ずっと見ている

作者 海野しぃる

88

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★★★ Excellent!!!

首吊り死体と目を合わせた少女がとり憑かれてしまう、ホラーの短編です。

見る事には、希望がこもるものです。
恐ろしい影に怯える時には、その正体を、その脅威を破る術を見出だそうとします。
そして、怪異から逃れたいという願いは、怪異を確かな存在だと信じるからこそ、成り立ちます。

だとすれば、少女を見るソレは、彼女が望んだ怪異だったと言えるのかもしれません。
しかし、そんな本末転倒は、本当なら彼女の望みではないはず……さて、恐怖に駆られる心というのは、どうして生まれるのでしょう?

貴方が望む答えは、この掌編に潜んでいます。

★★★ Excellent!!!

クトゥルフ作品で脚光を浴びた海野しぃる先生の、特にクトゥってないホラー短編です。

クトゥ要素的などろどろとしたものはないのですが、ぞわりと背筋を撫でるような冷たいホラー感はさすがの一言。
オチを理解すると、今回のこの事件そのものの印象すらがらりと変わってきて。

愛は執着なのか。ともあれ、彼らに幸あれ。

★★★ Excellent!!!

作者の実力がさらに練り上がっていることを感じる一作。これが編集者さんに鍛えられた作家というものか……おのれ! 面白い! まず出だしから既に物語のドライブがかかっているし、1000文字行かないうちからぐっと「この話はこういう面白さです」というのが分かる。

そこからストトトトッと話が進み、怪異の正体が明らかになって「どうすんだよこれ……」と思った所で急転直下の結末。ああ、本当の恐ろしさはそこであったか……と見事な作りで、読後感まで含めてホラーの快楽を突き詰めた作品でした。さくっと短くて、かつ綺麗にまとまった本作、これはホラー好きなら読んで損はないですよ!

★★★ Excellent!!!

邪視、邪眼、見てはいけない、見られてはいけない、ものがあるのかもしれない。そして視覚は受容体なのに何故、ぼくら人の視線を感じると思うのだろうか? ジーっと鏡を見てください。瞳の奥をほら何かが這いずり出てきますよ。それがあなたの恐怖です。

そんなことを考えてしまうホラー掌編はいかがでしょうか? 夏ですしね。