! ジャンジャン食べなさい!」
ヒュパティア「人間3人とカラス1羽で焼肉食べてるなんて知ったら、日本人グループは怒りそうね」
エル「しかも見せつけるように高級部位ばかり集めやがって」
リア「いいじゃない。絶対神たる私のポケットマネーなんだから!」
ワタリ(スタッフの笑い声)
エル「ちなみにワタリ君には、今日はADもやってもらっているぞ」
――――今回のテーマ――――
『卑弥呼とスサノオの系譜〜邪馬台国物語1〜』
時織拓未 様:著
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882216268
ヒュパティア「さて、神様サミットシリーズの最後を飾るのは、古代日本を扱った歴史小説よ。時代的には古事記とか日本書紀とかで描かれている、1次資料がほとんどない時代の話ね」
リア「ああ、あの「挨拶はちゃんとしましょう」的なことが書かれているアレね!」
ワタリ(言うと思ったヨ!)
エル「古事記に忍者は関係ないし、著者は転生しない。いいね?」
リア「アッハイ」
ワタリ(スタッフの笑い声)
ヒュパティア「いきなり脱線させないでもらえるかしら。物語の内容なんだけど、卑弥呼がいた時代から神武天皇が即位した頃の時期までを、日本書紀や古事記の記載をもとにして現実のスケールに収めたってかんじね」
ワタリ(つまりどーゆーこと?)
エル「要するに封神演義から登場人物はそのままにファンタジー要素全部抜いて、完全な歴史小説にしたと同じことと言えば話は早いか」
リア「歴史的な神話の大半って、少なからず歴史的事実に基づいて脚色されているのよね。だから、その逆もできるってわけね」
ワタリ(なるほど! 古事記や日本書紀の登場人物が、実際の人間として生きていたらどうなるかっていうお話なんだね)
ヒュパティア「そういうこと。まず、前提としてこのお話は「邪馬台国九州説」……つまり、歴史で初めに習う卑弥呼がいた邪馬台国は九州にあったという仮説を採用しているわ」
エル「作者はどちらかと言えば近畿説派 (※邪馬台国は奈良にあったという説)だが、ぶっちゃけ科学的には九州派の方がしっくりくることは確かだ」
ワタリ(物語の最初から卑弥呼とスサノオが両方出てくるんだね。しかも卑弥呼の隣には建御雷がいるし。なんだか不思議な感じ)
リア「卑弥呼とか邪馬台国みたいな魏志倭人伝に出てくる単語はそっちが優先なのね」
ヒュパティア「数少ない一次資料に出てくる名前だからじゃないかしら。「筆記」のテクノロジーが遅れてる国は不便よね」
ワタリ(初めの方は石灰石がどうとかこうとかって言ってる。あと、レンガや鉄の話もよく出てくるね)
ヒュパティア「著者の時織拓未様は、カクヨムでは比較的珍しい理系の思考体系を持っている方なのよね。今回の物語での大きな特徴は、古代日本の変遷を科学的な視点から再構築している点にあると思うわけよ」
エル「まるで、シヴィライゼーションの日本プレイをしているような物語だなと感じた。文明は戦略資源とテクノロジー、そして立地がすべてだということがよくわかる」
リア「ファンタジーだとあまり重要視されないけど、鉄ってとっても貴重な資源なのよね」
ワタリ(この小説読むと、なんかすごく勉強になる。あと、お肉食べたい)
ヒュパティア「カイノミが焼けたわ。ほら、たーんとお食べ」
ワタリ(わーいヽ(゚∀゚)ノ)
エル「お前は部下には無駄に厳しいくせに、動物には甘いんだな」
ヒュパティア「だって可愛いじゃない。それに人間は裏切るけど、動物は裏切らないわ」
リア「どこのロシア大統領なのよあなた」
ワタリ(スタッフの笑い声)
リア「まあそんなわけでこの作品は、単なる歴史小説じゃなくて、科学的考証が重点的になされてる意欲作ってわけよ」
エル「最初期から繁栄を極めた邪馬台国は徐々に凋落し、逆境を切り抜けようとあがいたスサノオとその一族はテクノロジーを発展させつつ盛り上がっていく。最近はやりの内政系のファンタジーが好きなら、是非お勧めしたいところだ」
ヒュパティア「文明っていうのは、必要に迫られないとなかなか発展しないものよね。古代で最先端を行った文明で、現代でも先進国になってるのは中国くらいじゃないかしら」
ワタリ(そういえば、冒頭で好きだけど書けない小説に歴史小説を上げてたよね。なんで?)
エル「身内の恥はあまり晒したくないんだがな……。さっき言ってた推理小説、SF、歴史小説に共通する点ってなんだと思う?」
ワタリ(え? なんだろ? フィクションが苦手ってわけじゃないよね?)
リア「むしろ逆ね。うちの作者はフィクションは得意だけど、ノンフィクションは苦手なの。そしてこの3つに共通するのは、小説執筆に多くの知識を持つ必要があることなのよね」
エル「3つの中でもSFは苦手と言うか思いつく題材が陳腐すぎて、形にしようとすら思わないだけだな」
リア「元ADのユカリが泣くわね!」
ワタリ(スタッフの笑い声)
ヒュパティア「推理小説も書けと言われれば書けなくはないけど、わざわざ書こうと思うようなトリックが思いつかないわけよ。いつか奏を主人公にした推理小説を形にしたい気持ちはあるみたいだけど、なまじ作者が頭よろしくない人間だから、敵の頭が悪い最悪な小説になること請け合いってわけ」
エル「その点ファンタジーは多少設定ガバガバでも何とかなるのがいいよな。勢いさえあればどんな事やっても許される」
ヒュパティア「そんな考えだから「なろう系書く作家は例外なくバカ」とか言われるのよね」
ワタリ(ヒデェ)
リア「で、肝心の歴史小説なんだけど、これが一番の問題でもあるわ。何しろ作者は半端じゃないくらい歴史小説好きだから、どうしても書く側になるとハードルを高くしてしまいがちらしいわ」
エル「上2つと同じで書きたい題材がなかなか見つからないというのもあるが、たとえ題材が見つかったとしてもリアルリアリティを重視しすぎて滅茶苦茶になりかねん」
ヒュパティア「だからうちの作者は常日頃から、歴史小説を書ける作者様を何よりも尊敬しているの。それはもう「書ける」だけで崇める勢いよ」
ワタリ(好きすぎて逆に書けないっていうのも珍しいなぁ)
エル「好きな歴史題材は大体もう傑作があるから、それで満足してしまうのもあるかもしれないな」
ワタリ(あー、つまり参謀本部の人はオリジナル成分が強くないと書けないんだね)
リア「そーゆーこと。歴史小説はわざわざ下手な自分が書かなくても、面白く読める小説がたくさんあるの。そして、どうしてもイメージがそれに引っ張られるから、何を書いても2番煎じにしかならないんじゃないかしら」
ヒュパティア「ほんと面倒くさいわね」
エル「もっと言えば、俺たちの物語も作者がわざわざ書くよりも、別の誰かに書いてもらった方がよっぽどいいものが出来そうだけどな」
ヒュパティア「それを言っちゃぁおしまいよね」
ワタリ(スタッフの笑い声)
エル「よし今回の作品紹介はここまでとしよう。中身の紹介よりも、そのほかの解説が多かった気もするが、間違いなく良作だからぜひ目を通してほしい」
ワタリ(神話と言えば、どんな話にもよくカラスって出てくるよね)
リア「何か共通点はあるのかしらね。ノアの箱舟にしろ八咫烏にしろインディアン神話にしろ…………でも、高級焼き肉を食べるカラスはあなたが初めてだと思うわ」
ヒュパティア「カラスは導きの象徴だからじゃないかしら。ワタリには今後も困っている人を導いていってほしいものね」
ワタリ(道案内ならまかせろー)
リア「えらいわワタリちゃん! シャトーブリアンあげる!」
ワタリ(いやっほー!)
エル「カズミや浅井君がこれを聞いたら卒倒するだろうな」
※作者注:
大臣様、2つ連続でキャラクター提供ありがとうございました♪
参謀本部 南木 @sanbousoutyou-ju88
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