人の世の中終わる日の、終わる刹那の物語。 涙、なみだの物語。 高石童話本舗
私たちの町は、都会に比べると静かな町。 田舎に比べると賑(にぎ)やかな町。
いまや人を寄せつける名所もなく、日がな長閑(のどか)な町並みが、世情の足並みを恃(たの)んでいる。
寂れた砂浜・堤防の名残。
夢から覚めた歓楽街の跡。
とっくに廃業した旅館へ向かう順路を、誰にともなく伝え続ける古びた看板。
それら、栄衰の残香が、決して褪(あ)せることのない姫松の青色と共に、市内の方々に散見されるのみだった。
そんな我が町にも、美点はまだまだ漫(すず)ろ。
町のあちこちを、清らかに彩る松の樹木。
そこに秘められた、羽衣天女伝説を筆頭に、夜な夜な魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)して、奇々怪々な出来事が起こる。
これらに挑むのは、神の子であるにも関わらず、あらぬ因果を負った鬼娘。
彼女が演じる迫真の鬼ごっこは、いつだって痛快なものだった。
これは、かならず笑顔に結する物語。
いかなる禍(わざわい)も、かならず福に転じる物語。…続きを読む
目次
連載中 全73話
更新
- 第1話ちはやぶる
- 第2話いらだつ彼女
- 第3話共通点
- 第4話神々が住まう地
- 第5話女神と魔王
- 第6話見つめる眼
- 第7話みっともない喧嘩
- 第8話招かれざるもの
- 第9話壊し屋
- 第10話小さな反乱
- 第11話難剣
- 第12話鐘の音の昨日、今日
- 第13話育むもの
- 第14話言いわけ
- 第15話気付けの薬
- 第16話長として
- 第17話廃れた記憶
- 第18話業火
- 第19話鬼の所業
- 第20話旅の空
- 第21話異聞
- 第22話安宿にて
- 第23話聞き上手と話し下手
- 第24話おたずね者
- 第25話鬼娘の御用聞き
- 第26話生死を問わず
- 第27話猛獣たちの夜半
- 第28話虚構のゆうべ
- 第29話代償の有無
- 第30話寒冷の川原
- 第31話寒中剣
- 第32話氷中月
- 第33兵法家
- 二対一
- 火の川のほとりで
- 悪の命脈
- 剣聖の道々
- 敗北の兆し
- 折れない心
- 円満の太刀
- 剣と筆
- 仇に勝るもの
- 雪解け
- 安全装置
- 二天の交わる処
- 雪の果て
- 悲哀と妄執
- 名残の雪
- 炎の化身
- 雪と灰
- 決死の場
- 純真な狂気
- 勘違い
- 敵の敵
- 閻魔の忠告
- 二天公異聞
- 調和を乱すもの
- そぞろ歩き
- 葛藤の是非
- 灼熱の再会
- 忘れえぬもの
- 父親の才能
- 世界の暴挙
- 浅ましい世
- 恐ろしい邂逅
- 新たな主
- 鬼さんこちら
- 戦場の親子
- 憤怒の根拠
- 憧れの向こう
- 分からず屋
- 二親の縁起
- 独行の道
おすすめレビュー
★4
★で称える
★ ★ ★
レビューを書く
ユーザー登録(無料)をして作者を応援しよう!
登録済の方はログインしてください。