リアルフレンズ
「おはよ〜!」
「あ、サーバルちゃん!おはよ」
ボクはジャパリ高等学校の3年生のヒト。
ボクの通ってる学校は、特別な学校。
アニマルガールが売りの総合動物園、ジャパリパークの敷地内に存在する、人と動物が同じ学びを受ける学校。
人によって賛否両論のこの学校だけど、今ではもうかなりの人に受け入れられている。
「1時間目ってなんだっけ〜?」
「えっと、確か体育だったかな」
「やったー!」
でも人の生徒は少ない。
昔あったあの事件のせいで。
「かばんちゃん?」
「あ、うん?どうしたの?」
この子はサーバルキャットのフレンズで、ボクが子供の頃から一緒だ。
ボクを親友として見てくれて、天然なところもあるけど、いざって時は頼れるかわいい女の子。
「元気ない?」
「ボクはすっごく元気だよ!」
こうしてすぐに心配してくれる。
とっても優しい子なんだ。
「そっか〜。そろそろ授業始まるからまたね!」
「うん!」
席替えで少し遠くの席になっちゃったけど、こうして休み時間になると必ず話しかけてきてくれる。
内気なボクにとってはなくちゃならない存在になってるかもしれない。
───────────────────────
「はぁ...はぁ...」
「かばんちゃん疲れすぎ〜!」
体育が終わった。
またサーバルちゃんはボクに笑いかけてくれる。
疲れが吹き飛んだ気がする。
「もう大丈夫だよ。ほら、早く着替えよ」
「そーだね!」
チャイムがなり、席に着く。
先生の話を軽く聞きながら、もうすぐ卒業だな、と思いを馳せてみる。
「こら、サーバル!鉛筆で遊ぶのいい加減に辞めなさい!」
「うぇ〜...ごめんなさい〜...」
クラスは笑顔に包まれてる。
思えばサーバルちゃんはいつも周りを沸かせていたかな。
もうすぐ離れ離れになっちゃうのかな。
気づくとチャイムがなっており、休み時間になっていた。
「ねぇかばんちゃん!カラカル先生酷くない!?私にだけ当たりが強いと思うの!!」
「あはは、そうだね」
さも怒っているような声色だが、表情は柔らかく、楽しげだ。
ボクも楽しく感じる。
───────────────────────
今日もあっという間に一日が終わった。
最近楽しいことが多く、本当に時間が早く過ぎていってしまう。
だからか、余計に卒業を意識してしまう。
サーバルちゃんと離れ離れになるのが嫌で嫌で仕方がない。
でもボクはもう大人だ。
そのことをサーバルちゃんにも分かってもらわないといけない。
だから言えない。
僕がサーバルちゃんのことが大好きで、いつまでも一緒にいたいだなんて。
子供っぽすぎる。
僕は...
「かばんちゃん...」
サーバルちゃんは少し深刻そうな声色で話しかけてきた。
「どうしたの?」
「私たち、もうすぐ卒業だね...」
ボクは内心驚いた。
サーバルちゃんが卒業のことを考えているなんて。
「かばんちゃんとも離れ離れだね...」
ボクはふと違和感を感じ、サーバルちゃんを見た。
そこには頬に涙を伝わせるサーバルちゃんがいた。
「さ、サーバルちゃん...」
不思議とボクも熱いものが込み上げてくる。
目頭が熱くなり、頬を何かが伝う。
「かばんちゃんもやっぱり寂しい...?」
泣き笑いの表情でこちらに話しかけるサーバルちゃん。
その顔はどこか寂しげで、可愛らしかった。
「うん...」
「そっか...」
言葉数が少なくなってきた。
何故だか分からないけど、何か言わなきゃ、と思った。
「サーバルちゃん」
口をついて出たのは思いもよらない言葉だった。
「付き合おう」
「...え?」
そんなこと言うつもり無かった。
ボクはサーバルちゃんのことが好きだ。
でも恋愛感情は持ってないはずだ。
持っていない...はず...
「かばんちゃん...」
「ご、ごめん!ボクこんなこと言うつもりじゃ...!」
あぁ、嫌だ。
嫌われる。
ボクは馬鹿だ。
こんな気持ちの悪いことを...
「ありがとう。私もそうやって言いたい」
「え...?」
今...サーバルちゃんはなんて言った?
私も言いたい?
何を?
好きだって?
でもサーバルちゃんの好きは...
「サーバルちゃんの好きは友達として、でしょ?」
「ううん、違う。私もかばんちゃんと付き合いたいよ」
まさか、こんなことになるなんて。
僕の隠してきた想いが、望みが、こんな形で叶うなんて。
「サーバルちゃん...ボク...嬉しい...」
「えへへ!私も嬉しいよ!」
───────────────────────
本当に幸せだった。
かけがえのないものを手に入れた。
たとえ失っても、僕の心にあり続ける。
ねぇそうでしょ?
サーバルちゃん。
僕がそっちに行くまで、見守っててね。
いつまでも忘れないよ。
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