柊みたいなのはどっかでこけるぞ、とか、こけろ、とかそんな怨念を抱きました。おちまい。
……だとまるでキャプションに繋がりませんね。愚直に向き合う、向き合い続ける。これが本当に難しいよなーと、おっさんだからこそ思ってしまいます。人に歴史あり、場に歴史あり。西部先生は、まぁ存在そのものが歴史みたいなもんかw
人間、誰しもが「核」を抱いていて、その人のもつ自信は、自らの核への確信度合いにも絡んでくるのかな、と思います。おぼろげながらも核の存在に気付きつつ、そこに確証を得られず、生徒たちの前で悪戦苦闘を繰り返す琴乃。対偶としての柊、琴乃を琴乃のまま、核に気づかせようと図る西部先生、そして夏美。皆が暖かな存在感を示すなか、俺はこう叫ばざるを得ません。タイトルコールお疲れ、星野! 正直一番応援したいのはお前だっ!
琴乃は歴史を教えながら、自分の歴史を積み上げていくのでしょう。その大切な一歩は、また今の自分の一歩にもリンクしてくるんですよね。若き先生たちにエールを送りつつ、今日も目の前の一歩を大切にせねばな、と思うのでした。
主人公は教育実習のため母校に戻ってきた大学生。
教育実習というのを経験したことがない人でも、教育実習生の危なっかしくもひたむきな姿を懐かしく思い出す人も多いと思います。
本編は教育実習生の目線から見た生徒、教師、教員室などがとてもリアルに描かれています。
何気ない日常に見えて不思議な存在感があるのが、主人公を指導する西部先生。
この先生には実は驚くべき秘密があります。
しかし、その秘密を知ってなお思ったのです、「この人、先生なんだ」と。
教師であることがただ好き、だからやっているんだと。
先生のその想いの前に「秘密」など小さなことに思えてしまうから不思議です。
教師になりたいと思ったことがあるも、そんなことを考えもせずに学生時代を過ごしてきた人にも、ふっと懐かしい初々しさを感じるお話だと思います。
この作品で取り上げられている教員実習もそうなのですが、バイトではなく、本職の現場に初めて関わった時の不安や期待、それに希望などをこの作品で思い出しました。
転職も経験し、長く仕事をしていると、新たな仕事の現場に入る時の、そういった感覚が薄くなっていく。
「どこでも、どんな仕事でも、やることはさほど変わらない」
そんな感覚になっていく。
日々の糧を手に入れるため、家族を養うため、そういった現実的な目的に占められて、感情的になっていてはいけないという面は確かにあるのですが、それでも仕事へのやり甲斐につながる気持ちが薄れてしまったのは寂しい。
そういった……ある意味青い感覚をこの作品を読み終わって思い出した。
思い出したからといって、即、現実の仕事の現場でも気持ちを維持していくことはできないでしょう。
でも、作品の読中・読後くらいは、やり甲斐を持ち職場に向かっていた当時の気持ちに浸っていたいと思います。
その意味で、私にとってはノスタルジックな作品でした。