概要
琴乃は高校地歴科の教育実習真っ最中。
上手くいかない自分の授業、目減りする自信とゆらぐ志、
見かけによらず良い授業をする同輩への羨望。
目まぐるしく、不安で苛立つ毎日。
手ごたえを上手くつかめない琴乃は、思わず仲間の夏美に当たってしまい――。
いまシーズンまっさかりの実習生にエールを送ります。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!歴史。私がそこにあること。
柊みたいなのはどっかでこけるぞ、とか、こけろ、とかそんな怨念を抱きました。おちまい。
……だとまるでキャプションに繋がりませんね。愚直に向き合う、向き合い続ける。これが本当に難しいよなーと、おっさんだからこそ思ってしまいます。人に歴史あり、場に歴史あり。西部先生は、まぁ存在そのものが歴史みたいなもんかw
人間、誰しもが「核」を抱いていて、その人のもつ自信は、自らの核への確信度合いにも絡んでくるのかな、と思います。おぼろげながらも核の存在に気付きつつ、そこに確証を得られず、生徒たちの前で悪戦苦闘を繰り返す琴乃。対偶としての柊、琴乃を琴乃のまま、核に気づかせようと図る西部先生、そして夏…続きを読む - ★★★ Excellent!!!意外さゆえに素朴な想いが響く
主人公は教育実習のため母校に戻ってきた大学生。
教育実習というのを経験したことがない人でも、教育実習生の危なっかしくもひたむきな姿を懐かしく思い出す人も多いと思います。
本編は教育実習生の目線から見た生徒、教師、教員室などがとてもリアルに描かれています。
何気ない日常に見えて不思議な存在感があるのが、主人公を指導する西部先生。
この先生には実は驚くべき秘密があります。
しかし、その秘密を知ってなお思ったのです、「この人、先生なんだ」と。
教師であることがただ好き、だからやっているんだと。
先生のその想いの前に「秘密」など小さなことに思えてしまうから不思議です。
教師になりたいと思ったこと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!失われた感覚を思い出す
この作品で取り上げられている教員実習もそうなのですが、バイトではなく、本職の現場に初めて関わった時の不安や期待、それに希望などをこの作品で思い出しました。
転職も経験し、長く仕事をしていると、新たな仕事の現場に入る時の、そういった感覚が薄くなっていく。
「どこでも、どんな仕事でも、やることはさほど変わらない」
そんな感覚になっていく。
日々の糧を手に入れるため、家族を養うため、そういった現実的な目的に占められて、感情的になっていてはいけないという面は確かにあるのですが、それでも仕事へのやり甲斐につながる気持ちが薄れてしまったのは寂しい。
そういった……ある意味青い感覚をこ…続きを読む