――作品紹介―― 人の下に人を造らずといへり
奏「さあ、楽しい読書の時間デスっ!」
和壬「はーい」
開「へーい」
祥「ほーい…………って、なんかいつもとメンバー違わない!?」
和壬「だよねっ! 僕は21歳のはずなのに、いつの間にか士官学校時代の姿に戻ってるんですけどっ!?」
開「僕も木竜館時代の格好だね……わざわざ異世界から連れ戻してきたのかな?」
祥「君たち……わかっててやってるでしょ。それに、文章でのやり取りで見た目が変わったとか言われてもわかんないだろ、いい加減にしろ」
(スタッフの笑い声)
――――今回のゲスト!――――
奏「今回は、以前来てくれた
祥「相変わらずゲスト最年少記録更新中 (ただし人間に限る)の浅井 祥です。春休み中だから遊びに来たよ」
和壬「いや、久しぶりだね! 僕も会えてうれしいよ!」
開「学生サミットの時以来かな? あの時は楽しかったねぇ」
祥「…‥そこの二人って兄弟なのか?」
和壬・開『いやちがうけど』
奏「二人とも……いえ浅井君も含めて、面白いくらいキャラが似てますね。男子学生で黒髪で、一人称が「僕」で、ちょっと斜に構えてて、でもなんだかんだで世話焼きなところとか。文章だけだと、似ている人間が3人いるような気がしてなんだかややこしいですね♪」
祥「じゃあなんでこんな人選にしたんだよ!? いつものあの外人さん二人は?」
開「それがね、参謀本部が「たまには別のキャラも使ってみたくなった」とか言っててね。浅井君も前と同じ面子じゃつまんないでしょ?」
和壬「それに、今回の作品紹介は日本の社会問題が密接に関係してるから、ちょっと異世界の方には申し訳ないが人払いをお願いしたってわけ」
祥「なるほどね。でもせっかくだから、僕は今話題のリーズさんとシェラさんに会いたかったな」
奏「あの二人を一緒に投入すると、ただでさえgdgdな作品紹介でいちゃつき始める可能性が高いのでダメです」
祥「デスヨネー!」
(スタッフの笑い声)
――――今回のテーマ――――
『希望の街(改訂版)』
鴉 様:著
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886131814
奏「今回紹介するのは「希望の街」という現代ドラマです」
和壬「おっ! 2回連続で現代物とは珍しいね!」
祥「そういえばさっき、日本の社会問題がどうとかこうとか言ってたな」
開「いわゆる格差社会とかワーキングプアの問題だね。主人公の五十嵐源治は、まだ20代ながら極貧生活を送っていて、物語の開始時には以前勤めていた日雇いの派遣の職場で、上司を殴って辞めてしまっているんだ。そんな彼が、極貧生活の中、1日1日を必死で生きるために七転び八起きするお話だ」
祥「あれ? あらすじには「会社が倒産して生活が困窮してしまい」って書いてなかったか?」
奏「もしかしたら、あらすじが改定前のものなのかもしれませんね。改定前がどういったものなのかはわかりませんが」
開「このお話のポイントは、作者様が実際に体験したんじゃないかと思うくらい、生々しい現実感と、その周りを取り巻く風景の描写にあると思う。実際作者様もだいぶ苦労なさったからこそ、ここまでリアルに書けるんだと思うんだ」
和壬「まぁ、うちの参謀本部はそういった苦労もしてなければ、孤児でもないから、開君のキャラがリアリティないとか言われそうだよね」
開「作者は軍人でもないから、和壬さんのほうがよっぽどリアリティないと思うんだけどっ」
祥「いや、それを言ったら奏さんなんか女性…………」
(スタッフの笑い声)
奏「私のキャラにむしろリアルなんて不要ですけどね。話を戻しますと、主人公の源治さんを取り巻く環境って、すっごく不憫なんですよね」
祥「なにしろ周りは殆どブラック企業で、貯金もほとんどなく、周りは一癖も二癖もある人間ばかり。環境を言い訳にするなとはよく言われるけど、これだけヒドイと言い訳したくなるだろうな」
和壬「はっきり言って主人公の自業自得な面もあるけどね」
開「それは流石にひどくね?」
和壬「少なくとも、皇国陸軍ではこーゆー協調性がなくて忍耐力に乏しい人間はお断りかな」
開「いやだってさ、彼の両親はあんなんだし…………」
奏「開と源治さんは確かに境遇は少し似てるから、シンパシーを感じるのですね。かくいう私も幼いころに親を失いましたから、気持ちはわかります」
祥「あー…………なんというか、僕も一時期は世の中に対して幻滅してたから、そう思うと切ないな」
和壬「いやいやいや、君たちその歳で世間に対し冷めすぎでしょ!? それにこの話の主人公は、あくまで自分の今の境遇から脱出するために頑張ってるんだから、その前向きさを見習おうよ」
開「追い詰められた時のギリギリの感じって、本当に苦しいんだなっていうのはよく伝わってくるよ。もう「明日があるさ明日がある」って思える段階じゃない」
祥「心が弱い人なら自殺しちゃいそうだ。あとプライドが高い人とか。傍から見れば泥臭い人生のようにも見えるけど、必死に生きる姿ってやっぱりすごいと思う」
奏「経験は裏切りませんからね。あがいていれば、そのうち彼にもしっかりとした道が見えてくることでしょう」
祥「こういう貧困問題とかってさ、実際に経験してみないとイマイチピンとこないよね。格差が広がるばかりっていうけど、上の方に立ってる人間ってそういうことは経験できないから」
奏「国家権力は、ここぞという時に役に立ちませんから。元底辺の私が言うのだから間違いありません」
和壬「あのさぁ、それは僕に対する嫌味か何かかね? いっとくけど、お金持ちでも税金を1000倍払ってるからと言っても、警察は1000倍速く応答はしてくれないんだから」
開「資本主義国家の…………ひいては国や組織の宿命だよね。このお話を読んでて思うのは、教育がいかに大事かってことじゃないかな」
祥「確かに主人公も、勉強する機会は今までたくさんあったわけだ。あぁ、僕みたいな学生にとっては耳が痛いよ」
開「こんな大人になりたくないなとは思うけど、テストの点を取るために必死になるのって、なんかバカバカしいし」
奏「そうですね……開と祥君は、福沢諭吉の「天は人の上に人を作らず」という言葉は知っていますよね」
開「もちろん! 小学校の時にもう習った気がする。天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず。差別はダメだよって教わったね」
祥「学問のすすめか……人は生まれながらにして平等だっていうやつだったな。確かに生まれた環境に多少の差はあるけど、人間に生まれたからには、チャンスは平等にあるわけだし」
和壬「残念ながら、二人が学校で教えてもらったことは間違ってるかもね」
開・祥『え!?』
和壬「実際に「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」って言ったのは、アメリカ独立宣言の文章だ。でも、学問のすすめではその言葉に続きがある。
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり。されど人の世は賢き人あり、おろかな人あり、貧しき人あり、富めるもあり。人は生まれながらにして貴賎貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧乏となり下人となるなり。
ってね」
奏「…………よく全文覚えてますね」
祥「つまり、勉強すれば勝ち組になるけど、バカは負け組になるってこと?」
和壬「乱暴に訳すとそんな感じ。人は生まれながらにして平等だっていうけど、実際はそうじゃないよね。なぜか! それは勉強するかしないかの差だって福沢諭吉は言ってるのさ」
開「一万円札になった人の言うことは違うな…………」
奏「実際、どんなにお金持ちの家に生まれても、当人がぼんくらだと、いつか家はダメになります。そして、現代は昔に比べてはるかに下克上がしやすい環境でもあります」
祥「環境のせいにするなっていうのは、要するに環境を変えるよりも自分を変えた方が手っ取り早いってことか」
和壬「ごねてごねて周りのレベルを自分に落としても、実際は誰も幸福にはならないんだ。周りが手を差し伸べてくれないことを嘆くよりも、努力して這い上がる方が確実なんだ」
開「この物語の主人公も、必死に行動するからこそ生きる道が開けていくんだね。つらいこともあるだろうけど、希望がある限り、きっと源治さんはたくましく生きていくと思う」
和壬「いいはなしだなぁ」
祥「で、ふと気になったんだが、これって「神様サミット」の応募作なんだよな。この物語って、神様出てくるのか?」
奏「それについては、あえてここではあまり触れないでおきますね。実際作中にはっきりと出てくるわけではないんですけど、何となく見守ってくれている存在がいるって思えると、この殺伐した物語もなんだかほっこりすると思いませんか?」
開「それに、こういう風な現代ドラマって、ちょっとした超常現象と相性がいいんだなって思わない? それこそ異能力とかじゃなくて、何かに導かれし……みたいな?」
和壬「前回出てきた菜奈神様もそうだけど、見守ってくれているだけでも、断然心強くなれるものなんだよね。浅井君の恋人も、君に見守ってもらえるから大胆になれるだと思うんだけど、どう思う?」
祥「え……? いや、僕は別に星川のことなんて、恋人だとか思っては…………」
奏「カズミさんは星川さんのことは一言も言っていないはずですが」
祥「――――しまった!」
(スタッフの笑い声)
奏「最後にゲストの浅井君をいじり倒したところで、作品紹介を終えましょうか」
祥「あの土着神さんと、男か女かわからない人がいないからすっかり忘れてたけど、ここの人たちはゲストでも容赦なく攻撃してくるんだなぁ」
開「そういう君も、口の悪さは大概だと思うよ」
和壬「いつもとはメンバーが違ったけど、こういった形式も悪くないね。キャラが被ったからいっそのこと一気に被らせてやれって発想は理解しがたいけど」
祥「左側の名前のところを隠して読んだら、意味わからないことになってそうだ。でも、今回もいろいろ勉強になったし、またいつでも呼んでよ」
開「ん? いま、いつでも呼んでって言ったね?」
奏「では次は星川さんを連れてきて、あの帰らないバカップルさんと対談してもらいましょうか」
祥「それだけはやめてくれっ!」
(スタッフの笑い声)
※作者注:
大臣様、キャラクター提供ありがとうございました♪
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