視点(カメラ)を固定して読書酔いを防ぐ
書き忘れてました。
非常に大事なこと「視点の固定」です。
まず、視点の種類は大きく分けて2つ。私の場合は3つあると思ってます。
一人称……主人公目線での語り。地の文(カギカッコ以外の文)まで全て主人公の心の声です。
・メリット……主人公の心理描写まで事細かに描くので、読者は感情移入しやすい。主人公に好感を持ちやすい(読者に対して一切嘘がつけないため)。
・デメリット……他のキャラクターの考えを一切描写できない。あくまで主人公側から見た印象のみで伝える必要がある。
・向いているジャンル……恋愛モノ(相手の恋心なんて分かってしまったらつまらない)。推理モノ(真犯人の描写までしたら、台無し)。主人公がダークヒーロー(好感を持ちやすいことを利用して、読者に悪感情を持たれにくくする)。
三人称(俯瞰視点・神様視点)……主人公の心情を中心に描きつつも、時にはサブキャラの心情を描いたり、主人公の表情や姿や動きなども描いたりする。地の文はストーリーテラーもしくは、機械的な語りになる。
・メリット……様々なキャラに焦点を合わせて描くことが出来る。ここぞという時のサブキャラの気持ちが、物語を盛り上げるなんて手法はよく使われます。
・デメリット……多用しすぎると読者が混乱します。誰が主役か分からなくなります。
・向いているジャンル……ほぼ全て。恋愛モノなら、相手の気持を書かなければいいだけですし、しかも気になる相手の秘密まで描けます(一人称でこれやるとほぼアウト)。
複合視点(一人称+三人称)……三人称視点に入いると思いますが、普段は一人の主人公を通して描きつつ、時々主人公の知らないところで物語を展開する手法。一人称の地の文を『俺』『私』ではなく『キャラクター名』にすることで、可能になります。
第三の視点……これが私が勝手に考えている視点です。それは、街・時代・店など、無機物や概念から見た視点です。群像劇でよく使われますし、最近は飯テロモノもひとつの店を舞台に描くこともあります。
・メリット……複数の視点で描ける。その人の心情まで描いてしまえる。
・デメリット……基本的にカメラの移動はできなくなる。様々な人々の思いが入り乱れてしまうため、話が複雑になりすぎる。そもそも執筆のハードルが高すぎる。
複雑な視点まで紹介してしまって申しわけないです。第三の視点はやめたほうがいいです。これが得意な手法は、映像があるものでしょう。小説の場合、物凄く難易度が高いです。
できるだけ視点は固定する。主人公の目線で描く。これが基本です。
所構わず視点(描写含む)が浮気してしまうと、
《いったい主人公が誰なのか、読者が分からなくなってしまう》
という混乱に陥り、読書酔いが始まります。
とは言っても、別視点から書きたい場合もあります。特に三人称の場合はそうです。もちろん、視点移動は悪ではありませんし、それを用いて売れている作品いっぱいあります。
ここでコツというものがあります。
『視点を移動しても、そこにいるキャラクターたちは主人公のことを中心に考え行動しているべき』
これで読書酔いがかなり防げますし、なにより盛り上がります。
以下に即興で前振り文の後、ふたつの第三者視点を書きます。主人公の名前は、ポン助にしましょう。
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ポン助は善子に言った。
「今日は勝てよ! 強豪が何だってんだ」
「うん!」
そして試合当日。始まってからもう10分で、点差は5点。メンバーはみんなあきらめムードだった。
だけど、
1)――善子は走った。
ここで諦めたら、ポン助に笑われてしまう。
そして、ボール目掛けて足を振り上げた。――
2)――善子は走った。
ここで諦めたら、試合終了だ。
そして、ボール目掛けて足を振り上げた。――
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……どちらが、ポン助が主人公であるように読めましたか?
1)の文だとおもいます。理由は簡単で、善子の考えの中心にポン助がいて、彼が物語を引っ張っている=主人公だと、読者に印象付けているからです。
2)の文だと、ここだけ読んだら善子が主役に思えるかもしれません。予めポン助が主役ですと言ってなかったら、彼女が主人公に思えてしまうでしょう。
『時と場面が変わっても、主人公が中心になっていることが基本というか王道です。』
ファンタジーモノで、敵側を描写するとき、主人公たちの話題が一切出てきておらず、敵の悪巧みだけで視点移動終わったら拍子抜けです。さらにこういう視点移動が繰り返されると、読者によって主役が誰か意見が真っ二つに分かれてしまいかねません。
それならまだマシですが、読むのを辞めてしまうという最悪の展開になりかねません。
逆に言えば、どんなに視点が変わっていても主人公が中心に据えられているなら、構わないことになります。もちろん執筆ハードルは爆上がりですけど。
慣れるまでは、場面転換も控えたほうがいいと私は思います。あんまりこういう解説した本見たことないんですが、かなり重要な基本です。
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