ねこ・きつね助け

「...サーバル...ちゃん?」


─────────────────


ここはジャパリパークのしんりんちほー。

そこで料理をしているのは、人であるかばん。そして、サーバル。

2人は和気藹々とした雰囲気で、仲良くカレーを作っていた。


「できました!」


「わぁ〜い!完成だ〜!」


彼女らは、カレーを皿に盛り付けると、椅子に座りふんぞり返っているフレンズのもとへと運んだ。


「はいできましたよ!カレーです!」


「たくさん作ったから、たくさん食べてね〜!」


そのふんぞり返っているのは、自称ジャパリパークの長であるコノハ博士と、その助手であるミミちゃん助手。

その2人は、かばんの指示に従い、スプーンでカレーを口に運ぶ。


「辛いです!なんですかこれは!」


「酷いのですよ!これはりょうりではありません!」


博士と助手は口々に文句を言いながらも食べる。

それを見てニコニコと笑うサーバルとかばん。

そんなほんわかした空気を切り裂くかのように辺りに悲鳴が響き渡る。


「なに!?」


サーバルが真っ先に気づく。

同族の危機に。

聞こえた悲鳴は、フレンズのものでは無い。

もちろん人でもない。

じゃあ何か?


「猫?あ!待ってサーバルちゃん!」


かばんがその名を口にする。

しかしそれよりも早くサーバルは駆け出していた。


「今、助けに行くからね!待ってて!」


一方その頃、図書館から少し離れたところにいたのは、フェネックとアライさん。通称ばすてきコンビ。


「ん〜?ねぇねぇアライさ〜ん?」


「どうしたのだ?」


「なんか猫の声....聴こえなかった?」


フェネックは耳が大きく、微かな音も聞き分ける。


「聞こえなかったのだ!」


「気のせいかな〜....」


「気になるのだ!見に行くのだ!」


アライさんはそう言うやいなや駆け出す。


「アライさ〜ん!そっちじゃないよ〜!」


「な、なに〜!?」



「はぁはぁ.....」


サーバルは自らの聴力を頼りに、悲鳴の主のもとへと向かっていた。


「どこ!?どこにいるの!?」


流石のサーバルも、1度聴いただけでは詳しい場所は分からない。


「わたしが助けないと...!」


サーバルは自分に言い聞かせるようにつぶやく。



「にゃー!!!」


「オオオオォォォォォ!!!」


森の奥深く。

少し開けた場所。

そこに猫とそいつはいた。

その名もセルリアン。

フレンズの敵である。

その正体は、無機物にサンドスターがあたり、無機物がフレンズ化しようとした結果なのである。

要は、フレンズの出来損ない。

彼らはフレンズになりたい一心でサンドスターを欲している。

その為には、フレンズを襲うはず。

しかし狙われているのは普通の猫。

フレンズでもなんでもない。


「シャアア!!」


猫は得体の知れない相手から逃げ惑う。

それをセルリアンは追う。



「!!」


猫の悲鳴は、仲間に届いた。

サーバルは再び駆け出す。


「私が守るから!」



「....あれって〜....サーバルさんじゃないかな〜?」


「あ!ほんとなのだ!サーバルー!」


2人は森の中を進んでいた。

フェネックの耳を頼りに。

ただ、フェネックとアライさんが猫のもとへ行く理由は、ただの好奇心。

急ぐ必要も無い。

サーバルはそんな2人を無視し、駆けて行った。


「.....聞こえなかったみたいだね〜」


「うう、残念なのだ....」


(あれ?サーバルさん今、鳴き声の方に行かなかった?さっきのは聞こえてなかったんじゃなくて、聞こえてて無視したんじゃ....そんなに急ぐことほど大切なことが.....?)


フェネックの頭脳は、万能ではない。

人の気持ちがわかる訳でもない。

ましてや、これから先のことが分かるはずもない。

だから、このあとの悲劇で、彼女は後悔することになる。



「どうしたのですか?」


博士が問う。


「聞こえなかったんですか?」


かばんが問い返す。


「何がです?」


今度は助手が問う。


「猫の鳴き声です!全く....」


若干呆れ気味に言うかばん。

それに対し、


「それを聞いてサーバルは顔色を変えたのですか?だったら、猫が襲われてることぐらいでしか血相変えて走り出さないのです。」


「かばん。今からでも間に合うのです。我々に捕まって、猫を助けに行くのです。」


かばんはハッとした顔をして、こう答えた。


「もちろんです!急ぎましょう!」



「はぁはぁ....やっと見つけた....」


サーバルは、逃げ惑う猫と、セルリアンを見つけた。

しかし、サーバルは走り通しで満身創痍。

とてもではないが、セルリアンと戦う膂力などない。

しかし、サーバルは諦めない。


「今...助けるよ....!」


サーバルは、満身創痍の状態であるとは思えない程の加速で、猫を攫う。

そのあまりの素早さに、セルリアンが猫を見失う。


「はぁはぁ....ごめんね.....遅くなっちゃって.....ほら....早く逃げて....!」


サーバルは、森の中を走る最中に、何度も転び、何度も枝が刺さり、ボロボロだった。

もはや動くことさえままならない。


「にゃー.....」


「早く....にげてよ....!」


だが猫はサーバルの膝から動こうとしない。


「なんで...早くしないと....食べられちゃうよ....!」


その時、セルリアンが動き出した。



「あの辺が怪しいのです!」


「急いで!多分サーバルちゃんはもう着いてる!」


「焦ってはダメなのですよ。焦れば思考が制限されるのですよ。」


「分かってます...!でも....」


「焦る気持ちは分かるのですが、今は堪えるのです!」


セルリアンが見えた。

ドスの効いた赤色....

まるで血の色の様なセルリアンがそこにはいた。

しかし、その動きは止まっている。


「あれ、猫がいない?」


かばんは言い知れぬ不安を抱く。


「まさか...!」


そう、かばんの不安は見事的中。

サーバルはセルリアンの中にいる。

小さな猫と一緒に。


「なんで....!いやだ!嫌だよサーバルちゃん!!」


半狂乱になるかばん。

しかし、博士と助手に抱えられてる以上、どうしようもない。


「急ぐのです!!」


「分かってますよ!博士!」



「もうすぐ着くかな〜?」


「気になるのだ!早く行くのだ!」


そんなたわいない会話をしながら、悲劇へと進んでいく2人。


「せ、セルリアンなのだ!?」


「もしかして!サーバルさん!」


フェネックは素早く状況を把握。

そして、その状況が、最悪であることに気づく。


「あれ....セルリアンの中にいるのは....誰なのだ?」


「あれは.....サーバルさんと....猫....」


「そんな!食べられちゃったのだ!早く助けるのだ!!」


アライさんの言葉に、フェネックは肯けない。


「アライさん....無理だよ...あの大きなセルリアンは、2人じゃ倒せないよ....」


フェネックはあの時の自分を恨む。

なぜあの時早く行かなかったのか。

なぜあの時サーバルさんを見て事態の深刻さに気づけなかったのか。

そんなことを考えても事態は変わらない。


「アライグマ!フェネック!」


急に背後から呼ばれて振り向く。

博士と助手。

もう1人は?


「博士!助手!サーバルが大変なのだ!」


「ボクがあいつを倒すよ.....」


見覚えはあるが、見たことは無いその子が言った。


「何言ってるの!?私たちみんなで行った方がいいに決まって...」


フェネックはそこまで言い、あることに気づく。


(羽根のついた帽子....背中に大きなかばんを背負っている....もしかしてこの子が?)


「ボクが....やるんだ....」


「かばんさん!ここはみんなで頑張った方がいいよ!」


「....なんで僕の名前を?」


しかし今はそんなことをしている場合じゃない。

名前など二の次だ。

まずはサーバルを助けること.....

セルリアンを倒すことが最優先。

その事はそこにいる皆が分かっている。


「かばん!どうするつもりなのですか!」


「ボクがあいつの中に入って、サーバルちゃんと猫を助ける。その後、もう一度入って、石を割る。」


「非現実的過ぎですよ!いくら人の叡智があったとしても、そんなことはさせませんよ!」


「アライさんも反対なのだ!かばんさんには危ない目にあって欲しくないのだ!」


「でもそれしか方法が....!」


「いや、あるよ。」


フェネックから出たその言葉に、皆が驚く。

それはフェネックも例外ではない。

フェネック自身も、咄嗟に出たその言葉に驚いていた。


「私がやる。私がサーバルさんと猫を助けるから、みんなで石を割って!」


彼女の言葉らしからぬその意見に、アライさんは反対する。


「ダメに決まってるのだ!フェネックがいなくなっちゃうのは悲しいのだ!」


(違うよアライさん。これは罪滅ぼしだから....)


フェネックは何も言わずにセルリアンの方へ走り出す。

彼女をそうさせたのはなんだろうか。

彼女のアライさんみたいに自我を出したいという願いからだろうか。

それとも、サーバルという仲間フレンズを失いたくないからだろうか。

どちらも違う。

彼女は自らの失態に嫌気が差した。

呑気にアライさんについて歩くだけの自分自身に嫌気が差した。

自分が嫌いだった。

だから、最期くらい自分を出して、仲間フレンズを守って消えたかった。

それほど彼女は追い詰められていた。

自分を嫌い、仲間を助けるために走り出した彼女は、真っ赤な巨体に身を滑らせる。


(これで良かったよね。)


自分に言い聞かせ、彼女はサーバルたちのもとへと進んでいく。

サーバルたちの所へ着くと、彼女は1匹と1人をセルリアンの外へと押す。

サーバルたちが無事、外へ出ると、フェネックはセルリアンの真ん中へと戻ってゆく。


「楽しかったよ....アライさん......

最後に会えて.....光栄だったよ.....

かばんさん.....無事でよかった.....

サーバルさん.....元気でね.....」


最期に、自分をさらけ出してみる。

虚しさが押し寄せてくる。

乾いた笑いを響かせ、やがてフェネックは眠りについた.....



「...サーバル...ちゃん?」


「早く運ぶのです!ここは危ないのです!」


「ねこちゃんも忘れないのだ!」


4人はセルリアンから身を潜めていたが、サーバルたちが出てくるのを見て、すぐさま駆け寄った。


「あれ?フェネックがいないのだ...」


「....フェネックちゃんって言うの?」


「サーバルちゃん!!」


サーバルは目を覚まし、息も絶え絶えに言う。


「私...フェネックちゃんに...助けてもらったんだよね.....でもさ....助けてくれた時に言ってたの...."良かったね。元気で"って....」


そこまで言うと、彼女は再び眠る。


「サーバルちゃん?サーバルちゃん!」


「大丈夫なのです!気絶しただけです。かばん。少し休ませてあげるのです....」


「よくこの傷で動けてましたね....」


「フェネックは....食べられるのを望んでいたのだ....?」


「......」


アライさんの問いかけに、皆が押し黙る。


「アライさんは、フェネックと一緒にいて、楽しかったのだ!アライさんのワガママにも付いてきてくれて....

それなのに....なんでフェネックは

セルリアンの中に残ったりするのだ!?」


アライさんは、そんなことを言ってもなにも変わらないと分かっていた。

それでも言わずにはいられない。

それほどフェネックが好きだった。


「アライさん1人でも!助けに行くのだ!!」


「ダメなのです。」


「なんでなのだ!!!」


アライさんは、今までにないくらいに声を荒らげる。しかし、助手は揺らがない。


「今お前が行けば、セルリアンが暴れ出す可能性があるのですよ。今までの調査から、セルリアンにも自我があることが分かっているのです。だから、セルリアンが怒ることは十分にありえるのですよ。」


大局的にみれば、フェネックを見捨てて、セルリアンを倒すことの方が正しい。しかし、アライさんはフェネックの友達。いや、それ以上の関係だ。

見捨てるなどという考えは最初から持っていない。

当然アライさんは助手を無視し、セルリアンに飛び込む。


(待ってるのだ!フェネック!)


しかし、アライさんは泳げない。

よって、思った方向に進むことが出来ない。


(なんでなのだ!アライさんはフェネックを助けなくちゃいけないのだ!)


ひたすらもがく。

しかし、もがけばもがくほど、サンドスターを放出し、セルリアンの糧となる。


(はぁはぁ...疲れたのだ....)



その頃、かばんたちは....


「サーバルちゃん.....サーバルちゃん.....」


「かばんは今は使えないのです!助手!アライグマを連れ戻すのです!」


「しかし博士、アライグマはセルリアンの中に入ってしましたよ?」


「....もうこれはアライグマに賭けるしかないのです...!」


「そうですね...アライグマなら....」



アライさんは、約10分もの間、水より少し粘度の高いセルリアンの中で体を動かし続けていたため、通常の倍近くのサンドスターを放出していた。


(だめ....なのだ....アライさんが.....フェネックを.....助けるのだ!)


フレンズは、サンドスター保有量の約半分を失うことで元動物化する。

そして彼女はかばんを追いかけて歩き通し、サンドスター保有量がある程度減っていた。

つまり、アライさんはいつもと動物に戻ってもおかしくない。


(アライさんががんばらなきゃ.....

誰が頑張るのだ!)


その時.....


(あれ?脚が...)


遂にアライさんの身体は元動物へと戻り始めた。


(嘘なのだ!こんなの.....まだフェネックを助けてないのだ!)


変化してゆく体に怯え、余計に暴れるアライさん。

しかしそれは元動物化を早めるだけだった。


(もう....だめなのだ....)


「さよなら...フェネック....」



(あれ?私まだ生きてる?)


眠りから覚めたフェネックは、辺りを見渡す。

眠っていた分動いていないため、元動物化は始まっていないようだ。


(....暇だなぁ)


彼女はその時、ある女の子の顔を思い出していた。

いつも隣にいて、元気なあの子。


(アライさん....)


(そっか....今までアライさんと一緒にいたから暇じゃなかったのかな...)


(アライさんに....お別れ言いたかったな...)


その時。


「さよなら...フェネック...」


(アライさん....?)


ふと、声のした方を見る。

そこには、半分だけアライグマに戻ってしまったアライさんがこちらを見ていた。


「アライ....さん....どうして.....?」


「アライさんは....友達を見捨てないのだ!」


顔にも毛が生え、身体が小さくなってゆくアライさん。


「だめ!」


アライさんの方へ進む。

アライさんはもはや話せなくなっていた。


「だめ、絶対に許さない!」


ほぼ元動物と化してしまったアライさんを連れ、外へ飛び出す。

その勢いで、セルリアンがバランスを崩し倒れる。


「博士!助手!アライさんが....!」


「元動物へと戻ってしまっているのです!早くサンドスターを与えるのです!助手はセルリアンが倒れてる隙に石を割るのです!」


「わかりました。」


「アライさんにサンドスター?サンドスターなんてどうやって....」


フェネックは持ち前の頭脳を活かし、一つの解決策を思いつく。


「そうだよ...こうすればいいんだ...」


『野生解放......』


そう。

野生解放は、フレンズ特有の力をより解放するため、サンドスターをより多く消費、放出する。

フェネックは、自分を犠牲に、アライさんを治そうというのだ。


「アライさん...もう大丈夫だからね....」


フェネックは、その光る眼でアライさんを見つめる。

アライさんの元動物化は止まっていた。

むしろフレンズに戻り始めている。

しかしそれと同時に、フェネックの手には肉球ができ始め、体も小さくなり始めた。


「まだ....あとちょっと....」


「もうやめるのです!お前がフレンズでなくなってしまうのです!」


「別にいいんだ.....私はセルリアンに食べられようとしてたんだから.....でも、アライさんは見捨てられなかった....」


やがてフェネックは野生解放を維持出来なくなった。


「博士....ごめんなさい.....アライさんには、ホントのこと伝えてね....」


「フェネックさん!博士さん!」


「かばん!?」


「....なんですか....かばんさん.....?」


「図書館に、カレーがあるんです!

博士から聞きました!食事でサンドスターが採れるって!」


しかし、フェネックには図書館まで行く余力などない。


「ごめんね....かばんさん...私....

図書館まで行けな....」


「じゃあアライさんが取ってくるのだ!」


聴き覚えのある声。

いつも隣で聴いていた声。


「アライさん....よかった.....!」


「良くないのだ!フェネック心配したのだ!それより急ぐのだ!」


アライさんはフェネックの返事も待たずに駆け出す。


「アライさん!図書館はあっちです!」


「へ?分かったのだ!」


「大丈夫....かな.....」



「はぁはぁ....待ってるのだ!フェネック!」





図書館。


「はかせー?ジャパリマン持ってきたっすよー?」


アメリカビーバーが大きな袋を背負い、図書館の前で立ち往生していた。


「ビーバー!!」


「わわ、アライさんじゃないっすか!どうしたんすか?」


全速力でこちらへ走ってくるアライさんを見て、驚くビーバー。


「食べ物を寄越すのだ!」


「急に何言ってるっすか!?」


「フェネックが....フレンズじゃなくなっちゃうのだ!食べ物を持ってくれば治るって言ってたのだ!」


「大変じゃないっすか!どっちっすか!?」


「あっち....いや、こっち.....あれ?どっちだったのだ?」


「やれやれ、様子を見に来て正解だったのです。」


そこに現れたのは.....


「助手さん!!」


「セルリアンはどうしたのだ?」


「あんなものはちょいです。それより、早くジャパリまんを寄越すのです。一刻も早くお前のパートナーに届けないと、色々とめんどくさくなるのです。さっさとするのです。」


「....わかりました!この中に博士に渡すはずだった3ヶ月分のジャパリまんがあるっす!持っていくっす!」


「2個で十分ですよ。しかし、足りなかったら大変なので、お前達はそれを運んでくるのです。」


それだけ言うと、助手は飛び立ってしまった。


「助手さんがあっちに行ったってことは、フェネックさんはあっちっすね!」


「そうなのだ!ビーバーは賢いのだ!」


「照れるっすよ〜///」


「ってそんなことしてる場合じゃないのだ!早く届けるのだ!」


「了解っす!」



一方フェネックは...


「元動物化って.....結構苦しいんだね....」


「まぁフレンズにとっての栄養はサンドスターなのですから、そのサンドスターが足りなくなれば、当然苦しいのです!」


博士は得意げに語っているが、フェネックはそれを聞けるほど余裕はなかった。


「でも、その苦しさがなくなったら、フレンズじゃなくなったってことですからね?」


「.....そっか...じゃあこの苦しさが.....私の存在の証明なんだね......」


「.....」


それ以降皆喋ることはなく、食料ほ到着をひたすら待っていた。


「博士。ジャパリまんを持ってきました。」


「でかしたのです!助手!カレーよりもジャパリまんの方が、栄養価が高いのです!さぁ、食べるのですよ!」


フェネックは、博士から手渡されたジャパリまんを見つめる。


「食べなきゃ....だめだよね.....」


「当たり前です!フェネックさんは、アライさんと会えなくなってもいいんですか!?」


「.....そうだね〜....それは嫌だね〜」


「なら食べなきゃダメです!」


「ありがとう...かばんさん...」


フェネックは、ジャパリまんを1口食べる。

すると、小さくなっていた体は大きくなり始め、肉球も牙もなくなり始めた。


「すごいね〜....これ。」


やがて空腹に負け、ものすごい勢いで食べ始めた。

そして、あっという間に2つとも平らげた。


「美味しかった....かばんさん、博士さん、助手さん、迷惑や心配かけてすいませんでした....」


「え?別にいいですよ。心配はしましたが、迷惑ではありませんよ。」


「今回の件で、セルリアンがフレンズだけを狙っているわけじゃないとゆうことがわかったので、許してあげるのです。」


「そうですね。博士。」


「ほんとにありがとうございましたら....」


と、そこに....


「やっと着いたのだ〜....」


「疲れたっすよ〜.....」


ジャパリまんをくれたアメリカビーバーと、ジャパリまんを取りに行ってくれたアライさんが帰ってきた。


「ビーバーさんがジャパリまんをくれたんですね〜....ごめんなさい....」


「いやいや別にいいっすよ!フェネックさんがいなくなるくらいなら、ジャパリまんなんていくつでもあげるっす!」


「ありがとう....」


「あ、アライさん.....」


「どうしたのだ?フェネック!」


「...ごめんね?心配かけて....迷惑もかけちゃって.....いつも一緒にいてくれたのに.....私、アライさんのために何も出来てないや....」


「何言ってるのだ?フェネックはアライさんと一緒にいてくれてるのだ!

アライさんはフェネックと一緒にいるだけでとても嬉しいのだ!」


「アライさん....!ありがとね....!」


「どういたしましてなのだ!」


「ふわぁぁ.....おはよう....」


「サーバルちゃん!」


「サーバルさんも、ありがとね...」


「ん?えっと....どういたしまして...かな?」


「フェネック!明日からはかばんさんたちについて行くのだ!フェネックも一緒に来るのだ?」


「当たり前だよ〜。アライさんに付き合うよ〜。」


「良かったのだ!」


「うん。これからはもうあんなことしないからね〜」


「あ、サーバルちゃん。猫はどうしたの?いないみたいだけど...,」


「うん、多分私が寝てる間に逃げたんだよ!きっとどこかにいるよ!」


「そうだね!」









「さて!充分休憩もしたので、そろそろ出発します!サーバルちゃんとアライさんとフェネックさん。よろしくお願いします!」


「あらためてよろしく〜!」


「よろしく〜」


「よろしくなのだ!」


「くれぐれもセルリアンには気をつけるのですよ?」


「またこのようなことになっても我々は助けに行けませんので。」


「わかりました!十分気をつけます!それじゃあ.....」





「「「いってきまーす!」」」


「いってきまーすなのだ!」



「「いってらっしゃいなのです」」


「いってらっしゃいっす〜!」

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