020:回文

「トマト、リピートアフターミー」


「トムメェイトゥ!」


「発音のクセが強いよ」


「いちゃもんですか、先生。真面目に英語の授業に取り組んでいる証拠じゃないですか」


「真面目に取り組むのは良いことだけれど、今は回文の説明してるだけだし。英語は関係ないよ」


「カイブン?」


「知らない? 回文」


「先生 クサイ 強いて言うなラ 磯のにおひ」


「それは怪文! 僕が言ってるのは逆から読んでも同じ音節になる文のこと!」


「余談だよ 色白い 馬が舞う 今朝の酒 足しました」


「一度に五つの回文を並べると怪文のようになるね……」


「そうですね。ちなみにまだあまり回文についてよく理解してないです、私」


「あんだけ言ったのに!? 嘘だろ」


「僧の嘘」


「どっちだよ! まあ親切に有名どころで例を挙げるとするなら、ごまたまご とか 黄色い木 とかだね」


「なるほど」


「ちなみに赤坂もローマ字表記でAKASAKA、逆から読んでも赤坂と読めるね」


「おお、面白いですね」


「じゃあ以上を踏まえて問題! 新聞紙を逆から読むと〜?」


「テレビ欄!」


「微塵も分かってない!」

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