018:距離
「私と先生との距離はいつも1行分」
「ん?」
「その距離はとても近いようですけれど、決して0になることはありません」
「なになに? どうしたんだよ、急に歌詞みたいなこと言いだして」
「言葉の通りですよ。私と先生っていつも一緒にいるにも関わらず、密着することはないじゃないですか。いつも1行分の空白があるように」
「なるほどね。確かに僕たちの間は『この1行分の空白↑』があるせいで、互いが0距離になることはないよね」
「それってちょっと寂しくないですか?」
「う〜ん、どうだろう。教師の僕と生徒の君が近づきすぎると色んなところからお叱りを受けそうだし、このくらいが丁度なんじゃないかな。最近は何かと厳しいし」
「いや、1行分の距離はすでに超至近距離ですけどね」
「ぐぬぬ、返す言葉もない」
「でも繰り返しになりますが、たまには0距離も味わってみたいんですよ。私は」
「無茶言うなよ。そもそも実態のない僕らに物理的な距離の話をしても不毛だろ」
「だからこうします」
「ん?」 「隣、失礼しますね」
「うお、セリフの位置が移動した!?」 「はい、これで距離は1マスまで縮まりました」
「なんか新鮮な感じだ」 「お次はとうとう0距離になりますよ〜」
「近っ!」「ほりゃ! 1マス詰めてくっつきました!」
「今回のはっちゃけようは凄いな……」「私はとどまるところを知りませんからね。さらに近づいてやりますよ」
「ちょ、食い込んでる! 僕のセリフに「そりゃ!」
「これじゃあ、まともに喋れ「今日は念願叶って満足です♪」
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