第3話共通点
これが
「ごめんなさい。 ついカッカした」
「気にすんな。 仕様がねぇさ」
「優しい……。 存外、話の分かるヒトですね?」
「でしょ? よく言われる」
「友達、いるんです?」
「いないよ?」
ともかく先方に頭を下げて、
まだ軸のほうに熱が残っていたようで、お腹の辺りがホカホカした。
「かの
「こういうのも持ち主に似るんですかね? 頑丈なだけが取り得っていう」
「なるほど」
「納得した……。 納得しないでよ」
眉を
探し物は見当たらない。
めげずに別の
「そんで、なにを探してんのさ? 大切なものかい?」
「ん。 友達の、大切なもの」
「友達ってお前、あの狐娘のこと言ってんのか?」
「……悪い?」
「本気で
情理のない言いように、またぞろ
しかし、“彼はこういうヒトなのだ”と自分に言い聞かせ、どうにか
そうする私に、彼は遠慮なく語を次いだ。
「
「あなた、また……」
のぞき趣味に
しかし彼はちっとも物恥じのない表情で、「読んでねぇよ? 心」と唱えた。
続けざまに胸を張り、こんな事を
「私ぁお前さんの
「恥ずかしい……。 よくそんなこと言えますね?」
「なにが恥ずかしいのさ?」
「だって……」
「いいかね? 血縁っていうのは───」
ベラベラと御託を並べる先方の様子を、片手間に観察する。
散々にも“彼”と表したが、それが本当に正しいのかは知れない。
身には上等の着物。 暑がりなのか何なのか知らないが、これを片肌脱ぎに
胴には
私とて、己の
しかしながら、共通点はある。
鼻の形や目尻の加減などでは無く、
これが唯一、彼女が私の肉親であることを示すと同時に、性別の方をひどくあやふやなものに
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