第6話見つめる眼
もっとも、どちらにせよ協力するか
この女も、きっとそれが
こちらを
「どういう
「え?」
「話くらいなら聞いてやる」
この眼に参った結果か、あるいは先述の気まぐれが
俺の口前が思ってもみない
しかしながら、落ちつき払って考えれば
この女は、やはり当方の好みにピタリと
「事の始まりは──」と、かすかに
余程に切羽つまっているのだろう、こちらの姿勢が前のめりになったと知れるや、途端に意気が揚がったようだった。
この屈託のない
「世界を変じた者がおります」
「なに?」
その末に、当方の耳が辛うじて聴いた言葉は、何とも奇妙なものだった。
彼女の顔をよくよく見ると、表情は真剣そのものである。
冗談を言っている気配はない。
「世界って、現世のこと?」
「はい。 我々が住まいます世界」
「あぁ……、それなら、そういう奴がいても
「はい?」
「
「それは、
「そんなら、ちょこっと書類いじるくらい
わが世に比べれば、途方もなく狭い世界である。
そのくせに、悪党・聖人を一緒くたに輩出する
それを槍玉に挙げたつもりだったのだけど、すぐに
「それで、どういう風に困ってる?」
「家族が家族でなく、隣人が隣人でない」
「あん?」
「これまで万人がコツコツと築いてきたものが、一夜にして崩れ去りました」
「おいおい? それは」
言葉の意味を知って、
先も言った通り、世界を変えるのは
仮にそれが成ったとしても、破綻がさらに破綻を招き、訳の分からん事態になること請け合いだ。
「誰がそんなこと望むんだよ? つーか得あんのかな? そんな事して」
「
「彼女?」
「当方の古馴染みです」
「なんだそりゃ?」
「………………」
「なんだその眼?」
見れば見るほどに黒目の奥底が知れず、魂胆を
特に睨んでいる訳ではないが、ひどく居心地の悪い視線だった。
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