思春期特有の言葉にできない鬱屈感。
描かれる舞台は、大自然ならではの奔放さと不自由さ、そして産毛すれすれを掠めるような柔らかな不気味さ。
この二つが奇妙とも微妙とも絶妙ともつかぬ形で絡み合い、リアルな質感を伴った空気を醸し出しています。
何者かに呼ばれた主人公は、それを救うのか?
それとも掬うのか?
はたまた巣食われるのか?
『特別』になりたかった。
『特別』だと認めてほしかった。
自分も思春期の頃に密かに抱いていた思いと主人公の気持ちがリンクし、不快でいて爽快、冷たいけれどあたたかいという、えもいわれぬ読後感が胸に広がりました。
ラインは、ちゃんと返信しようね!
既読無視、未読無視はもちろん、適当にスタンプだけ返すなんてのもいけませんよ!!
どこにも居場所の無い感覚に苛まれる少年が、田舎の親戚の家で過ごす一夏の怪奇短編小説です。
親戚は浮世離れした小説家、屋敷に泊まったその晩から、得体の知れぬ少女の声に呼ばれるようになり……よくない"モノ"と知りながら、惹かれていく。
夏の夜に幽鬼の声を聞くという、古式ゆかしい怪談の風情。
それに加えて、思春期の少年の不安が切実に描かれ、自分を必要としてくれる誰かを求めてしまう心の揺らぎを……底無しに魅惑的な声の魔力を、読者の胸にも呼び起こしてくれます。
それは、貴方も感じたことがあるかもしれない、青春の痛みです。
もしも覚えがあるのなら、この作品に手を伸ばしてみてください。
その痛みが、永劫の淵に横たわる少女との出会いへ繋がる。
ジュブナイルホラーのときめきが、貴方を待っています。
退屈、虚しい、煩わしい、そんな日常はいらない。
だから、目の前に未知の扉があったら覗いてみたくなる。あまつさえ、飛び込めるだけの好奇心が勝れば、我が身など如何とでもなれ!
日常からの逸脱。非現実的日常への憧憬。自らの殻を破る勇気。
きっと、きっかけは何だっていいのだと思う。
破壊願望だろうが、終末思想だろうが、自己犠牲であろうが。
この場合は、好奇心にも似た恋心。
これは、果たして恋と呼べるのか?
そんな疑問を抱くまでもなく、非現実的日常を選択する。
まずは、お友達から……。
――好奇心は猫をも殺す。
そんなのは建前でしかなく、実は初めから心は決まっているもの。
愛だとか、恋だとか、そんな言葉すら超越するのだと思う。
不思議に恋。全然いいじゃないか!!