何者でもない僕を呼ぶから、永劫の淵も超えて君の手を

どこにも居場所の無い感覚に苛まれる少年が、田舎の親戚の家で過ごす一夏の怪奇短編小説です。

親戚は浮世離れした小説家、屋敷に泊まったその晩から、得体の知れぬ少女の声に呼ばれるようになり……よくない"モノ"と知りながら、惹かれていく。
夏の夜に幽鬼の声を聞くという、古式ゆかしい怪談の風情。
それに加えて、思春期の少年の不安が切実に描かれ、自分を必要としてくれる誰かを求めてしまう心の揺らぎを……底無しに魅惑的な声の魔力を、読者の胸にも呼び起こしてくれます。

それは、貴方も感じたことがあるかもしれない、青春の痛みです。
もしも覚えがあるのなら、この作品に手を伸ばしてみてください。

その痛みが、永劫の淵に横たわる少女との出会いへ繋がる。
ジュブナイルホラーのときめきが、貴方を待っています。

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