作者の実力がさらに練り上がっていることを感じる一作。これが編集者さんに鍛えられた作家というものか……おのれ! 面白い! まず出だしから既に物語のドライブがかかっているし、1000文字行かないうちからぐっと「この話はこういう面白さです」というのが分かる。
そこからストトトトッと話が進み、怪異の正体が明らかになって「どうすんだよこれ……」と思った所で急転直下の結末。ああ、本当の恐ろしさはそこであったか……と見事な作りで、読後感まで含めてホラーの快楽を突き詰めた作品でした。さくっと短くて、かつ綺麗にまとまった本作、これはホラー好きなら読んで損はないですよ!