神代が続いたかのようである。

記紀(古事記と日本書紀)を読むと,太古の神代の時代には神と人との隔たりがなかったことが分かります。不思議な力を持っていることを除き,神は人間のように寝食し,怒ったり笑ったり,あるいは,人間と言葉を交わし,恋をしたり契りを結んだりもしました。

そんな神代の逝きし風景を,著者は見事に再現してくださいました。まるで神代が現代まで続いているかのような作品世界です。彼らの恋模様は,甘く,心にじんわりと沁み亘ってゆくようで,しかしどこか遠い過去の出来事に触れたような感傷を覚えさせます。

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