読んだもの、見聞きしたものは、思い巡らそう
《咀嚼》
という言葉があります。物をよく噛むという意味から転じて、意味を噛み締めなさいとかそういう意味です。
クリエイターは日々どれだけのことを吸収し自分のアイデアに転じて表現できるか? これが自分ブランドとなって現れます。
いわゆる、見る→学ぶ→実践するというサイクルです。
これはクリエイティブなこと以外でも、全てにおいての基本です。
しかし大体の本は、いきなり実践方法が書いてます。
どのように見て、どのように学んで……という過程はすっ飛ばしてます。
何故か?
これは精神論に関わってくるためです。つまり、クリエイター(全ての分野に言えますがここは作家の分野なので)個々の創作の姿勢です。総じて精神論はつまらないものです。つまらなければ、その本が売れません。
でも、人間が大脳で考え動き、生み出す生物である以上、避けては通れません。避けて通れてかつ結果を残せる人は、天才です。
つまるところ、ハウツー本よんで即実践出来る人って天才なんです。凡人じゃありません。
ちょっと話題はそれますが、いろいろな分野のハウツー本買ってきて、試してみて「あ、すんなり出来た!」と思ったらその分野の天才です。
ここで話は戻りまして。
では我々凡人はどうすればいいのか?
見る・学ぶに時間を割くしかありません。そう、みんな嫌いな精神論になります。
これは分野ごとに考え方が違ってしまうので、作家だけに焦点をあわせると、
作家は「見聞きしたことを、自分の頭の中でゆっくりと分析する時間を作りなさい」となります。
読書感想文のようなことをしろというのではありません。
起承転結の構造・プロローグの入り方・キャラクターの活かし方・どうして自分はこの小説を読み進めることが出来たのか……、これらをじっくりと思い巡らします。
繰り返すうちに、自分独自の感性に基づいた分析が出来るようになります(たぶん、ここが作家として大成できるかどうかの節目でしょう。HENTAI的な思考でも文章に織り込めるなら、それは武器です)。
『執筆中の小説のことをいつも考えてください』と言うことに直結します。
作家の冲方丁先生の提唱するトレーニングに、「ある物や事柄を、相手が全く知らないと仮定して説明してください」があります(トレーニング名は正確じゃありません、すみません)。
石鹸という物について、石鹸を知らない人にどう説明するか? を文章にするのです。
これも、思い巡らす練習のひとつになります。
正直言って、これらをいつも実践していたら必ず精神的・体力的に参ってしまいます。でも、このような「見る・学ぶ」をやらないことには、「実践(執筆)する」過程に行けません。現在行けているとしても、いつか枯渇してしまいます。
いわゆる才能の枯渇というのは、実践ばかりやってしまって、吸収と咀嚼を怠ってしまったことから来る場合がほとんどです。実践のほうがはるかに楽しいですからね。才能だけでプロになってしまうと、なおさら咀嚼の時間が足りなくなります。
これらは「外に出よう」と提唱したこととも繋がった話です。
精神論になってしまいましたが、せめて読んだ小説やマンガの咀嚼くらいはできるだけやりましょう。
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