――作品紹介―― 姉はなんでも知っている
アトリ「あの……どうして私はここにいるのですか? なんで連れてこられたんですか?」
エル「なんでって、お前自分でここに来たんじゃなかったのか?」
アトリ「気が付いたらここにいました…………いえ、ここに来る予定だってことは聞いてたんですが。まさか気が付いたら急にだなんて……」
ヒュパティア「まあ、楽にしなさい。別に誘拐とか拉致とかじゃないから。それに、机の上にあるお菓子類は食べ放題だから。気が済むまで食べるといいわ」
アトリ「なんか見たこともない高級なものばっかなんですけど…………」
(スタッフの笑い声)
――――今回のゲスト!――――
エル「今回のゲストは、企鵝モチヲ 様:著『明日喪き我らの征く先は』より、浅倉アトリさんが来てくれた。よろしく頼む」
アトリ「はい……こちらこそ、よろしくお願いします(ペコリ)。あ、あと、このチョコケーキおいしいですね!」
ヒュパティア「気に入ってくれて何よりだわ」
カズミ「あのさ二人とも……僕も疑問に思ってたんだけど、ゲストの人たちってどうやってここにきてるの? なんか本人たちも知らないみたいなんだけど」
ヒュパティア「軍事機密よ」
アトリ「あ、あの…………それとブッチさんは…………?」
エル「いま奏が別室で待つように言っているはずだが」
奏「ただいま戻りました。この会が終わるまでは、裏方で待っていてくれるそうですよ」
カズミ「うん……僕もまさか、生のキャシディを見られるとは思わなかったよ」
アトリ「だ…………大丈夫だったんですか? その、奏さん一人で対応するなんて……」
奏「きちんと誠意をもって話せば、わかってくれる方で安心しました」
アトリ「そ…………そうですか。それなら安心しました……」
奏「アトリさんの面倒は私が見ますから、とりあえずテキーラでも飲んでリラックスするよう申し伝えましたところ、「面白い奴だ気に入った、殺すのは最後にしてやる」と、大変ご満悦のようでした♪」
アトリ「それは嘘だっ!」
(スタッフの笑い声)
――――今回のテーマ――――
『今日のわんこ弟』
阪木洋一 様:著
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882413146
カズミ「今回紹介するのは、今日のわんこ弟っていうお話」
エル「なかなか分類に困る内容だが、恐らく括りとしては現代ノベルになるのだろう。たぶん」
アトリ「たぶんて…………歯切れが悪いですね」
奏「内容は単純明快。わんこみたいな弟と若干ブラコン気味の姉の、愉快な日常的なやり取りを書いたものです」
エル「1話が1000文字以内と、非常に短くて読みやすいから、道重開の半生を10秒ですっ飛ばすせっかちな人にもおすすめだ」
ヒュパティア「とにかく全面に渡って、ギャグと笑いのオンパレードね。登場人物の誰もが残念な魅力にあふれてて、見ていて飽きないわ」
カズミ「褒めてるんだか貶してるんだか、これもうわかんないね」
(スタッフの笑い声)
アトリ「ああ……なんというか、シットコムみたいな感じですか!」
奏「え? しっと?」
ヒュパティア「シットコム。シチェーションコメディの略称よ。日本ではホームドラマのほうが一般的じゃないかしら」
カズミ「なるほど。さっきは「欧米か!」って突っ込むところだったのか!」
アトリ「ち、違いますって! 完全に無意識でしたっ!」
(スタッフの笑い声)
エル「お前ら、あんまりゲストをいじめてやるな。だが、アトリさんが言っている通り、ホームドラマ……もっと砕いた言い方をすれば、ショートコント『姉弟』の連作だな」
アトリ「登場人物が残念って言ってましたけど、具体的には……? わ、私も比較的残念って自覚はありますけど……」
ヒュパティア「自分から墓穴掘っていくスタイル、嫌いじゃないわ。具体的には、そうね……本当は実際に読んでもらった方がいいんだけど、全体的に登場人物たちが、いい意味で自分の欲望に忠実なのよね」
奏「かと思えば、一見アホの子の弟君が場合によっては一番の常識人だったりしますね」
カズミ「そして世界自体は普通に現代化と思いきや、途中から平然と「うちゅうのほうそくがみだれる」だったり」
アトリ「ま、まさにやりたい放題って感じですね…………。ギャグに特化したのって、なんだかんだ言って、下手なファンタジー物語よりも物理法則がねじ曲がりますし…………」
エル「むしろこういったのだからこそ許されるっていう面もあるな。俺やヒュパティアが同じようなことしてみろ。読者からまじめにやれって言われるぞ」
ヒュパティア「カズミは実際、読者からまじめにやれってクレーム来たわね」
カズミ「一切記憶にございません」
(スタッフの笑い声)
奏「というわけで、作品紹介は以上です♪」
アトリ「え……ちょ、ちょっと! まだ始めたばっかりじゃないですか!? 私の出番もう終わり!?」
ヒュパティア「なんていうか、物語の概要の説明は簡単なんだけれど、ここでいろいろ説明しすぎると、実際読んだ時の面白さがその分減るのよね」
エル「紹介というより、死ぬほど面白から絶対読め! 以上! で、事足りそうだからな」
アトリ「そ、そんなご無体なぁ!」
(スタッフの笑い声)
奏「が、そうも言ってもいられませんのでもう少し、当たり障りのない範囲でお話ししましょう。題名にもあります通り、主人公である弟君が、しぐさがまんま犬です。それはもう、その正体は実はコボルトなんじゃないかと思うくらい」
エル「物語は大体、弟君が犬のようなリアクションで姉を呼び、姉がそのリアクションを、この時だけ無駄に豊富になる語彙力でその様子を読者に伝えてくれるぞ」
ヒュパティア「やれ「散歩の時間を訴えるわんこみたい」だの、「余所の家の人に警戒してキャンキャン吠えるわんこみたい」だの、「真新しい物を見て興奮に息を弾ませるわんこみたい」だの、言いたい放題よね」
アトリ「なんか想像していた以上に具体的…………。よくぞこんなに的確に言えるなぁ」
奏「愛がありますから♪」
アトリ「愛!?」
カズミ「そう、愛。あまりにも愛。余りある愛。AIと書いて愛」
アトリ「そこはLoveじゃだめなんですか?」
(スタッフの笑い声)
アトリ「そ、それに、姉弟同士の愛っていうと…………なんていうか、こう……道徳的にどうかと」
ヒュパティア「まあ普通そう思うわよね。ラノベ畑の人間だと特に」
エル「しかしこの作品は、だいぶストレートに姉弟愛を描いているが、不健全な要素は微塵もないから、安心するといい。むしろそのほかの連中の方が倒錯気味のようにすら見える」
アトリ「更に倒錯的って一体…………」
カズミ「それと、主人公の弟君のコミュニケーション能力が凄まじいよね」
奏「ギャグ時空とはいえ、あれだけの交友関係を築ける人はそうそういません」
ヒュパティア「人懐っこいところも、また犬らしいわ」
アトリ「うう、コミュ力って言われると耳が痛いんですけど…………。この弟君が犬だとするなら、今の私はまさに借りてきた猫……」
カズミ「そんなショック死寸前なほど緊張するかな、この企画」
奏「アトリさんはただ引っ込み思案なだけですから、そこまで落ち込まなくて大丈夫ですよ。それにここには、ヒュパティアさんという本物のコミュニケーション障碍者がいますから♪」
アトリ「うそ!? ヒュパティアさん、けっこうぐいぐい来るタイプかと思ったんだけど!?」
ヒュパティア「コミュ障とは失礼な。小生は本来ラヴィア以外の人間とは、半年に一度口を利くかどうかだから、たまに接し方を忘れるだけよ」
エル「こいつはあまりにも人見知りが激しすぎて、一周回って相手を上から叩きに来るからな。二人きりで話すときは気をつけろよ」
アトリ「どんだけ~…………」
(スタッフの笑い声)
アトリ「あの、さっきから気になってたんですけど……外野の笑い声、多くないですか」
カズミ「まあね……。今回の作品紹介の題材が題材だから、ホームドラマばりに笑い声が頑張ってるみたい」
奏「きっとあしたは腹筋が筋肉痛ですね」
ヒュパティア「ま、とりあえず今回はこんなとこかしら」
アトリ「長かったやら、短かったやら…………緊張しました」
エル「今日はいつもに増して脱線が多かったな」
奏「ですが私は楽しかったですよ♪」
カズミ「アトリさんは結構いろいろな方面への造詣が深いね。尊敬しちゃうよ」
アトリ「そ、そうでしょうか…………? ただちょっと興味あることは自然に覚えちゃって」
ヒュパティア「小生はむしろ、あなたという人間に興味がわいてきたわ。ちょっと研究……もとい、詳しく話したいから、後で二人きりにならない?」
アトリ「ひえっ!? 今、研究って言いました!?」
奏「はいはい。それ以上は眉間に風穴が開きますから自重してくださいね」
※作者注:
企鵝モチヲ 様、キャラクター提供ありがとうございました♪
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