012:漢字の表現力
「鬱」
「どうしたんだよ、いきなり」
「いや、鬱って漢字の鬱感ヤバくないですか? こう、ごちゃごちゃとしていて。見てるだけで気が滅入りそうです」
「あー、確かに。なんとなくわかるよ」
「蟹の蟹感もすごいですよね。わちゃわちゃしていて」
「カニ缶?」
「その小ボケは余計ですよ、先生」
「ご、ごめん。でも今日の話の流れは掴んだよ。要するに串の串感すごい、みたいなことでしょ?」
「そうです、そうです。理解が早くて助かります」
「盾の盾感も中々だよね。めっちゃ守ってくれそう」
「芋の芋っぽさも負けてませんよ。素朴さが滲み出てて可愛らしいですし」
「炎の炎感や、森の森感もよく表現できているよね」
「まんまですけどね」
「でも一番は傘かな。傘の傘感に敵う漢字はないでしょ」
「先生は一つの傘に四人も入るんですか? 相合傘どころの騒ぎじゃありませんね!」
「いや、そういう意味じゃない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます