――作品紹介―― ドラゴンラプソディ

菜奈姫「ククク、遂に我の時代でばんが来たか……! 神様を待たせるとは、この組織も随分と偉くなったものよの」


エル「あー……それについては本部を代表して俺たちが謝っておこう。本当に待たせてすまなかったな」


菜奈姫「よいわよいわ! 我はどこぞの自称絶対神と違って器が広いからの。その代わり、今日は存分に楽しませてもらおうぞ!」


ヒュパティア「そうね。実地実験小説に思いのほかのめり込みすぎて、文章を書く活力が全部そっちに吸われたせいで、作品紹介文章がなかなか思いつかなかったとは、口が裂けても言えないわね」


菜奈姫「だったら裂けてもいないのに言うでないわ! というか、原因はそっちか!?」


(スタッフの笑い声)



――――今回のゲスト!――――


奏「今回は久しぶりにゲストの方が来てくださいました。阪木洋一 様:著『お主の欲望を我がために』より、緒頭町の土地神であらせられます、菜奈姫様です」


菜奈姫「じゃじゃーん! 菜奈姫じゃ、よろしく頼むぞ!」


エル「菜奈姫は、作中では「菜奈神様」と呼ばれていて、町の人たちが日々豊かに生活できるように見守ってくれている、ありがたい神様だ」


カズミ「うわぁ、本当の神様だ! 見ているだけでありがたい気持ちになってくるね!」


菜奈姫「うむうむ、そうじゃろそうじゃろ! この機会に、我をありがたく拝んでおくとよいぞ! ククク、未覚醒とはいえ竜王からの信仰じゃ! さぞかし凄まじい力になるであろうな!」


カズミ「おぉ菜奈神様! なんまんだぶ、なんまんだぶ……」


菜奈姫「たわけ! 宗教が違うわっ!」


(スタッフの笑い声)


ヒュパティア「現代っ子って、えてしてこんなものよね。菜奈姫さんは神道の神様だから、最近は信仰が増えなくて困ってるんじゃない?」


菜奈姫「いんや、そうでもないのじゃ。昔より圧倒的に人が増えた分、個々人の信仰はささやかでも、それなりの量は確保できるからの。じゃが、強い欲望ほど叶えた時に手に入る徳が多いのは確かじゃな!」


奏「それで、一見安全そうな割に大きな欲望があったから、扱ってみたと」


菜奈姫「神聞きの悪いことを言うでないわ。ま、やはりどこぞの絶対神とは違い、大勢の人間の人生を平気で狂わせるようなことはせぬ」


エル「まあ、あれと比べるのはな……」


奏「やってることは似てる気もしますけどね♪ では、そろそろ作品紹介に移りましょうか」



――――今回のテーマ――――


『龍眠る宿』

柚緒駆 様:著

https://kakuyomu.jp/works/4852201425154883981


ヒュパティア「今回から数作連続で「神無月――神様サミット2018」に応募してくれた作品の中で、特によかった作品を取り上げていくわ」


エル「2018年10月に参謀本部が主催した自主企画だな。「神様あるいは神に類する存在が登場する作品」に集まってもらうだけだったが、予想以上に集まってくれたようで、我々も嬉しく思うぞ」


奏「ちなみに、菜奈神様は出なかったのですか?」


菜奈姫「いや、我はそのような集まりは存在自体知らんかったぞ?」


カズミ「作者の知名度の低さが足を引っ張ったか」


菜奈姫「こればかりは、我のような有能な神でもどうにもできんの」


(スタッフの笑い声)


カズミ「話を戻すと、今回紹介する作品は…………遺伝子工学が発達した近未来で、生物改良で龍――つまりドラゴンを作り出せるようになった世界が舞台だ。作り出されたドラゴンは、もちろん買うのにも飼うのにもお金がかかるから、お金持ちしかペットに出来ない。そんな人向けに、世界で初めて「ドラゴン専門」のペットホテル『龍のお宿 みなかみ』が日本にオープンした。主人公は、『龍のお宿 みなかみ』で働くスタッフなんだけど…………癖の強い経営者や、押し寄せるマスコミ、そして巻き起こる不可解な現象の数々など、彼の気が休まる時間は殆ど無い。はたして、主人公はこんな状態できちんとドラゴンのお世話をできるのか? というお話だね」


ヒュパティア「今回の説明は、いつも以上に気合入ってるわね」


奏「カズミさんは一応竜王ですから、ドラゴンにシンパシーを感じるのでしょうね」


菜奈姫「なるほどのぅ、ジャンルは現代ファンタジーじゃな。遺伝子工学でドラゴンを作るという説明文からは、あまり神が出る気配はせぬが……いったいどんな神が出るのかのう」


エル「この作品で出てくるのは、主に外国の神様だな」


ヒュパティア「外国の神様と言うと、まず真っ先に思い浮かべるのはキリスト教やイスラム教よね。両方ともドラゴンは宗教的に悪の化身と扱われるから、そっち関係で敵対するかと思う人もいるんじゃないかしら」


菜奈姫「違うのか?」


カズミ「作品ページに飛んでもらえばわかるけど、外国は外国でも、出てくるのはインドの神様だ」


菜奈姫「おーおー! あのよく踊っている神達じゃな!」


奏「インドの神様は踊るんですか!?」


ヒュパティア「意外なところで神様の一面を覗けた気がするわ。でも、神様もなんだかんだ言って人間味豊かよね」


カズミ「そうそう、この作品の神様たちも本当に人情あふれる人たちばかりでさ! 読んでいてなんだかほっこりしてくるんだ」


菜奈姫「神様にもいろいろ事情があるのじゃよ。いろいろな。で、神のことはこの際置いておくとしてじゃ、主人公はドラゴンを扱うペットホテルの従業員なのじゃな?」


エル「ああ、彼は本当にどこにでもいそうな普通の青年なんだが、ドラゴンの飼育と言う危険な業務に携わっている。まだ経験が浅いのか、色々危なっかしい面もあるが、意外と芯の通った好青年でもある」


奏「もっとも、従業員は経営者を除けば彼一人なんですけどね」


菜奈姫「重要な施設じゃというのに、えらい人手不足なのじゃな」


ヒュパティア「まあ、そんな感じで、世界観の説明をしつつ物語はドラゴンと共に進んでいくわけだけど………」


カズミ「この作品の特徴は、のんびり進むと見せかけて、結構急展開が多いんだよね」


菜奈姫「ほうほう! それは興味深いのう! 序盤からいきなり「神降臨!」とかあるわけじゃな!」


奏「はい、その通りです♪」


菜奈姫「…………我は冗談で言ったつもりなのじゃが」


(スタッフの笑い声)


エル「この作品は全体で10万字と、そこまで長くはないのだが、その分物語が圧縮されていて、勢いが止まらないんだ」


ヒュパティア「あと、作品内容をこれ以上語りにくいのよね。少しでもネタバレしてしまうのは面白くないわ」


菜奈姫「読んでからのお楽しみ、と言うわけじゃな。では、そのほかに魅力的な部分はあるのかの?」


奏「やはり、私たちが紹介するだけあって、読みやすさは保証できますね。文章が柔らかくて、なおかつ情景描写がわかりやすいように工夫されています。これだけレベルの高い文章を書ける方も、そうそういないのではないでしょうか」


ヒュパティア「著者の柚緒駆様は毎日エッセイ……というかコラムのようなのを書いているから、読ませるレベルが高いの。そっちも色々参考になるから、見てみるといいわ」


菜奈姫「継続は力なり、じゃな。我らは、自分の力で頑張ろうとする者を助けるのじゃ。0に何を掛けても0じゃからのぅ」


エル「先ほども言った通り、物語を圧縮する技術も素晴らしいと思う。特に参謀本部の作者は、どうしても文章を全体的に長くしがちだからな。きちんと短い文章で、色濃い物語を構成できるのはうらやましい限りだ」


奏「日々特訓あるのみですね。今回の実地実験小説も、当初の文章量の2倍以上に伸びていますし」


カズミ「学ぶと言えば、この作品は登場するドラゴンのこともいろいろ知ることができるんだ。ドラゴンと一口に言っても、その種類は結構多いからね」


菜奈姫「ドラゴンは「強さ」の象徴じゃからな! それぞれの土地での力のイメージも様々なのじゃろう」


ヒュパティア「それに、ドラゴンだけじゃなくて、ドラゴンにまつわる神様や、ドラゴンが関わる言い伝え、そしてそれを取り巻く神話生物の数々…………この文章量で為になることが山ほどあるの」


奏「物語としての完成度も高いだけでなく、教養もたくさん身につくなんて、とてもお得だと思いませんか?」


菜奈姫「確かにな。今ちらっと読んでみたのじゃが……登場人物が凄まじいことこの上ないのう」


エル「今回の自主企画はそれなりに高いレベルの作品が集まったが、この作品が群を抜いて出来がいいと思う。ドラゴンが好きな人や、現代物、SF、ファンタジーのどれかが好きな人なら、きっと気に入るはずだ」


菜奈姫「しかし、ファンタジーとはいえ作中のドラゴンはきちんと火を吐くのじゃな。ククク、いつかナユキと戦わせてみたいものじゃ!」


カズミ「勝てないと……は言い切れないのが、あの子の凄いとこだよね」


(スタッフの笑い声)



ヒュパティア「今回の作品紹介はこんなものね。いかがだったかしら、神様?」


菜奈姫「うむ、確かにこれを読まねば損をするな! こういった作品は、どんどん日の目を見るべきじゃ」


エル「事前の予想では、神様が主人公を転生させる話が多く集まるかと思っていたが、意外としっかりした作品が多かったのは嬉しい誤算だ」


カズミ「この作品に限らず、これから紹介していくのは、面白いだけじゃなくていろいろ勉強になると思う。日々学ぶのも、作家として大切だね」


奏「菜奈神様も、今回はゲストに来ていただいてありがとうございました。今回は内容が内容でしたので、どうしても菜奈神様にお越しいただきたかったのです」


菜奈姫「ククク、気が向いたらまた来てやろう。我は、以前ここで紹介された『今日のわんこ弟』という作品にも出ておるのでな、要チェックじゃ!」


カズミ「でもさ、去年の10月にやった企画で選んだ作品を今扱うとか、ちょっと遅すぎやしない?」


エル「なにしろ、その当時は「社長戦争」という企画にのめり込んでいたからな」


ヒュパティア「おかげで自分の自主企画は半ば放置されてたわね」


菜奈姫「お主らの作者に伝えい。いろいろ掛け持ちするのをやめろとな。さもないと、いつまでたっても目標成就せぬぞ……」




※作者注:

阪木洋一 様、キャラクター提供ありがとうございました♪

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る