アラフェネ キュッとした心の音
ここはジャパリパーク。
たくさんのフレンズが暮らす中、彼女は一人悩んでいた。
「はぁー...どうしようか....」
彼女はフェネック。
フェネックのパートナーであるアライグマは、彼女の数歩先を高らかに闊歩している。だからか、フェネックは悩む余裕があった。
「アライさんのことが...好き」
強く照りつける日差しの中、フェネックはふと言葉をこぼした。
その言葉は、フェネックの心の内を簡潔に、そして的確に示していた。
そして、そんな心の内に乙女の悩みを抱えたフェネックの先を歩くアライグマもまた....
「フェネック、何を悩んでるのか気になるのだ....」
パートナーであるフェネックに対し、特別な感情を抱いていた。
日差しは翳り始め、微かに風が吹く。
「気になる...気になるのだ!」
「え?どうしたのー?アライさーん」
二人は出発してから初めて言葉を交わした。(と言っても出発してから数分程しか経っていないのだが。)
二人の中には、1つの、しかし形の違う感情が渦巻いていた。
「フェネック!ずっと何を悩んでるのだ!?」
「え、別になんでもないよー?」
アライグマは、長い間行動を共にしたフェネックの嘘を見抜いていた。
そのとき、長い間強い日差しを投げかけていた太陽が、雲の中に完全に姿を消した。
「嘘なのだ!」
アライグマは激しく問いただした。
アライグマの大きな想いは、形を変えて、フェネックに浴びせられた。
「う、嘘じゃないよ?」
フェネックは困惑しながらも、アライグマに静かに反発する。
それでもアライグマは引かない。
それは、アライグマを今までにない程に怒らせていた。
それに気付いたフェネックは、語調を強め、アライグマと競り合った。
「嘘なんてついてないよ!どうして私のこと、信じてくれないの!?」
暖かかった辺りは、急速に冷え始めていた。そしてやがて、冷たい雨が降り始めた。だが、二人は断固としてその場を離れようとはしなかった。
二人は睨み合い、激しく言い争い、そしてついに...
「なんでそんなに怒ってるのさ!」
「フェネックのことが好きで、気になるからなのだ!」
ついにアライグマは本音を口にした。
この数時間にも及ぶフェネックとの言い争いが、アライグマの変わった感情を引き戻した。
フェネックは、戸惑った表情になり、やがて、照れくさそうな顔に変わっていった。
「アライさん....」
この時彼女の悩みは姿を消した。
「私も、アライさんのこと、好きだよ」
フェネックは、自らの心の声を言葉にし、アライグマへと伝えた。
その隠しきれない程大きく育ったアライグマへの『愛』を。
「フェネック...も...?」
「...うん」
困惑を隠しきれていないアライグマ。
なぜなら、アライグマは、フェネックのことを想うあまり、フェネックの感情の変化には気付かなかったからだ。
「アライさん...?」
「...えへへ!フェネックもアライさんのこと好きだったのだ!」
二人は手を取り、晴れ上がった大地のずっと向こうに見える大きなアーチに向かい、愛を確かめながら歩んでいった。
「いつまでも一緒だよ?アライさん」
「当たり前なのだ!フェネック!」
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